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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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コミック【吹けよ!カミカゼ】

   ↑  2020/03/02 (月)  カテゴリー: 書籍・コミック
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力道山衝撃の死のショックが未だ冷めやらない1966年、その跡を継いだ新エースのジャイアント馬場は苦悩していた。
「豊登さんは引退。猪木さんはアメリカ遠征。ぶっちゃけ僕一人でワールドリーグ戦に来襲する強豪外人レスラーたちの相手をするのは、とても辛い。もしリーグ戦の優勝を海外に攫われることになれば、日本プロレスは存亡の危機!」
その裏では日本プロレスから追放をくらった豊登が、海外遠征中の猪木を籠絡して新団体、東京プロレスを旗揚げするという、プロレス界を揺るがす大事件があったりしたのだが、これは少年誌連載だから当然そんな生臭い裏事情は語られません。
馬場さんも実際のとこは「面倒臭い奴らが自滅してくれてラッキー」程度に思っていたなんて、穿った見方ができてしまいそうですが、そんなことはありません。馬場さんは心の底から彼らの力を欲していたのです!
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そんな苦悩の馬場さんがふと思い出したのが、力道山がいまわの際に残した謎の言葉。
「日本プロレス界が、もしわしの亡き後大ピンチを迎えたら……、ぶんえい、はかた、こうあん、たかしま、しょうわ、ひだ……がくっ」
もしもこのとき「遠藤幸吉には絶対ハンコ握らすな!」なんて言葉を残しておけば、その後の日本プロレスの本当の意味でのピンチは避けられたかもしれないですが、まぁそれはともかく今は暗号のような謎の言葉。
「もしやそれは年号と地名の組み合わせではないですか?文永、博多、弘安、鷹島、昭和、飛騨。文永と弘安には、日本に神風が吹いて外敵を打ち払いましたな」
そんなサジェスチョンを受けた馬場さん、「そうか、 昭和の神風は飛騨に! 力道山先生はこんなときに備えて、飛騨の山奥に秘密兵器を用意してくださっていたのだな!」
馬場さん、察し良すぎ。そして力道山、回りくどすぎ。
こうして飛騨の山中で極秘特訓を続けていた力道山最後の弟子、カミカゼ大助が表舞台に登場する運びとなったのです。
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梶原一騎のデビュー作は、プロレスマンガの嚆矢的存在である"チャンピオン太"。
"チャンピオン太"は、力道山存命中の作品でしたが、この"吹けよ!カミカゼ"は、「力道山の弟子である少年レスラー」という同コンセプトを、力道山死後のプロレス界を舞台に展開させたポスト"チャンピオン太"とも言える作品。
作画を担当するのは、後にやはりポスト"巨人の星"である"おれとカネやん"でも梶原とタッグを組んだ古城武司。
ジョー・カロロ、ロニー・メインら実在レスラーたち。そして氷の怪人ゼロマン、天才児ワンダーキッドといった、架空のライバルレスラーたちとカミカゼがしのぎを削って行く展開は、"チャンピオン太"から、後の"タイガーマスク"へと受け継がれる、プロレスマンガの王道的展開ですが、ギアの調子がちょっと変わってくるのは、キッド編とアメリカ遠征編の間に挟まれた、プロレス天狗党のエピソード。
日本に埋もれた武術家たちを集め、日本プロレス協会壊滅を目論む、この天狗面の集団たちが出てきてからは、何故か雰囲気が"伊賀の影丸"や"カムイ伝"を思わせる忍法マンガ風なものに変わってしまいます。
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これに限らず、"吹けよ!カミカゼ"は、どうも"チャンピオン太"などと比べると、あらゆる部分が薄味で淡泊。
この全体から感じられる梶原先生の気乗りのなさ、やる気の薄さは、後のポスト"巨人の星"である"おれとカネやん"にも共通するものがあります。
まぁこの梶原先生の本作にかける情熱の薄さには、一つの理由が推測できます。
この"吹けよ!カミカゼ"と同時期に梶原先生が抱えていた連載の名は"巨人の星"。
少年漫画がある種の転換期を迎え、自身も"巨人の星"という革新的な作品で、新たな高みに登ろうとしている頃の梶原先生にとって、この前時代的な少年漫画の要素を色濃く継承した"吹けよ!カミカゼ"は、その情熱を注ぎ込むに足る器ではなかったのかもしれません。
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そのうちに、実在のプロレス界でもアントニオ猪木が日本プロレスに復帰してしまい、馬場さんが案じていた日本陣営の戦力不足も解消。
その存在意義を失ったカミカゼは、アメリカ遠征という、スポーツマンガの店じまい王道パターンに出され、連載はそのままなし崩し的に終わりを迎えてしまうのでした。
この直後に同じ雑誌で梶原先生が始めた連載が"タイガーマスク"。プロレスマンガとして"チャンピオン太"からさらなる高みを極めたこの名作の輝きを前に、旧態依然とした"吹けよ!カミカゼ"は歴史に埋もれてしまいます。
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そんな不遇な作品ですが、「見た目は単なる拳打ちだが、喰らった相手は3時間後か、3日後か、3ヶ月後か、3年後に死を迎える」という、プロレス技としては根本的な欠陥がある必殺技「3の次は死」を使いこなし、馬場・吉村道明組との対戦が決定すると、「勝ったも同然。前祝いじゃぁ!」と、練習もせずどんちゃん騒ぎを繰り広げるプロレス天狗党のファンキーっぷりは、なかなか面白かったりします。
初出は1966年の作品ですが、2007年にマンガショップより復刻版が登場。現在ではAmazon Kindleなどで電子版も配信されています。

この記事に含まれるtag : プロレス 

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2020/03/02 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

雑誌【3DOマガジン】

   ↑  2015/01/13 (火)  カテゴリー: 書籍・コミック
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今でこそ雑誌系メディアとゲームファンの関係は、だいぶ希薄なものになってしまっていますが、まだネットが発達していない時代において、両者はまるで蜜月の新婚夫婦のような関係を築いていました。
ファミ通に始まって、電撃にヒッポン、じゅげむにゲームウォーカーと、総合誌だけでも様々なタイトルが書店の棚に溢れかえり、ゲーム関連書籍は出版界の中で大きな存在感を誇示していたのです。
そんなメジャー総合誌の一方で、セガマニアのバイブルとなったBEEP!のように、少数派の拠り所となりカルトな人気を誇った雑誌もありました。
今は例えマイナーハードのマイノリティユーザーと言えど、ネットを通じて同好の士と簡単に繋がれてコミュニティを築くことができますが、当時はそうした役目を果たせるのは各ハードの専門誌しかありません。
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なんの因果か3DOユーザーになってしまった私でしたが、周囲にこんなハードを所持している物好きはおらず、ゲームショップに行っても、その店で3DOのソフトを購入しているのは、明らかに私一人しかいないことがありありと分かるような有り様。
もしかして3DOに入れあげてる人間は、この世に自分一人しかいないんじゃないんだろうか?
不安に駆られることもしばしばでしたが、そんな時に3DOにも確かなユーザーコミュニティがあることを証明し、私の心に安らぎをもたらしてくれたのは3DO専門誌でした。
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3DOの専門誌は、ファミ通や電撃からも単発の特別増刊がご祝儀的に発売されましたが、定期刊行されたのは徳間書店インターメディアの3DOマガジンただ一つです。
なにせ3DOの情報は、ファミ通本誌ですらも、ほとんど扱わないような状態。ハードやソフトの情報は、これ一誌にしか頼る術はありません。
そんなすがるような3DOユーザーの期待を一身に背負った同誌の内容は、こってりと濃いものでした。
ソフト数の少ない3DOの情報だけで雑誌を一冊作るのも、なかなか大変な話ですが、その分一つ一つのソフトの記事は文章量の多い読み応えのあるものとなり、攻略情報なんかも毎号充実していました。
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ゲーム誌にCD-ROMが付属してくるスタイルも、コンシューマ系では3DOマガジンとPCエンジン専門誌が、その草分けです。
付属CD-ROMの内容は、3DOソフトの体験版とムービー、そして発売済み3DOソフトのデータベースが基本。フォトCD関連のコンテンツも目立っていたのは、同規格の再生機能をデフォルトで備えた3DOらしいところです。
そして日本では発売されていない海外タイトルに、毎号数ページを割いていたのも、3DOマガジンの大きな特徴でありました。
洋ゲーなんて言葉すら生まれておらず、輸入された洋版ソフトを買うこと自体が極めて特殊な行為であった時代でも、我々はこの雑誌を通じて『Psychic Detective』や『Plumbers Don't Wear Ties』といった、様々な奇作怪作カルト作の存在を知ることができたのです。
あ、それとアダルト系ゲームのページが存在したのも、他のハード専門誌にはない3DOならではの特徴でしたね。
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CD-ROMが付属した号などは、当時としてはかなり割高な1500円近い価格になったりもしましたが、3DO関連の情報を扱った媒体が、この世にこれ一誌しかない状況下では、ちっとも高いなどとは感じませんでした。
選ばれし3DOの中からさらに選ばれた3DOマガジン読者。終刊号で発表された3DOアワードは、そんな選ばれし者たちの情念が集ったような企画でしたが、大本命と思われた『Dの食卓』の得票が、通常版とディレクターズカット版に真っ二つに割れてしまい、結局大賞を取り逃してしまったオチが最後につきました(漁夫の利で大賞を得たのは『ポリスノーツ』)。
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94年から96年に渡って、ソフトカタログ増刊号も含めて全部で15号が刊行。常に逆風にみまわれていた中で、終刊号まで完全オールカラーを貫きます。
その2年の間に、創刊当初はそれなりに露出のあった高城剛氏が次第に影を潜め、代わりに飯野賢治氏が浮上してきたり、末期にはユーザーですら空手形に終わるだろうと割り切っていたM2構想をヤケクソでプッシュするなど、様々な流れがありました。
表紙を飾った妙ちきりんなイメージキャラクターの名はフランキー。一般的な知名度は皆無でしょうが、3DOユーザーにとっては高城氏や飯野氏と並ぶ、立派な3DOの顔です。

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2015/01/13 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

同人誌【XBOX ONE情報ハコイチ】

   ↑  2015/01/12 (月)  カテゴリー: 書籍・コミック
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一昔前までは、どんなマイナーハードであってもその発売の前後には、、ゲーム専門誌から購入ガイドを兼ねた特集や増刊なんかが出ていたりしたもんですが、今やもうファミ通ですらも「ぶっちゃけもうこっちも据え置きゲーム機にかまってられる余裕ねえすから」なんて本音が見え隠れするご時世。
ファミ通XBOX360も、とうの昔になくなり、ソニー系や任天堂系の専門誌ですから先行きが危ぶまれる中、雑誌メディアにおけるXbox Oneの扱いなんざ、そりゃもうこっちも最初から期待するだけムダと割り切っています。
そんな逆風どころか無風状態。凪の海にぽつんと取り残された状態のXbox Oneに、せめてもの風を送るのはユーザーの自助努力しかないとばかりに、かってキネクトガイドやXBLAカタログなどのXbox 360本を送り出していた同人サークル"ちはたん"さんの新刊、その名も「XBOX ONE情報ハコイチ」がリリースされました。

Xbox 360の総括に始まり、Xbox Oneの基本仕様から本体パッケージバージョンのリスト、設置ガイドや周辺機器の案内、さらにはゲームやアプリの簡易カタログまでを、現役Xbox Oneユーザーから採取したナマのインプレッションを交えて連ねたその内容は、まさに"一昔前にゲーム雑誌メディアから出ていた本体購入ガイド本"の基本を、しっかりと押さえたもの。
Xbox Oneの購入を検討している人、ちょっとばかり興味のある人、さらにはXbox Oneの活字情報に飢えている現役ユーザーに向けた、現在のところ商業同人通じて唯一無二のXbox One専門誌。
現在、ゲームショップクラリスさんと、COMIC ZINさんにて通販取扱中です。

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2015/01/12 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

書籍【ウルティマオンライン 公式アトラス 正邪の大陸対応版】

   ↑  2014/07/10 (木)  カテゴリー: 書籍・コミック
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コントローラーから離れている間も、マップを見ながら様々なことに思いを馳せられるゲームは、オレにとって例外なく最高の伴侶となってくれる。
古くは『Might and Magic』、最近では『Test Drive Unlimited』や『Fallout 3』に『TESⅤ Skyrim』、一番新しいところでは『GTA5』なんかがそうだ。
マップを眺めてその場所に息づくキャラクターや事象に想像を巡らせたり、2Dマップ化された地形を頭の中で実際の景色に置き換えて、そこに自分の分身が躍動する姿を妄想したりする。
例えモニターの前にいなくとも、それは間違いなくゲームプレイの一環だ。

オレは旅行のときなんかも、行く前は地図を眺めてこれから訪れる場所を予習し、帰ってきたらまた地図を眺めて自分の行程を地図で辿るのを欠かさないくらいの地図好きだ。
道路地図帖の類は毎日ぱらぱらめくっていても飽きないし、ネットの普及で地図がさらに身近でカジュアルな存在になったときは、もう身悶えするほど喜んだものだ。
グーグルのストリートビューなんてのは、あれはマップと連動させれば一生遊んでも遊びきれないゲームみたいなもんである。
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オンラインRPGの巨人『ウルティマオンライン』の関連本は、日本国内だけでもかなりの数がリリースされ、そしてその内容もオーソドックスな攻略本から、家のカスタマイズや内装のガイド、ファンメイドのコミック、さらにはプレイヤーコミュニティの手引など多岐にわたっている。

そんな多士済々なUO本の中でも、オレの中で座右の書となるくらい飛びきりの一冊も、やはり地図本だ。
この「ウルティマオンライン 公式アトラス 正邪の大陸対応版」は、ブリタニアからロストランド、イルシェナーに渡る広大なUOの大地を、広域図、街、ダンジョンに分けてカラーのマップに落としこみ網羅した一冊。
マップの繋がりと施設や地名の表記以外は、攻略情報の類を始めとしてよけいな記述が一切ない、極めて純粋な地図帖だ。

本書の前身である「ウルティマオンライン 公式ワールドアトラス」は、2001年の拡張パック第3弾『ウルティマオンライン 第三の夜明け』までを元にした内容だったが、そのアップグレード版とも言える本書は2003年の拡張パック『ウルティマオンライン 正邪の大陸』で加わったマラス大陸もフォロー。
その『正邪の大陸』(別名・甲斐性なしどもへの宅地開放パック)ですらも、今やもう10年以上も昔のこととなったが、それからいかに幾年月を経ようとこの地図帖はこれっぽっちも飽きがこない。

ブリタニアはオレにとってもう一つの住所所在地みたいなもんだが、それでも未だにこの地図帖を眺めていて、こんな場所もあったのかと驚くこともある。
そして地図を元に、ここでこんなことがあったと昔を懐かしんだり、あるいは今度この場所でなんかやってみようなどと、これからのプレイに思いを巡らせたり、今でもデジタルの広大な地平に生々しい息吹や生活感をもたらしてくれる、古今東西のあらゆるゲーム本の中で最高峰の称号を与えたくなるような一冊なのだ。

この記事に含まれるtag : ウルティマオンライン 

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2014/07/10 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

コミック【やる気まんまん】

   ↑  2014/04/02 (水)  カテゴリー: 書籍・コミック
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国民的マンガといえば「サザエさん」だが、その「サザエさん」と同様に長期新聞連載を果たし、誰もがなんとなく知ってる存在にもかかわらず、「やる気まんまん」を国民的マンガと呼ぶのがちょっと憚られてしまうのは、やはり朝日新聞と日刊ゲンダイの間にそびえる高く超えられない壁が大きな一因であろう。もっともそんな壁、超えないに越したことはないが。
オレがガキの頃から日刊ゲンダイの紙面を飾り、またゲンダイがなまじラーメン屋や定食屋、そこらの待合室なんかに転がってるもんだから、まだ精通のないうちから断片的に目にしてきたこのマンガ。
もっともいつ読んでも、常に"オットセイ"、"貝"、"坊主頭の男のアヘ顔"、"気持ちよさそうな女の人"という黄金パターンが繰り返されるばかり。
さらに日刊紙の一面細切れ連載ということもあって、どういうお話なのか、その全容がどうなってるのかを把握することは、なかなか困難だったが、その機会がついに電子書籍によってもたらされた。
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Kindleを筆頭に、楽天Kobo、さらにはiTunesブックで、満を持して配信が始まった裏国民的マンガ「やる気まんまん」。
iPhoneでオットセイ鑑賞。「オレの美しいガジェットでおかしなモノを垂れ流しやがって!」と、あの世で猛り狂うスティーブ・ジョブズの顔が目に浮かぶようである。
よくよく考えてみれば、ほぼ性行為しか描写されていないマンガ。しかもいかにキャラクター化されてるとはいえ性器が堂々と描かれ、あまつされそれが出入りしてるところまで入念(?)に表現されたコミックが、子供の目に触れるようなところに転がっていたのだから、恐ろしい話もあったものだ。
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ガキの頃は、その意味はなんとなく理解しながらも、いまいちピンとこなかったオットセイの一挙一動。
しかしすれた大人になった今、改めてこのマンガを通して読んでみると、喜悦し、猛り狂い、困惑し、意気消沈するオットセイと、それがおかれたシチュエーションの巧妙な描写に、全国三千万のスケベな大人どもが、我が身のそれを置き換えてゾクゾクしていたことが手に取るように理解できるだろう。
実際の性行為の気持ちよさをここまで分かり易く、そして豊かに表現したマンガなど、そう他にはない。そして1巻目から既に高い完成度を誇るこの描写は、以後数十年の長き連載と共に、さらに円熟を極めてゆくのだ。
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かなりハードコアなバトル系マンガとしても体裁も持つ「やる気まんまん」。しかもテーマが裸一貫の素手勝負ということもあって、同じ牛次郎原作の「包丁人味平」や「釘師サブやん」以上に、バトル系マンガとしての純粋性が強かったりする。
料理やパチンコやプラモデル同士のプロレスと違って、より格闘技性が強いテーマだ。なにせずっとグラウンドで絡み合っている。登場人物に道衣を着せれば、うっかりすれば柔術マンガとカン違いする人が出てくるかもしれない。
おろし金でできた張り型をしごく手コキ修行を始めとした、虎の穴も真っ青の特訓描写の数々も、バトル系マンガとしての「やる気まんまん」にさらなる深みを与えてくれる。
そんなあそこの皮が擦り切れて血の滲むような特訓を積み重ねてきた、恐ろしい敵たちを迎え撃つオットセイの姿に、読む者は「キン肉マン」や「ドラゴンボール」を読んでいるとき以上に、手に汗を握ってしまうだろう。
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その断片的なイメージとタブロイド紙長期連載という出自から、一発ネタの繰り返しで惰性で続いたマンガという印象を持つ人も多いかもしれない「やる気まんまん」。
しかしその思わずひっくり返るような面白さを知れば、このマンガが黄金のワンパターンを繰り返しながら世代を超えて人々に愛され続けた、まるでラモーンズのような偉大な存在であることに気づくかもしれない。
かつて電車の中で佇むおっさんたちの手にはタブロイド夕刊紙があり、そして今はスマホやタブレットがそれに変わっている。
そんな車内の風景が大きく変われど、そこに踊っているのは相も変わらずオットセイの姿。
「やる気まんまん」とデジタルなガジェットは不釣り合いに見えるかもしれないが、そう考えればむしろモバイルガジェットこそが、「やる気まんまん」がこの新時代にいるべき本来の場所なのだ。
電車の中でタブレットを取り出して、さあ読もう、思わず股間がウズウズしてくるオットセイの大活躍を!

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2014/04/02 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |