このページの記事目次 (tag: シミュレーター の検索結果)
- 【Speaking Simulator】スピーキングシミュレーター [2022/11/04]
- 【Chair Simulator】チェアシミュレーター [2022/11/02]
- 【Goat Simulator】ゴートシミュレーター [2022/10/29]
- 【Animals Transport Simulator - Car Driving & Parking Games Real Zoo Park】 [2022/10/27]
- 【JCB Pioneer: Mars】火星の下請け労働 [2022/09/14]
total 3 pages 次のページ →

面接なんて自ら進んで受けたいものではないし、結婚式や葬儀でのスピーチなんてご遠慮申し上げたい。
ましてや全国民が注視する議会での演説などなおさらである。
ところが世の中にはこういうスピーチをやりたくてたまらない奇特な連中もいたりする。朝礼なんかで長話をおっ始めてみんなをうんざりさせるのは大抵この手合いだ。

そんなできる限り回避したいスピーチの場に挑むこの身はなんと機械仕掛け。
しかも人間社会に浸透してやがては人間の支配を目論む御大層な使命を持ったロボットだ。
母国語ってのは知らないうちに喋り方を覚えてるもんだけど、外国語を学んでるときなんかはたまに発声の機能としくみを改めて意識させらることがある。
舌を上顎にべたっと付けて「る~~~」とかがそうだ。

ましてやいまのオレはロボット。一言口に出すだけでも口角や口腔内の動きを意識して操作しなければならない。
口角の動きは右スティック。口腔内の舌は左スティック。
右スティックの方はシンプルな上下左右で比較的扱いやすいが、面倒なのは舌の動きをダイレクトに操作して顎の上下のスイッチを押さなければならない左スティックだ。
焦れば焦るほど舌があらぬ方向にぬめぬめと動いてく。ああ、普通に喋るのがこんなにもどかしいことだったなんて!

この不自由な発生機能で、ただでさえテンパってワケが分からなくなる面接や結婚式のスピーチに挑めと!?
一応ゲームらしく獲得したポイントでアップグレードできるシステムが備わってはいるが焼け石に水。それに眼や眉毛の操作が加わって余計に煩雑になってさらにテンパるだけだし!

Switchで日本語版が発売されている本作、シミュレーターを名乗ってはいるが、基本的に『マニュアル・サミュエル ~死神との約束~』や『オクトダッド ~タコと呼ばないで~』なんかに代表される人体ファジー操作系のコメディチックなゲーム。
ただ、やることを喋る行為ただひとつに絞り込んでしまったために、ステージが変われど同じことを繰り返させられてる単調さは否めないし、それが故に『マニュアル・サミュエル』なんかにあった馬鹿馬鹿しさは目減りしちゃっている。

「ブレードランナー」のレプリカントなんかは改めてスゲえ技術でできているんだなと、変なとこを再認識させられる。
この設計したやつを呼び出して始末書を100枚くらい書かせたくなる操作システムを乗り切って、ロボットによる人類支配の野望を達成できるかは貴方の根気次第だ。
この記事に含まれるtag : シミュレーター
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3116.html
2022/11/04 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
立つ、寝る、そして座る。人間の姿勢の三原則だ。
かつては地べたやせいぜい石ころに腰を下ろしていた人類がやがて椅子という存在を生み出し、座る行動は本能から文化的な行いへと変化した。
人間はその長い文明の歴史の中で様々な用途やデザインの椅子を創り出し、時にはそれが権威の象徴ともなり時には死刑を執行する道具ともなった。
この『Chair Simulator』はそんな人類と椅子との緻密な関係を再現したシミュレーターである。……って、もちろんそんなわきゃない。

無駄に多岐にわたるキャラクターセレクト(ほぼ全部制作者の知人や関係者らしい)を経て放り出されるのは、椅子がひとつぽつんと置かれた簡素な部屋。
ここでプレイヤーがやるべきことはなにか?
椅子を前にして人がすることはただひとつ。近寄って腰を下ろそう。
あとは椅子に腰掛けたキャラクターをただ眺めるだけだ。モニターの前でプレイヤー自身も椅子に座っているとなおいいだろう(まあ立ってやる人はそうはいないだろうが)。

椅子に座っている時間は決して無為ではない。
電車のシートに腰を下ろしていればそのうち目的地にたどり着くであろうし、病院の待合室の椅子で辛抱していればやがては診察の順番が回ってくる。
『Chair Simulator』においてもそうだ。
椅子に座っていれば着々と経験値が加算されてゆく。もっともそれでレベルが上ったところでだからどうしたと言われれば答えに困るのだが。

いや、獲得できるのはほとんど無意味な経験値ポイントだけではない。
デフォルトの味も素っ気もないパイプ椅子から新たな椅子に買い替えるためのマネーポイント。これもひたすら座り続けることによって蓄積される。
もっともあれやこれやの椅子三昧を決め込むには莫大な時間を消費してただ座り続けるおのれのキャラクターをずっと眺めていなければならない。

いっそのこと放置して外に遊びに行きたいところだが、しかしずっと座ったままだと血行に悪いからだろうか、このゲームは一定時間座りっぱなしだとキャラクターが死んでしまいゲームオーバーとなってしまう。
こんなゲームに真面目に付き合うことを考えず、とっととチートコードで金を手に入れてしまおう。

新たに購入できる椅子は丸椅子からピアノ椅子、玉座にエマニエル夫人が座ってたようなやつと、この世のありとあらゆるタイプの椅子を網羅したかのような豊富なバリエーション。
まあどんな椅子をセッティングしたところでただ座り続けるだけなのは変わりないのだが(一応獲得経験値にボーナスが付いたりケツ痛メーターが遅くなったりと細かい差異はある)。
ゲリラ的な活動で知られるNYの現代アートグループMSCHFが送り出した、パロディ系シミュレーターの中でも皮肉とウィットが際立つ一作。
この記事に含まれるtag : シミュレーター
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3115.html
2022/11/02 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
シミュレーターの語義を歪ませた最大の戦犯、それはヤギ。
いや、ヤギに罪はない。ヤギ自体は草を食いすぎるってことを別にすれば、極めて穏やかな生き物だ。
そんなヤギのイメージすらも毀損するゲーム、元より真っ当な出自ではない。
本来は習作として作られたものが、スタッフや周囲の人間や無責任なユーザーたちが悪ノリに悪ノリを重ねた末に商業ソフトとして世に放たれた。

名乗ったタイトルは『Goat Simulator』。ご丁寧なことに当時Astragon社のシミュレーターソフトによく使われていたタイトルフォントを擁してだ。
人類との関わりも古いヤギの生態を事細かに再現したシミュレーター。……もちろんそんなわきゃない。
ヤギの為りをした物体をアバウトに操作して箱庭の中を物理演算でアバウトに遊びそして飽きる。
21世紀のゲーム業界でもっとも「名乗ったもん勝ち」のソフトである。

この手の悪ノリってのはちょっとでも逡巡したらダメで、そうした部分でもその後の展開も堂に入ったものであった。
ゾンビ、スペースオペラ、中世RPG、クライムゲームのパロディコンテンツの登場。そして2をかっ飛ばしていきなり3を名乗る新作。
単なる習作を土台にここまで徹底して遊び散らかしてくれれば上等だ。

しかし功罪相半ばするという言葉もあるが、こと『Goat Simulator』に関しては罪の部分が大きいような気もする。
それは「お、こんなもんでいいんすね!」なんて軽薄なフィーリングで追随する連中を大量に生み出してしまったことだ。
クローン作品によるジャンル形成の繰り返しはゲーム界隈を活性づけてきた歴史でもあるが、『Goat Simulator』以降に雨後の筍のごとく登場してきた志の低い「なんちゃってシミュレーター」群を見ると、歴史にも正負というものがあるとつくづく思い知らされる。
この記事に含まれるtag : シミュレーター
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3114.html
2022/10/29 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
精密機械や美術品など細心の注意を要する特殊輸送は色々あるが、動物の輸送などはその最たるものだろう。
なにせ生き物が荷物である。
夜行バスに詰め込まれる人間どもと違って、こちらは運ばれる状況に対する理解が必ずしもあるとは限らない。

それにライオンなどの猛獣は、万が一事故があったときなどに「荷物が外に飛び出ちゃいましたぁ~」だけでは、とてもじゃないが済みそうにもない。
当然それを専門に扱う人たちは、技量を極めたプロフェッショナル集団になる。
Switch版がリリースされているこの『Animals Transport Simulator - Car Driving & Parking Games Real Zoo Park』は、そんなプロフェッショナルたちの匠の仕事ぶりを体感させてくれるシミュレーターである。……って、そんなわきゃない!

この十年のゲーム界隈でその語義がもっとも歪められてしまった言葉。それは間違いなくシミュレーターだ。
ゲームにおいてのそれは本来フライトシムなどのように実在する機械の操作や作業などを限りなく精緻に再現して体感させるものあったはず。
ただいつしか必然的に生じるゲーム性の欠如に甘えた、ただ漫然と業務をトレースしただけの作品が幅を利かすようになってきた。

しかしそれらもまだシミュレーターの範疇に収まる許容範囲内。
そのうち登場したのが一発芸みたいな内容にシミュレーターの名を冠したパロディ的な作品群。
それはそれで面白い作品も多かったんだけど、こいつらがシミュレーターの語義を思い切り歪めたことは間違いない。
そこに付け込んできたのが、ゲームとして完成に至ってすらいないローファイなシロモノが免罪符的にシュミレーターを名乗るパターンである。

ケージもなんもなし。豚でも飛び越えられそうな申し訳程度の囲いに覆われたしょぼいトラック。
もうこの時点でプロフェッショナルさのかけらもないが、とにもかくにもあなたは動物運送ドライバーだ。このトラックを無事目的地まで運転させよう。
荷台の動物がすぐ逃げ出しそうな気もするが、大丈夫、ここの動物たちは行儀よく躾けられているから微動だにしない。ってか生きてんのか、これ!?

事故を起こしたら大変な事態になる動物運送だが安心してほしい。ここでは何かにぶつかってもただ引っかかるだけ。
アクセルをアバウトにふかして角を4、5回曲がってスポットされた地点にトラックを停めれば任務完了。
1ステージわずか10数秒。これが全10ステージ。まるでグラインド・コアのアルバムみたいだ。……って、グラインド・コアのバンドだってアルバムに少なくとも50曲はぶち込むわ! なめとんのか!

それ以上に釈然としないのは出てくる動物が牛や羊やラクダなど家畜系ばっか。
バナーに写ってるゾウは!? クマは!? シマウマは!? 商品説明文にあるクロコダイルは!?
どうせ剥製のように身動き一つしないんだから何だって一緒だろって? いや、そりゃそうだけどな!
レベルセレクト画面を見ると、さぞバラエティ豊かなステージがたくさん用意されているように見えるかもしれないが、これすらもちろん見せかけ。
全部同じ場所! 曲がるところがちょこっと違うくらい。

トラックの種類もわずか3つ。デフォルト車の他に2台を購入すれば、もうステージクリアご褒美のコインの使い道はなくなってしまう。
にも関わらず何故か付いているボーナスコインを獲得できるデイリールーレット。これを一日一回回す意味は果たして何!?
最近はシミュレーターと名の付くゲームを買う際に常に地雷を覚悟するようになったが、その覚悟さえも甘っちょろいものに思えてくるぞ。
この記事に含まれるtag : シミュレーター
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3113.html
2022/10/27 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
火星への入植。
アシモフやブラッドベリの昔からのサイエンスフィクション定番であり、人類が宇宙に進出する仮定の話だと今のところ一番現実性が高い候補でもある。
最近の火星探査機から送られてきた鮮明な写真なんかだと、パッと見アリゾナあたりの荒野の景色にそっくりで、「これなら頑張れば入植できなくもないんじゃない?」なんて思えてもくるが、アリゾナの荒野ですら人が住めないのに、そこからさらに過酷な環境の火星ではって考えると、そんな甘い観測もしおしおと萎んでしまう。

とにもかくにも火星への植民は大変だ。まず未知の地で一から開拓を始めなければならない。
時は2067年。オレはその栄えある火星開拓団の先遣隊。
しかしいきなり着陸失敗の洗礼。命からがら這い出た先に広がるのは赤く不毛の大地。そして降り注ぐ隕石群。
どっかんどっかん落ちる隕石の中を逃げ惑いながら、オレは早々っと「無理っす! こんなとこ絶対人なんか住めないっす!」と音を上げるのだった。

だけど帰りの便があったら苦労はしない。
地球人が過去に挑んだ様々な開拓地よりも遥かに悪条件なこの地で、オレは後続のために必要な設備を整えなければならないのだ。
しかもたった一人で。地球から遠く離れた惑星でぼっち。心細いどころじゃない、任務とか以前にそのシチュエーションだけで泣きが入ってくるよ。

この『JCB Pioneer: Mars』は資源を確保しながら装備や機器を少しずつアップグレードさせ、行動範囲を広げつつ発電機や酸素ジェネレータなどを設置し前哨基地を発展させるサバイバル開拓ゲーム。
そして世界的建設機器メーカーであるJCBの名が冠に入っているように、各種建設車両を操作する建機シミュレータの要素も大きなウエイトを占めている作品だ。
しかしインターフェースや操作系がまったく洗練されていないのが仇となって、サバイバル系としても建機シムとしても凡庸な出来に留まってしまっているのが正直なところである。

そして生活描写や息抜き要素がまったく無い、ほぼ100%業務的な労働だけでゲームが構成されているので、一人っきりで延々と残業をやらされてる感がハンパない。
みんな帰っちゃって誰もいない社内。申し訳程度に部屋の半分だけ灯された蛍光灯。ひっそりとしている分耳障りな空調の音。そして終わりがまったく見えない仕事。
あのやるせない気分をゲームの中でたっぷりと味わうとは思いもしなかった。

そりゃ火星を開拓するというヒロイックな使命があるとは承知しているんだけど、唯一の体外的な温もりである通信指令が、慇懃無礼な口調でタスクだけを一方的に告げてくるとあって、下請けの作業感がこれまたハンパない。
オレ絶対志願してここに来たわけじゃねえよ。会社命令で嫌々来るハメになったんだよ、きっと!

永遠の残業ムードの中で憂さを晴らせる場所があるわけじゃなし。火星の景色はどこに行っても代わり映えしないから秒で飽きるし。
そして取り巻く環境といえば落雷に電磁嵐に放射能。
「こういうとこに無理に住もうとするの止めません!?」と切に訴えかけたくなる火星労働絵巻。
ああ、帰れるもんならさっさと地球に帰りてえ!
<未日本語化>
(記事編集) https://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-3105.html
2022/09/14 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |