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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【Tangle Tower】タングルタワー

   ↑  2023/08/24 (木)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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タングルタワーは奇妙な色をした湖の畔に建つ曰く有りげな屋敷。
二つの塔から真ん中を分けて親戚同士の二家族が住んでいるそのシチュエーションは、ロジャー・スカーレットの「エンジェル家の殺人」をどことなく想起させる。
我が国においては江戸川乱歩が「三角館の恐怖」のタイトルで翻案したミステリの古典だ。
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そんなシチュエーションだからして案の定起こる殺人。
捜査のためにやって来たのはどっかで見覚えのある二人組探偵コンビ。
むさ苦しいグリモアとその相棒の皮肉屋サリー。ミステリADVの佳作『Detective Grimoire』に登場したコンビだ。
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『Tangle Tower』は『Detective Grimoire』から5年を経て登場した正規の続編タイトル。
その根幹となるシステムも前作のそれをそのまま継承。舞台となる館を調査して証拠品や当事者たちの証言を集め、要所要所の推理パートでは疑問点を整理して、そこから生じた矛盾を追求して新たな証言を得ていく。
ロジックの積み重ねを巧みに昇華させたシステムが光る本格的推理ADVとして申し分のない一作である。
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そしてこのシリーズのもうひとつの魅力となっているのが、その個性的なアートワークと登場人物の軽妙でありながらも本格ミステリの風格も備えたセリフのやり取り。
特にビジュアル関連は前作から大幅に洗練されたものとなっている。グリモアも多少は小綺麗な外見となり、サリーに至ってはもうほぼ別人みたいな変わりようだ。
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PCとモバイルだけに留まった前作は英語版のみだったが、Apple AracadeからSwitchにまでまたがる多機種展開となった本作はめでたく日本語化も成された。
すっかりミステリADV界となったグリモアとサリーのコンビ。制作のSFB Gamesは早くもさらなる続編の登場を示唆している。

*関連記事
【Detective Grimoire】タイトな推理ADVの佳作

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2023/08/24 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Road 96】名もなきモブたち

   ↑  2023/07/31 (月)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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チリのピノチェト軍事政権下で殺されたり行方不明になった反体制派の数は公式で3000人以上、何らかの形で迫害を受けた人は10万人に及ぶという。
それではいけないとは分かっていても、どうしても数字で捉えてしまう。
犠牲者が数人であればその人の行動や思いに対して考えを馳せる余地があるが、それが膨大な数に及ぶと無機的な数字の前に思考が硬直化してしまうのだ。
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その3000、あるいは10万人の人々にはもちろんそれぞれの人生やシチュエーションがあり、大まかに反体制派として括られていても、それぞれの国に対する愛情の度合いや理想は千差万別であろう。
このゲームの舞台となる架空国家ペトリアも、やはり全体主義政権が幅を利かす国。
その圧政から逃れようと多くの若者たちが国境からの脱出を目指し、そして志半ばで姿を消していく。
そしてペトリア国内や国外のニュースでは、数百人の若者が行方不明と一括りに伝えられ、我々はまた大まかに数字で捉えてしまうのであろう。
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だがいずれも名もなき若者たちだってこれまたもちろんそこに至る道筋はそれぞれに違うし、懐具合もばらばらなら道中での出来事や人々との出会いや別れも百人百様だ。
そしてある者は幸運にも国境の向こう側にたどり着き、ある者は国家権力に捕縛され、そしてある者は道中半ばで非業の死を遂げる。
ROAD96を目指すそれぞれの重たい道程が一つ終わりを迎えるごとに、プレイヤーはその重たい結果を受け止めながら別の若者の道のりを綴り出す。
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国の圧政からの逃避行では、その判断の一つ一つが重たい。
自分のみならず出会う人々の運命すらも左右する選択の数々は、そのいずれもが重苦しい圧迫感を伴ってくる。
ともすればそれは国や同胞の行く末を決定づける選択となるかもしれない。
だがプレイ中につきまとう閉塞感を和らげてくれるのは、やはり国の現状に翻弄される様々な立場の人たちとのロードムービー的な出会いや交流だ。
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『ROAD 96』のもっともユニークなところは、プレイヤーキャラとなる名もなき若者が狂言回し的な役割を担うことによって、真の主人公である人物たちのそれぞれの人生をブリッジする一風変わった構造だ。
警官、トラック運転手、体制派のニュースキャスター、天才少年ハッカー、頭のネジの外れた二人組強盗、シリアルキラーのタクシードライバー。
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その無名性も相まって、プレイヤーキャラの若者たちは、これら真の主人公たちに対するモブ的な立ち位置を感じさせることがあるかもしれない。
そしてそれはピノチェトやヴィクトル・ハラといった世に知られた人物たちの向こうに、3000、あるいは10万人の、それぞれの人生や行動や信念や理想が存在していたことを教えてくれるのだ。

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2023/07/31 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Apocalipsis Wormwood Edition】アポカリプシス

   ↑  2023/06/09 (金)  カテゴリー: Switch
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Behemoth(ベヒーモス)はゲーム界隈では重量級のモンスターによく用いられる名詞だが、音楽シーンにおいて一般的なのはブラックメタル重鎮バンドの名前だ。
北欧で盛んなイメージがあるブラックメタルだが、東欧のシーンもなかなか活発で、このBehemothはポーランドのグループ。
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22年には最新アルバム"Opvs Contra Natvram"をリリースし、いまなお現役最前線のこのバンドをフィーチャーしたゲームの名は『Apocalipsis』。
タイトルのみならず、死んだ妻を生き還らせようとする男の現実とも悪夢世界ともつかぬ彷徨が、ボッシュやデューラーの木版画をモチーフにしたビジュアルのもとで展開する、Behemothに負けず劣らずダークなムード全開のポイント&クリック式アドベンチャーゲームだ。
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これらの要素だけで掴みは充分すぎるくらいなこのゲーム。
オレも陰々滅々として魅惑的なビジュアルに惹かれて手を出したクチだが、ああ、しかし残念なことにその掴みだけで終わってしまっている、ちょっと勿体ない作品であった。
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一番の問題はポイント&クリックのメカニズムが一貫して淡白なこと。
パズルやフラグ立てといった同系統作品の面白さの根幹になる部分がいずれも深みに欠けて、キャラクターが次の場面に進むための単調な手順に留まっている。
このフックが不足した行程の淡々とした繰り返しが、せっかくのインパクト抜群なビジュアルの印象も弱めてしまっている。
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そして製作者が全面に推しているBehemothのフィーチャーだけど、こちらも実はあっさりとしたもの。
Behemothのフロントマン、ネルガルの参加は、幕間のわずか数行のナレーションのみに留まりそしてその楽曲もほんの触りだけ。しかも普通にプレイしていたら耳にすることのできないようなシークレットな存在だ。
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Switchで配信されている『Apocalipsis Wormwood Edition』は本編に加えてその前日譚となるDLC『One Night in the Woods』もバンドル済み。
ただしこの前日譚も本編譲りのアートワークはやはり魅力的ではあるものの、テンションの低いゲーム進行も変わらない内容がわずか10数分で終わってしまう淡白さなのであった。

<未日本語化>

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2023/06/09 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Paper Ghost Stories: 7PM】ペーパーゴーストストーリーズ 序章

   ↑  2023/04/28 (金)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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お盆に家の玄関先で焚く迎え火。
特に意識することなく当たり前のように毎年続けている習わしだが、ある年いつものように火を焚いていると、近所に越してきたばかりの外国人の方に奇異な目で見られたことがあった。
自棄になって自宅に放火していると思われてもなんなので、「これはこの時期に帰ってくるご先祖様の霊が迷わないように目印で火をつけてるのだ」と説明しようとしたのだけれど、よくよく考えればそれも異文化の人たちにとってみれば物凄くストレンジな風習であることは間違いない。
だいたいオレだって「そもそも自分の家だから迷うなよ!」と改めて思ったほどだから。
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どの国に限らず死生に関する習わしは、異国の人々にとってはもっともエキゾチックさを感じさせる文化だ。
同じ仏教をベースにしていても、日本のお盆と中華圏の盂蘭盆会はその姿かたちがだいぶ違う。
そして中華系の人たちが多く暮らし国に溶け込んだマレーシアでも、お盆の季節にはハングリーゴーストフェスティバルという仏教と道教をハイブリッドしたような行事が開かれる。
マレーシア生まれのホラーADV『Paper Ghost Stories: 7PM』は、中華系の3人の子どもがその行事の一環である街なかの京劇舞台に足を運ぶワンカットから幕を開ける。
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御札や紙銭など紙製のアイテムはマレーシア華人の文化風習と深い関わりがあるらしいが、『Paper Ghost Stories: 7PM』が紙を模したアートワークを基調としているのも、もちろんそれと繋がりがあるのだろう。
とにかくこの個性的でインパクト抜群のビジュアルが本作の最大の魅力だ。
華やかさも薄汚さも細密に書き込んだ集合住宅のビジュアルは圧巻で、何気ない日常のすぐそこに、どんな奇々怪々が潜んでいてもおかしくないような印象を与えてくれる。
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子どもの目線で接する生活の傍らに存在する怪異。日常と怪奇現象のオンオフめりはりの効いた繰り返しは、プレイしていて初代プレイステーションのカルト作『夕闇通り探検隊』と共通するものを感じさせた。
ただし本作、そのボリュームはめちゃめちゃ少ない。一回のプレイ時間が20分程度の短さ。
そしてその20分は、まるで映画のプロローグ部分のごとき余韻を残してあっという間に過ぎ去る。
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そう、『7PM』は『Paper Ghost Stories』の名で展開する連作ADVの、まさにプロローグ的な役割を担った小品。
キックスターター的な意味を多分に孕んだ本作を経て、今年にはいよいよ本格的な新作となる『Paper Ghost Stories: Third Eye Open』がリリース予定だ。
現状英語のみで日本語化はされていないが、同じアジア圏の作品ということもあって使われている英語は比較的平易で取っつきやすい。

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2023/04/28 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Kraken Academy!!】クラーケンアカデミー

   ↑  2023/03/27 (月)  カテゴリー: XBOX Series X|S
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辺り一面落書きだらけのボロボロな校舎。
ある世代ならば戸塚水産高校とかあの辺を思い浮かべるかもしれないが、しかしひとえにコミックカルチャーといってもその様式や価値観は様々だ。
少なくともこのクラーケンアカデミーは、荒れ果ててはいても「ビー・バップ・ハイスクール」的な価値観から、およそ遠いところにあることだけは間違いない。
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音楽、美術、演劇、スポーツと4つの学部を擁するこの学校。
なんかひとつだけ食い合わせの悪そうな学部が混じっているが、しかしクラーケンアカデミーで浮いているのはスノッブな選民意識を丸出しにする演劇連中の方だ。ジョックスの皆さんは安心してほしい。
そんな学部間格差よりも問題なのは、この学校はわずか数日後に崩壊が運命づけられていること。
先がないにも程があるアカデミーの新入生こそいい面の皮だが、とにもかくにも主人公は学校近くの池に棲息する謎の巨大クラーケンに言われるがままに、時間を何度も遡ってこの崩壊を止めるハメになるのだった。
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どこかネジの外れた変人たちが集う学園でのスラップスティックな日々。
これまたある世代なら「うる星やつら」の友引高校あたりを思い浮かべるであろう。あるいはもっとオタクを煮詰めたコンテンツならば、TRPGに端を発した「蓬莱学園」シリーズなんかがドンピシャだ。
『Kraken Academy』はそんなオタク寄り学園ものコミックカルチャーからの影響を強く感じさせるアドベンチャーゲーム。
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ナルシストのイケメン、オカルトマニア女子、筋肉バカ、陰謀論オタクなどなど、学園スラップスティックに欠かせないネジの外れたキャラクターも選り取り見取り。
そして一番性格的にマトモそうな女子生徒はブロッコリーだが、そこで「なぜ!?」と疑問を抱いていはいけない。
そもそもクラーケンが仕切っていたような学園だ。何が起こっても不思議ではない。
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この奇天烈な学園で問題解決のために奔走する手段はタイムリープ。
クラーケンから授かった時間を遡る能力で、いつでも入手アイテムをキープしたまま崩壊を迎える3日前の朝に戻ることができる。
メインストーリーはもちろんのこと、取りこぼしたサイドクエストなんかもこれを駆使すればいつでも回収可能だ。
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だけど時間は錯綜していてもクエストのフラグ立てなんかはそれほど入り組んでいない。
詰まることなく物語やキャラクターとのやり取りをさくさく進められるのは、どことなくライトノベルのような感覚。
ボリュームもほどほどで架け橋ゲームズによるローカライズもツボにはまって遊びやすいドイツ生まれのカジュアルでノリの良いドタバタ学園ADV。

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2023/03/27 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
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