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【ジェイドエンパイア ~翡翠の帝国~】謙遜は美徳にあらず

2019.02.03(19:38) 2807

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オレの名前は激情のミン。
なんかすぐに癇癪を起こす厄介者みたいな通り名だが、これはあくまでデフォルトのネーミングなので、オレの正しい姿を表したものではない。
こう見えても修行院で崇高なお師匠様から武技のみならず、人としてのあり方を厳しいくらい教え込まれた身だ。自分の感情や欲得を律するすべは、きちんと備わっている。
なに、そうは見えない? お前、疑うのか!? そういうやつはきっちり身体に教え込んでやる必要があるな。ちょっと格斗場まで来い! 嫌だと言っても引きずっていってやる!
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まぁオレなんかはまだマトモなほうで、この修業院にはリトルガオというもっと性根のひねくれた野郎がいたりするんだが、なんかこうお師匠様の指導能力を根本から疑ってしまう話だな。
リトルガオはともかく、オレはお師匠様から特別に目をかけられて指導された人間だろ?
それがこんな険のある性格に育ってしまってるんだから、なんかここよりも便器を素手で掃除させる学校とかに行ったほうが、少しはマトモな人間になったような気がするな。
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オレが自身の性格にどん引いているのにはワケがある。
ゲームでは主人公キャラがセリフの選択でシナリオの分岐や自分のアティチュードを決めていくことがあるが、この『ジェイドエンパイア ~翡翠の帝国~』の場合は、どれを選んでも角が立つことが往々にしてある。
『ときめきメモリアル』に例えると、詩織とデートしたあとに「貴重な休日を潰した代償はあるんだろうな?」「で、いつヤラせてくれるんだ?」「美樹原とかいうお前の友だちに、二度とつきまとうなって言っとけ!」の三択しか出てこないようなもんかな。
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またそのセリフがなんかいちいち癇に障る言い方が多かったりしてな。
たとえ穏当なセリフでもどことなく違和感がつきまとう物言いに、このゲームに出会った当時は物凄く強烈に"異文化としての洋ゲー"を感じたりしたもんだ。
ここまで聞いて「なんかアレっぽいな?」って思った人もいるかもしれない。
そう、アレだ。『Mass Effect』、そして『Dragon Age』。壮大な風呂敷を広げた設定の下で、やることなすこと言うこと角が立つ主人公が、どうでもいい近所の揉め事にいちいち絡んでゆく。
いずれもBioware社制作。会話のボリュームが尋常じゃないRPG三部作。
『ジェイドエンパイア』はその記念すべき第一作といえるポジションだ。
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RPGといえば仲間キャラ。しかし『Mass Effect』や『Dragon Age』と同様、この作品で仲間になる顔ぶれも、どいつもこいつも持て余しかねる問題児ばかりだ。
なんかもうことあるごとにオレに突っかかってくるし、言葉遣いが無性にイラつかせるし、RPGの仲間って、たとえ遠回しにでもオレを程よく持ち上げてくれる役割じゃねえのかよ!
腹に収めるべき言葉は収める。波風立てない。周囲の空気を読んで穏当に。激しい自己主張は控える。
そんな日本人としての美徳……、なんかじゃねえな、物ごとや社会を円満に収める全体主義的小賢しい知恵全否定。
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だが帝国全土に亡霊が溢れ殺蓮団が暗躍する、このご時世に必要なのは、過剰なまでの自己主張なのかもしれない。
だったらオレも開き直って、和製RPGなんかではハナっからチョイスできないような毅然とした態度を貫かせてもらうぜ。謙遜は弱者の言い訳だ!
痴話喧嘩の仲裁してくれ? オレは世界を救う者だぞ!? そんなもん知ったことか、勝手に殺し合え!(真に受けられて死人が必要以上に出てしまいました)。
メインストーリーよりも枝葉のサブクエストのほうが圧倒的に面白いのも、やっぱりBiowareの作法。
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中華武侠RPGを名乗ってはいるが、あくまで欧米人のフィルターを通した中華ファンタジーなのでアジア感は皆無。
そしてアクションRPGの括りに入れられているけれど、戦闘モードのアクションも極めて簡素。
膨大な量の会話によって主人公キャラのパーソナリティや様々なシチュエーションを自前で構築していく。
本作の主をなすこの部分に魅力を見い出せないと、受け手によってはフックの弱い平凡なアクションRPGに留まってしまうのも、後に続く『Mass Effect』らと同様。
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互換対応を経てXbox Oneで動作させると、初代Xbox版をプレイしたものなら驚かずにはいられないハッキリくっきりグラフィックで遊ぶことができる。
そして初代Xbox時には大きなマイナスポイントだった長い長いローディングも、Xbox Oneではこれまたビックリするほど短縮しているぞ。

<Xbox One互換対応タイトル>


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【夢見館の物語】儚き蝶の館

2019.01.27(18:59) 2806

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「とりあえずCD-ROMにしてみました」的なタイトルが目立ち存在意義がイマイチあやふやだったメガCDにあって、他にはない独自のカラーを打ち出していたのはバーチャルシネマと銘打たれた新世代アドベンチャー群だった。
まぁこのバーチャルシネマというジャンル名は、メガドラ・ロープレプロジェクトなどと同様に、あくまでも便宜的にざっくりとした区分けであったのだが、とにもかくにもその第一弾となった実写ADV『ナイトトラップ』は、他には類を見ないビジュアルやスタイルで大きなインパクトを与えてくれた。
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そしてその第二弾となったのが、PC系アドベンチャーゲームの老舗であるシステムサコムが開発した『夢見館の物語』だ。
3Dアドベンチャーゲームという様式は当時でも格別目新しいものではなかったが、こと家庭用機専用ソフトとなると話は別。
『夢見館の物語』は、まだPCと家庭用機でユーザー間が断絶していたこの時代にあって、家庭用機の側で3Dインタラクティブアドベンチャーの到来を告げる先駆けのような作品であった。
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満月の夜、森の奥深くに忽然と姿を現した洋館に迷い込んでしまった幼き兄妹。
さまざまな理由で現世からドロップアウトした人々が蝶に姿を変えて住まうこの館で、はぐれた妹を捜す兄。
各部屋を行き来してアイテムなどを拾い集め、ときには閉ざされた扉に阻まれたりしながら脱出の手がかりを探す。
古典的とも言える館探索系アドベンチャーだが、プレイヤーたちの多くを惹きつけたのは、そんなアドベンチャーゲームとしての様式の上に立った、あまりにも淡く儚い独特のビジュアルであろう。
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うっすらと靄が掛かったように不鮮明で、幻灯機の映写のようにぎこちないグラフィック。
それはマシンスペックの力を借りて、より鮮明に緻密を目指したPC系インタラクティブアドベンチャーのそれとは、およそ対照的なものだった。
恐らくメガCDに非力さによるところも大きいであろう、このぼんやりと淡いビジュアルは、逆に「数年に一度だけ姿を現す幻の館」の神秘性を大いに高めてくれたのだ。
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そして、ちょっぴりくぐもってプアな音質のボイスや効果音も、これまた怪我の功名的に現世と幻想の境にあるようなこの館に相応く、現実味のないまるで夢の中のサウンドエフェクトのような響きとなった。
掌の細工菓子のようなボリューム、そして何よりもメガCDという日陰の花壇みたいなハードにぽつんと咲いているその様は、このたった一夜限りの陽炎のような夢物語にもっとも相応しい情景ではないだろうか。


ボンクラ360魂


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【The Crew 2】サウンドトラックはジョー・ストラマー

2019.01.25(17:18) 2805

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<♪ 先住民の保護区を売り飛ばした連中 一杯ひっかけにでも行くんだろう
  オレもいつものビールを飲んだら出ていくぜ ニューオーリンズに行けば何かがあるだろう>

Spotifyが音楽生活の主軸となって、意外なことにオレにアルバム単位で音楽を聴く習慣が戻ってきた。
CDとMP3プレイヤーが折衷していた時代は、どうしてもCDは音源を取り込むための素材だった。
プレイヤーの容量の制限などもあって、外部に持ち出す音楽はアルバムから選別した曲ばかりとなっていた。プレイリストといえば聞こえがいいが、早い話がつまみ食いみたいなもんだろう。
世に出る音楽がアルバムという単位で取り扱われ消費されるようになったのは、それほど古い話ではないし不変なものでもない。
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音楽のマーケットがデジタル化されるにつれて、アルバムという括り、概念は消滅していくんじゃないかと予測していた人もいた。オレもそう思っていたクチだ。
しかしこの世のあらゆる音楽を平慣らしするSpotifyにどっぷり漬かっていく中で、アルバムという単位はオレの中で再び存在感を大きくしている。
アルバムこそはもっとも明解でもっとも興味深いプレイリストなのだ。
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Spotifyはアルバムを呼び出すのも容易だ。レコード棚とにらめっこして一枚をチョイスし、それをターンテーブルに載っける作業も、それなりに楽しいものだったけど、CD時代にはそのテンションもだいぶ落ちてしまっていた。
目的のないゲームの中を彷徨うとき、そのバックグラウンドミュージックも、カスタムサントラ機能時代のつまみ食いシャッフルからアルバム単位へと変わっていったのも、その容易さゆえだろう。
<♪ ランパート・ストリートでこれから運試し さあバイユーの王様のお出ましだ>
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ジョー・ストラマー、……という人物にもちょっと説明が必要になってくるかもしれないが、ここではできる限り省く。
音楽史に残るパンクロックグループ、ザ・クラッシュを率い、2002年に心臓疾患でこの世から去ってしまったレジェンドだ。
もっともクラッシュの終焉はそんなに芳しいものではなかった。それまでのキャリアをぶち壊すような大愚作を最後にバンドは自然消滅。
その後ストラマーは映画に曲を提供したり気まぐれに出演したりと、浪人生活としか例えようのないキャリア生活を長く過ごすことになる。
"Earthquake Weather"は、そんな浪人期にリリースされた彼の唯一の正規ソロアルバムだ。
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セカンドキャリアとなるJoe Strummer & The Mescalerosの雛形ともなる作品だが、その構想はまだまとまりを欠き、何よりも宙ぶらりんだった彼のポジションを代弁したかのように熱量に乏しいアルバムだった。
批評的にも商業的も大惨敗を喫したこの作品によって、ジョーはまたしばらくの逼塞を余儀なくされる。
オレも当時はまだ彼にクラッシュの幻影を求めていたこともあって受け止め方に困ったけど、しかし時を経て改めて聴いてみると、意外にすんなりと入ってくる。
肩の力の抜け具合、リラックスした楽曲、そしてロードムービーのサウンドトラック的な質感。
アレン・ギンズバーグ風のドキュメンタリー感溢れる歌詞は彼の大きな特徴のひとつだが、ここではそれが何気ないアメリカの風景を傍観者のように描写している。
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<♪ 誰もがお前を複写したがる グランドキャニオンのハングライダー
  コニーアイランドは真っ暗け チャーリー・パーカーとシボレー>

発売当時は持て余したこのアルバムも、今では『The Crew 2』の最高のサウンドトラックとして機能している。
ジョー・ストラマーのアメリカ周遊記をバックに巡る、デトロイト、フロリダ、ニューオーリンズ、サンフランシスコ、そしてニューヨーク。
嵐のように時代を駆け抜けた男が、その情熱の空白期に作ったアルバム。間違っても傑作ではない。彼の溢れんばかりの才能からすると凡庸な一枚かもしれない。
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だけど"Earthquake Weather"と『The Crew 2』の旅情の組み合わせは、いささかクサいけどオレをジム・ジャームッシュ映画の登場人物みたいな気分にさせてくれる。
当時は冗長に感じた50分近いこのアルバムの長さも、とりとめもないクルマの旅には程よいボリュームだ。
西海岸から東海岸へ、『The Crew 2』で寄り道を重ねながら辿り着くには、ちょうどいい長さじゃないか。
<♪ 州境まで199カウント スカースデールには時間ぴったりに着くはずさ
  靴を磨くにも10セントかかるのは知ってるだろ?
 お前の心の痛みを癒せたら オレたちの人生なにか変わるかな>

 


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  1. 【ジェイドエンパイア ~翡翠の帝国~】謙遜は美徳にあらず(02/03)
  2. 【夢見館の物語】儚き蝶の館(01/27)
  3. 【The Crew 2】サウンドトラックはジョー・ストラマー(01/25)
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