ボンクラ360魂Xbox Oneとの蜜月の日々 

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【Bus Driver】怯えるバス運転手

   ↑  2018/02/04 (日)  カテゴリー: PCゲーム
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交差点が近づいてきた。
いまのオレの顔には、きっとマンガの表現みたいに縦線が列になって刻み込まれているのだろう。
またブレーキを踏まなくちゃならない。
クルマを運転している限りはごく当たり前の行動だが、しかしこのゲームでブレーキをかけるのは、ForzaやNFSでやるそれとはワケが違う。
今度こそ慎重に右トリガーを絞り込む。
しかしそれにも関わらず低速で走っていたバスはがくんと躓くように減速し、後ろの乗客たちはまたもや「ぎゃああああ!」と、この世の終わりのような悲鳴をあげるのだった。
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乗客のオーバーな悲鳴に気を取られ、思わずブレーキを緩めながら交差点を右折したら、車線を大幅にはみ出してしまった。走行車線違反だ。
本来なら急ブレーキ(いや、誓って言うが断じてアレは急ブレーキなんて大袈裟なもんじゃない)なんかよりも遥かに深刻なミスだが、あの神経に刺さる悲鳴が無い分、こちらの方が軽く思えてくるから始末に悪い。
クルマの運転には冷静さが必要だ。ましてや大勢の人の命を預かるバスならなおさらだ。
なのに後ろにいる奴らは、なぜブレーキを踏むたびに騒ぎ立てて、命を預けている人間の心をかき乱す?
どうせバスから降りた後は、「今日の運転手は荒っぽかった」とか会社にクレーム入れてやがるんだろう。リムジンにでも乗ってるつもりか!
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オレの心を惑わすもう一つの要因は、まるでハードコアパンクのような速さで切り替わるこの街の信号だ。
青になっているのもほんの少しの間。もう間髪入れずに黄色から赤になる。
目の前の青信号も常識なら普通に直進するところだが、どうせ手前に差し掛かったあたりでコインチェック利用者のツイートの如く豹変しやがるのだろう。
だったら停まるのかって? ここでブレーキを踏んだらまたあの「ぎゃああああ!」だ。あれだけはゴメンだ。
オレはアクセルを深く踏み込んで速度を上げ交差点を突っ切った。
信号はとっくに赤だったような気がしたが、でもそんなの関係ねえ!こちとら公共交通機関だ。周りのクルマが気を利かせやがれ!
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オレの神経をすり減らすモノはまだまだ他にもある。
ヘアピンカーブの頂点みたいなとこにバス停作りやがったのは、どこのどいつだ!?
それから路駐。なんたって路駐。もう路駐してバスの進路を塞ぐやつは全員呪われろ! よりによってバス停の手前に路駐するアホタレは、シリアルキラーに拉致されて生きたまま硫酸風呂に沈められてしまえ!
つくづく思い知らされるのはバス運転手の待遇の低さだ。
一度にこれだけ多くの人間の命を預かる仕事だ。本来な旅客機パイロットに準ずるくらいの給料と福利厚生を受けてもおかしくないはずなのに。
もっともいまのオレは別にカネを貰って仕事をしているわけではなく、逆にこのシミュレータともゲームともつかないモノにカネを払って運転している酔狂な立場だが。
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同じようなパターンでトラック運転手(『18Wheels of Steel』)を長くやっていたことがあったが、あっちはホント気楽でよかった。何があっても最後は自分ひとりだし。
でも路線バスの運転手となると、そうもいかない。ましてやスクールバスのハンドルを握るステージなんかは!
「ぎゃああああ!」 うるせえガキども、この程度の揺れでぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃねえ! それから親にはぜったいチクるなよ!
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朝、昼、晩、市街に工業地帯、雪国リゾート、高速バスにスクールバス、囚人護送バス(急ブレーキをかけたら逆に喜ぶ唯一の乗客)とシチュエーションは多彩。
ステージが進めばお楽しみのロンドンバス(2階建てバス)も登場するが、実はこれ、高さ故に前方の視界が制限されて信号を確認するのも一苦労するトラップ付き。
一連の運送トラックシミュレータでお馴染みSCS Softwareの07年作。
トラックシムの亜種的な存在なのに、なぜか運転席視点が存在しない欠点もあったりするが、アクセルトリガーの三分押しとポンピングブレーキを駆使して黙々と業務を遂行するのは、妙な中毒性があったりする。
乗客の反応に怯えながら、ブチ切れて対向車に突っ込みたくなる衝動を抑えつつ、終点まで無事バスを運行させたときは、ちょっと独特な達成感を得られたりするぞ。

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2018/02/04 | Comment (3) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Crisis in the Kremlin】ソ連邦を存続させろ!

   ↑  2018/01/24 (水)  カテゴリー: PCゲーム
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  "赤の広場を見下ろす執務室の中、革張りのなんの装飾もない椅子に腰を下ろし、私は深く息を吐いた。
志半ばで病に倒れた同志チェルネンコの後を継ぎ、ソビエト連邦共産党書記長として、これから国家の行く末を担う舵取りの仕事が待っている。
しかし変動する国際情勢の中で、現在のソ連邦の足元は決して盤石ではない。
党も一度は改革派のミハイル・ゴルバチョフにその舵取りを任せたが、妥協に妥協を重ねるあの男の政策が、やがて同胞国家の崩壊やソ連邦の解体に至ったのは歴史の事実だ。
しかし私はその轍を踏まない。尊敬する同志ブレジネフの政治的手法に倣い、断固たる国家運営で社会主義体制の維持と繁栄を実現させるのだ。"
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『Crisis in the Kremlin』は、末期のソビエト社会主義共和国連邦を運営するポリティクスストラテジーゲーム。
これのオリジナルは1991年、まさにソ連邦が終焉を迎えんとしている年にリリースされた。
現在Steamで発売されている本作は、そのリメイク作。ビジュアルやインターフェースなど、かなり仕様は変更されているが、そのテーマとテキストベースのゲーム進行はそのままだ。
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 "1985年に書記長職に就いた私だが、その最初のうちの仕事は過去の党の政策に改めて決裁をくだすものであった。
右派修正主義者どもがプラハで起こした騒動、連帯とか名乗るポーランドのゴロツキども。
同胞国家を脅かす事態には片っ端から「戦車で踏み潰せ!」と指示。このために私は軍とKGBに手厚い予算を盛ってやっているのだ。
なお、エリツィンのクソ野郎への嫌がらせに、ウオッカの値上げはそのまま据え置きにする。"
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 "イラン革命の際に、あの胡散臭い魔道士のような革命指導者をこっそり支援したら、アメリカとの外交関係がこれ以上はないくらい悪化したが、それをいっきに和らげたのはサマンサ・スミスとかいうおっちょこちょいのアメリカ人少女だった。
平和を訴えかける直接の手紙に、「クレムリンはオールナイトニッポンじゃねえんだぞ! 気安く書記長宛にお葉書出すんじゃねえ!」と、一瞬ブチ切れそうになったが、ここは実際にそれを受け取った同志アンドロポフに倣い、「ソ連は怖くないよお。いっぺん遊びにおいでよお」と返事を出しておく。
きっとレーガンも内心苦々しかったに違いないが、こんなことでも実際両国間の緊張が緩和するんだから、世界情勢とは分からないもんだ。
なお、エリツィンのクソ野郎への嫌がらせに、ウオッカの値上げはまだまだ据え置きにする。"
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当時としてはそれなりに頑張っていたオリジナルに対して、このリメイク版はソ連製生活用品を開き直ったかのようにビジュアルは質素。
テキストのまま送られてくる報告書に対する決裁と、電卓による予算配分の二つだけで、地味に淡々と進行してゆく。
党の政策を決定づける報告書は地味極まりないし、予算をいちいち電卓で入力するのも、これまた地味に面倒くさかったりするが、まあここらへんは社会主義国家の融通の効かなさを表したもんだと思っておくべきなのだろう。
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 "グレゴリー・ロマノフを重用し、ゴルバチョフを党の中枢から遠ざけ、改革派の影響力を一掃して足元を固めた。
「スターウォーズ」の見過ぎでいかれたカウボーイどもがSDI計画をぶち上げたときは、非難声明だけでは足りずに「こっちも断固として対抗する」と宣言。
具体的になにをするってわけではないんだけどな。国家の威信を保つのはなんたって虚勢だ。それって基本だろ?
なお、エリツィンのクソ野郎への嫌がらせに、ウオッカの値上げはしつこく据え置きにする。"
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UIやオプションのけれんのなさや融通の効かなさも、これまたわざとなんだか開き直ってるんだか。
カセットテープを模したBGMの操作も微妙に手間がかかるんだけど、ソビエト歌満載のラジオ局は、このゲームの密かなチャームポイント。
執務のお供はこのチャンネル一つでほぼ決まりだろう。
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 "1990年代に入るとあらゆることの雲行きが怪しくなってきた。
軍とKGBと重工業偏重の予算編成が祟ったのか、食糧不足はじわじわと進行し人民の不満を高めている。
80年代にはまだまだ有効だった強権的な措置も、いまや逆の効果しか及ぼしかねなくなってきた。
執務室の窓から見えるデモ隊に対しても、もはやまったく手を打つことができない。
さらに自分の政治的立場が災いしたか、それ以外の妥協的政策がまったく取れなくなってきているのが厳しい。いや、この期に及んでそんなどっちつかずのことやったって焼け石に水なことは分かりきってるのだが。
なお、エリツィンのクソ野郎への嫌がらせに、ウオッカの値上げはやっぱり据え置きにする。"
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 "1994年、いよいよどうにもならなくなってきた。
衛星国で起こった反動の嵐は、あっという間に同胞国家をまとめて津波のように飲み込んでいった。
西側では「民主化のドミノ現象」と呼んだそうだが、こっちの立場になってみればドミノなんて生易しいスピードじゃない。
気づいたらあっという間にもうどうしようもなくなっている。
幸いなのはチャウシェスクやホーネッカーと違って、私にはまだ穏やかな退任という道が残されていることだ。
ゴルバチョフよりも長くソ連邦を存続させられたのも、今となっては私の密かな誇りだ。
「ウオッカは未来永劫値上げ!」
報告書に最後の決裁の判を押し、私はいそいそと執務室を後にするのだった。"

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2018/01/24 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Press X to Not Die】回避はXボタン

   ↑  2018/01/16 (火)  カテゴリー: PCゲーム
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ゲーマーの間では悪名高いQTE(クイックタイムイベント)と呼ばれるシステム。
ともすれば眺めるだけになってしまう幕間のムービーを、アクティブな本編と乖離させないように施されることが多いが、ちょっと一息つこうとお茶かなんかに手を伸ばしたこっちにしてみれば、迷惑この上ないおせっかいであることは間違いない。
そんな嫌われもののQTEだが、しかし日常的に修練を積んでいたことが、思わぬことで役に立ったりすることが、世の中ままある。
例えば道を歩いていて上から突然鉄骨が落ちてくるシチュエーションに出遭ったとしよう。
ここで目の前に青い丸の中にXと書かれた表示が出たとき、即座に押せるか呆然と見送るかで生死が分かれてしまうのだ。
普段ゲームをやり込んでいない人などは、為す術なく見送って鉄骨に押しつぶされてしまうだろう。
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「おい、大変だよ! 町がシャマランの映画みたいな騒ぎになってんだよ!」
いきなり駆け込んできた友人の一言に続くのは、これまたゲーマーにはお馴染みのセリフ選択だ。
シャマラン、シャマラン、……ダメだ、バットで宇宙人を追い返すファンキーな映画のことしか思い出せない。あれ、なんてタイトルだったっけ?
「……リトルマーメイド?」
「はぁ!? まぁいいや。それはともかく、よく聞けよ。Press X to Not Die 」
そう言う友人を押しのけて包丁を片手に襲い掛かってきたのは、いきなり家に侵入してきたイカれた女。続いて画面に表示されるPress Xのアイコン。
そして「こんなゲームにコントローラわざわざ要らねえだろ」とゲームを始めたオレは、キーボードの盤面からXキーを探してあたふたし、為す術なく最初の死を迎えるのであった。
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Youtube全盛のご時世だ。今や実写のムービーを作るのは、アホな仲間たちに恵まれればおよそハードルが低くなった。
問題はその実写ムービーをどうやってゲームに仕上げるかだ。と言うかそんなもんQTEで繋げるくらいしか思いつかない。
そんな逆算から作られたようなインディー産フルモーションビデオ、『Press X to Not Die』。
もちろんプレイヤーが押さなきゃなんないのはXボタンだけじゃない。RTLT連続押しで全力疾走し、Bボタン連打で塀を乗り越え、Yボタンで彼女のシャワーシーンを覗き見。
なにせ町の住民は揃ってイカれちまって、互いに殺し合いしてるような騒ぎだから、一時も気が抜けやしない。
もっともこんなゲームで緊張を強いられるのは、腹が立つやら情けなかったりするのだが……。
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町からの脱出を図るプレイヤーと彼女を入れ替わり立ち代り襲う、ガリ勉女にホッケーガイにヌンチャク男。
そしてこの騒ぎの背後には軍の恐ろしい科学実験の陰謀が絡んでいるのであった。
もっとも軍のなんちゃらかんちゃらってのは、それ以上の説明を省く方便みたいなもんだし、出てくるキャストはみんな製作者の身内か悪友ばっかなので、そこにスリルやサスペンスが介在する余地なんかない。
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身内で映画を撮るってのはホント楽しいもんだ(そこに色恋沙汰のねじれが勃発しないという条件付きだが)。
エクストラのギャラリーにあるこいつらの撮影風景を眺めてみても、ムダに盛り上がっている楽しそうな様子が伝わってくる。
それに付き合ってQTEに振り回されるこっちは災難もいいとこだが、まぁこればっかりは実写ゲームとみるとすぐ手を出してしまう自分の業を恨むほかはない。
298円の本編に加えて98円の追加コンテンツが存在するが、これに含まれているプロトタイプフッテージ(自宅にあるぬいぐるみやフィギュアを総動員して撮ったリハーサル版)もホントしょうもないので、本編で喰らった脱力のダメ押しに是非どうぞ。


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2018/01/16 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Phantasmagoria】和名はファンタズム

   ↑  2018/01/12 (金)  カテゴリー: PCゲーム
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旦那をイカれたDV野郎にさせないために、全力で諌めるべきことが二つある。
歴史のあるデカい屋敷に引っ越そうとする。雪深いホテルの管理人に志願する。
このどちらかを夫が始めようとしたら、何が何でも止めるべきだ。エイドリアンは前者を怠ったがために、とんでもない目にあった。
彼女と夫のドンが越してきたのはニューイングランドの片田舎にある古い家。玄関ホールだけでバレーボールのコートがすっぽり収まりそうな大邸宅だ。
ただ大きいだけじゃない。家の中には管理する不動産屋ですら与り知らない秘密の通路や小部屋があちこちにある。
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そんな謎に満ちた屋敷の元の持ち主はゾルタン・カルノという19世紀の著名マジシャン。もうこれだけで怪しさの二重奏だ。
そして案の定、エイドリアンは引っ越し早々、行動と行動の間にまるで入力を待つように棒立ちになる呪いを受けるのであった。
オレの実写ゲーム好きは、90年代の初めから中期にかけて盛り上がった、当時フルモーションビデオ(FMV)と呼ばれていた一連の同系作品のブームに起因する。
『7th Guest』、『Harvester』、メガCDのラインナップになって日本でも知名度のある『Night Trap』、国内産FMVと言える『山村美紗サスペンス 京都鞍馬山荘殺人事件』など。
雨後の筍のごとく登場したこれらの作品に、オレはそれまでのゲームとは違う"大人に向けた娯楽"の香りを、どういうわけだか感じてしまったのだ。
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映画的表現の影響を受けたり、あるいはダイレクトに持ち込んだりしていたのも、それらのゲームに感じた魅力の一つだ。
そしてそれは既存ゲームがそれまで引いてきたボーダーラインを越える表現を可能とした。
今でこそグロテスクやブルータルな表現を擁するレーティングマチュアゲームの存在は、ごく当たり前のものとなっている。
『Phantasmagoria』は、そうした土壌が育まれるのに大きな役割を果たした作品だ。
ホラーゲームの歴史においても重要なポジションを占めるこのゲーム、なにせスラッシャームービー顔負けの殺人シーンがてんこ盛りなのだから。
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口の中にシャベルを突き刺したり、首を万力でねじ切ったり、そんなショッキングシーンの数々が実写ムービーであるのをいいことに、当たり前のように挿入されている。
それも話題となったのか、このCD-ROM7枚組の大作は発売早々大ヒットを記録。そして残虐表現を含んだメジャーゲームとして、当然のように物議を醸すことになる。
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しかしその一方でFMVゲームは、実写表現とゲーム性の間に噛み合わせの悪さを揃って露呈していた。
あるものはLDゲームの延長に留まってしまったり、またあるものは実写のインタラクティブ化に果敢にチャレンジして、かえってキッチュなシロモノになってしまったり(『Phantasmagoria』の主人公棒立ちなどは、その一例だろう)。
それもあってか主に次世代CD-ROMゲーム機を経由して日本に紹介されたこれらの作品は、軒並みゲテモノ的な受け止め方をされてしまう。
『ファンタズム』のタイトルでセガサターン版が国内発売された本作も、その例に漏れなかった。
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古い屋敷に引っ越してきたら、決してやってはいけない行為。それは好奇心に駆られて家の中を細々と探索しないしないことだ。
たとえそうしないとゲームが進行しなくともだ。エイドリアンはそれをやったがために、封印された悪霊を解き放ってしまった。
しかし事態はジェットコースタームービーのようにエクストリームには進行しない。むしろ端折ることなく挿入されたエイドリアンのブルーバック小芝居の後押しを受けて(FMV主演女優賞というのがあるとしたら、間違いなく受賞はこの人だ)、静かに緩やかに進む。
そしてプレイヤーが律儀にCD-ROMを入れ替えるごとに、この不気味な屋敷を包む空気はクライマックスに向けて緊張の度合いを増してゆくのであった。
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予算や手間暇に対して結果がとてもじゃないけど見合わないことが分かったからか、あるいはCGムービーの発達によってその必要性が薄れたからか、FMVのブームは潮が引いたように去っていってしまう。
『Phantasmagoria』は知名度においても、セールスにおいても、そしてCD-ROMの枚数においても、一過性のブームの中でもっとも弾けきった作品。
今では重要なクラシックとしてSteamで配信されている。エイドリアン役の女優さんの渾身ブルーバック演技は、まだまだ色褪せることないのだ。

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2018/01/12 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Axel & Pixel】駄犬とボヘミアン

   ↑  2018/01/04 (木)  カテゴリー: PCゲーム
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アクセルは雪深い山奥に居を構えるボヘミアンな画家。
図体はデカイけどちょっぴりグズで気弱なピクセルはその愛犬。
創作の合間に暖かい暖炉の前で1人と1匹揃ってうつらうつら。そんなときにいたずらネズミが変なピッチで蓄音機を鳴らしちゃったもんだから、さあ大変。主従は奇妙な夢の世界へと引きずり込まれるのであった。
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そこはアクセルのクリエイティブな夢想の世界。
美しい自然の景色とどこか暖かみのあるオブジェ。そしてちょっぴり縮尺が狂った生き物たちが織りなす生きた絵画の中で、画家と駄犬は失われたモチーフを探してついでに脱出するポイント&クリック旅に出るのであった。
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『Axel & Pixel』はチェコの独立ディベロッパーが2009年にXbox LiveアーケードでリリースしたグラフィカルADV。
このXBLA版は国内ストアでは未配信に終わり、海外版も現在ではストアから姿を消してしまっているようだが、このSteamへの移植版が健在だ。
ポイント&クリック形式のADVは、得てして風が吹けば桶屋が儲かる的な解法を要求されることが多いが、本作の難易度はかなり低め。
各ステージは絵画を模して精緻に描き込まれているが、それに対して探索するポイントは限定的。
反応のある場所を総当りしているだけで、この世間的にはまったく潰しの効かなそうな主従を導くことができるだろう。
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その代わりに厄介なのが唐突に挟まれるQTE要素と、春夏秋冬のパートをブリッジする簡易アクションゲーム。
QTEはタイミングの猶予こそシビアではないものの、指示アイコンが極端に小さすぎて咄嗟に判別するのは至難の業。
気球やバギーなどに乗り換えるミニゲームも操作性に妙なクセがあり、なによりもせわしなくて、のんべんだらりとした本編との乖離が著しい。
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見どころはやはり美しいビジュアルと、それにちょっかいを出すことで返ってくるユーモラスな反応。それに対するボヘミアン主従のあたふたしたリアクション。
ゲームに出てくる犬というと、聡明で主人公の行動を勇敢に手助けするようなタイプがほとんどだが、本作のピクセルはたまに役には立つけれど、基本的にこっちの方がその身を気遣ってばかりいるような臆病っぷり。
世俗から離れた画家の、さらに現し世からも離れた夢世界行脚の緩い緩いムードの後押しも受けて、そんな駄犬がとことん愛おしく思えてくる隠れ犬ゲーだ。

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2018/01/04 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |