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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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FallOut  

【Fallout 3】たったひとつの冴えたやり方

   ↑  2009/01/10 (土)  カテゴリー: XBOX 360
オレがそのテンペニータワーという豪華な建物を不毛の荒野に発見したのは、もう夜もだいぶ更けた頃だった。
”乱暴熊さん”ことヤオグアイの気配に怯えて、夜を過ごす休む場所を求めていたオレにとって、その迷える船を誘う灯台のような塔が、なんと暖かく、そして心強く見えた事であったか。
そのタワーは電動式の堅い門と、スーパーミュータント・フットボールチームのディフェンスラインが一晩中タックルを繰り返しても壊れそうもない、頑丈で高い塀によって守られていた。
ロビーに一歩足を踏み入れると、そこはもう今が核戦争後の終末世界とはとても思えない豪奢な空間。
核戦争前の日本では、こんな高層ビルの住人を”ヒルズ族”などと称してもて囃していたが、ウエイストランドでは、このテンペニータワーの住人を"タワー族"などと呼ぶのかもしれない。
終末世界の勝ち組、羨ましい。オレもここに住みてえ。Prince Charmingの"Playboy The Mansion"の替え歌がついつい口をついて出てくる。
♪ I Wanna Live At The Tenpenny Tower
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「オレってテンペニータワーに住んでるんだぜ。」
そんな台詞を吐きながらタワーの部屋のキーをちゃらちゃらさせるだけで、女の子という女の子は、もう喜んでオレのケツについてくる事だろう。
モリアティ酒場のノヴァだろうが、デュコフに囲われているチェリーだろうが、もう片っ端から靡いてくるに違いない。
「タワーからの眺めを味わってみないか?」
そんな台詞でモイラ・ブラウンを誘い出してみるのもいい。そしてタワーの窓から身を乗り出して下界を眺めているモイラの背中を「人をさんざんモルモット扱いしやがって!」と、どんと突き飛ばしてみるのもいいかもしれない。
そして悲鳴を上げながら転落していくモイラに「あのなぁ、棍棒の事を殺鼠剤とは言わねえんだよ!」と、止めの一言を浴びせてやるのだ(そのせいでオレはどれだけあの下水道局を無意味に彷徨った事か)。
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どうやらこのテンペニータワーには、空き部屋があるみたいだ。そしてこのタワーは現在ちょっとした厄介事に直面しているらしい。
トラブルを無事解決して「君みたいな頼もしい奴は、是非ともここに住んでくれないか?」。これはきっとこのパターンに違いない。
そうなればオレは晴れて"タワー族"の仲間入りだ。憧れの勝ち組人生に、ついにに足を踏み入れられるのだ。
ここの入り口で何やら揉めていたグールの男がトラブルの原因らしい。近くにあるグールのねぐらを襲ってグール連中を始末してくれないか、との依頼を受ける。そんなのお安い御用ですとも!
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ところが話はそう簡単には進まなかった。
グール達が、出っくわすなり「お前の母ちゃんでべそ!」と叫びながら問答無用で発砲してくるような連中なら話は早かったのだが、ごく普通に出迎えられるとなると話は別だ。
聞けば連中も純粋にあのタワーの住人になりたいだけだと言う。ただ、この外見のせいでいわれのない差別を受けているのだと。
そう実情を知らされると、小善人なオレとしては、荒っぽい手段で事態の解決を図るのは、どうにも憚られてしまう。
分かった、タワーに戻って住人たちを説得してみる、と調子の良い返事をしてオレはグールの住処を後にした。
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「こんな時代だからこそ、全ての人々が互いに手を取り合い、協力し合って歩まなければならないんじゃありませんか!?」
タワーの住人たちを前にしてのオレの熱弁は数時間にも及んだ。
「そしてこのテンペニータワーを、人類の進歩と調和のシンボルにするんです。ここが言わばウエイストランド版の太陽の塔となるのですよ。芸術は爆発だ!」
「……確かにわしらは彼らに対して偏見を抱いていたのかもしれんな」
それまで黙りこくってオレの熱弁を聞き入っていたアリステア・テンペニーが重い口を開いた。
「帰ってロイ・フィリップスに伝えてくれんか? 我々はいつでも君らを住民として迎える用意があると」
「その必要はありません。実は貴方たちにOKを頂けると確信して、もう既にロイ達をここに呼んであります」
オレの合図でロイ・フィリップスが部屋に入ってきた。
「ロイ、今まですまなかった」
「いいんですよ、テンペニーさん。分かって頂ければ」
「ではロイ、改めてテンペニータワーへようこそ」
ロイの眼にもテンペニーの眼にも、そして驚くべき事にあのグスタボ隊長の眼にも涙が浮かんでいる。
そこかしこで手を取り合うタワーの住人とグール達。これにてハッピーエンド、よかったよかった!
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なんてのは、全てタワーとグール住処の不毛な往復に疲れ果てたオレの妄想だ。
結論から言って説得は失敗した。それどころかグスタボ隊長からは「くだらねえこと言ってないで、とっととあのグールどもを始末してこい!」と叱責される有様だ。
グールの住処を再訪しても、やっぱり無理だったと切り出せるはずもなく、業を煮やしたロイ・フィリップスからは「もうあそこの住人を皆殺しにして奪うから、お前はタワー潜入の手引きをしろ」などと、新しくもこれまた血生臭い提案を出される有様だ。
両方にいい顔して両方の頼みを安請け合いしてタワーとグール住処の往復。これを何度繰り返そうと、事態は何一つ進展しやしない。
なんでオレ、こんなに赤の他人のために汗を流さなければならないんだろう。
もう一度原点に立ち返ってみよう。オレがタワーの住人になる事、それが核心の話だった筈だ。
しかしオレはゲームの中でも所詮は小善人。悪逆非道な手段など執れるわけもないのは自分でも分かっている。
歩むべきは正しい道だ。しかし、この場合の正しい道とは、果たしてどんな手段を指すのであろうか。……それは死人が少ない方の道だ!
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そして人々が寝静まる真夜中、オレは火炎放射器を背負ってグール達の寝室の前に立っていた。
度重なる来訪で連中はオレのことをすっかり信用しきっているのであろう。無防備な寝姿を晒している。
良心の呵責は自分を無感動、無感情に追い込めば克服できる。オレは火炎放射器のレバーに指をかけた。
ここで下卑た笑いと共に「♪ ぐろーりーぐろりーはれるーやー」などと歌いながら火炎放射器をぶっ放せるようなら、オレも立派なウエイストランドの悪党になれるのだろう。
しかし、おのれを無感情に追い込んだオレは、仮面のような表情で抑揚もつけずに「♪ 燃えろ燃えろ燃えろ 世紀末と共に 灰に灰に灰になっちまえ」と、The Star Clubの"Pyromaniac"を小声で口ずさむのが関の山だった。
グール達をこんがりローストに焼いた後、オレはその足でテンペニータワーに向かった。
オレは正しい道を歩いた。これが最良の手段だった。これだけが、このウエイストランドで、たった一つの冴えたやり方だったのだ。後は事の始末をグスタボに報告して、テンペニータワーの住民に加えて貰うだけだ。
点けっぱなしのギャラクシーニュースラジオから、スリードッグがオレを悪し様に罵る声が聞こえてきた。
「情報早すぎだよ」。そう呟いてオレはラジオの電源をそっと切った。
夜の帳の中、テンペニータワーの灯火だけが、オレを暖かく包んでいた。
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