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【Fight Night Round 4】'70年代最強の男

   ↑  2010/09/18 (土)  カテゴリー: XBOX 360
どんなジャンルにも、その世代の人間ごとのヒーローが存在する。
野球、プロレス、ロック、大相撲、サッカー、フットボール。長い歴史を持つジャンルであれば、それぞれの時代、それぞれの世代に一瞬の煌めきをみせた、絶対的な偶像が存在するのだ。
それは力道山であったり、ONであったり、ビートルズであったり、三銃士であったり、ピストルズであったり、牛島であったりと、世代によって当然バラバラだ。
え? 最後のは一体何ですかって? 俺にとって'80年代のプロ野球は牛島和彦の時代なんだよ。ほっといてくれ!
「牛島ぁ! 頼むぞぉ! お前しか居ないんだ!」
ロッテ・オリオンズが珍しく終盤までリードを保っている九回。ストッパーとしてマウンドに向かう牛島の背中に何度そんな声援を送ったことか。
そして、試合を終えてベンチに引き返してくる牛島の姿を見ながら、何度「牛島ぁ…、なんちゅうことをしてくれんだ…」と悔し涙に暮れたことか。
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俺ががきんちょの時代。'80年代の野球ヒーローが牛島ならば、ボクシングのヒーローは”ヒットマン”トーマス・ハーンズであった。
レナード、ハグラー、ハーンズ、デュラン。ファビュラス・フォーと呼ばれた不世出のボクサーたちが、同じ世代、同じ階級に一堂に会し、しのぎを削り合った夢のような時代。
その中でも俺はハーンズにぞっこんだった。あのボクサーらしからぬ異形の風貌。だらりと垂らした左腕から目にも止まらぬ速さで放たれるフリッカージャブ。そしてそのジャブの後から飛んでくる、槍を突き出すような右ストレート。
後にバイト先で知り合った、ボクシング好きらしい年配の正社員に、そんなハーンズの魅力を語ったら、彼はひとしきりこちらの話を聞いた後、ぼそりとこう言ったのだ。
「でもね。いくらハグラーやハーンズ言ったって、カルロス・モンソンには敵わないでしょ」
彼が出した名前は、その頃でも既に古豪扱いになっていた、アルゼンチンの英雄カルロス・モンソン。
'70年代のミドル級を制し、14度の防衛を重ね無敗のまま引退した、当時のパウンド・フォー・パウンド最強と謳われた名選手。
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さぁ、”俺たちの世代のヒーロー”同士の衝突だ! この手のファンが代理で行う激突は、決着が付かないから始末に悪い。
「それにハーンズって、結構いいとこで負けてるでしょ? モンソンはチャンピオンになってから一度も負けなかったんだよ?」
「相手がレナードやハグラーだから、しょうがないっすよ! それくらい周りも異様にレベルが高かったんだから。それよりモンソンの無敗って、強い人とやっての無敗なんすか?」
「もちろん強い相手は居たよ。ウェルター級の帝王ホセ・ナポレスをKOで倒してるし」
「……二階級も下の選手じゃないすか!」
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そんな論争は当然結論が出ることもなく、ぐずぐずのまま終わったのだったが、まぁあらゆるジャンルでよくある、それぞれの世代にとってのヒーローを巡っての諍いだ。
当時の俺は、モンソンのことは名前を知っている程度だったのだが、それ以来この'70年代を代表するボクサーのことは頭にひっかかていた。
しかし、今と違ってそうおいそれと、古いボクシング試合の映像を観る機会などありはしない。俺が動くモンソンの姿を見たのは、それからしばらく経ってからのことだった。
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そのモンソンの試合ぶりは、一言で言って掴み所がないものであった。
スピードがあるわけではない。むしろ鈍重に見える。教科書通りの左ジャブ(これもスピードがあるわけではない)を放ち、そして長いリーチを活かした右ストレートに繋ぐ。愚直なまでにこれを繰り返す。
ワンパターンで変化のないボクシングスタイル。素人目で唯一モンソンの大きな武器と思えるのが、そのナチュラルに強そうなフィジカルであろうか。体格もでかいし、相撲なんかやらせても結構強そうな気がする。
そんなナチュラルな強さを持った男が、愚直なまでに自分の型を繰り返して前進を続ける。これって実はもの凄くタチの悪い、対処のしようがない強さではないのだろうか。
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ジャブでリズムを作り、ジャブで相手を崩して右ストレートに繋ぐ。この型を頑なに崩さないボクシングは、ハーンズと一緒だ。
ただしハーンズのそれがモダンなのに対して、モンソンは相当にクラシカル('70年代に於いても、相当古いスタイルだったんじゃないだろうか、あれは)。モンソンのオーソドックスなジャブに対して、ハーンズはフリッカージャブ。
モンソンの教科書通りの右ストレートとは対照的に、ハーンズのそれは教科書破りの豪快に打ち下ろすストレートだ。
この両者が激突したとすれば、実に興味深い。現実には不可能なこの対戦、FNR4で実現させてみせよう!
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どうしてもハーンズ贔屓になる俺の見方を差し置いても、この対決はやはりハーンズの方が有利な気がしてならない。
その体格やリーチの長さをアドバンテージとしてきた(ナポレス戦なんか、大人と子供くらいの体格差があるし!)モンソン。
しかし、この対戦ではそのアドバンテージが通用しない。身長もリーチもハーンズの方が上回っている。己のジャブの射程外から、ハーンズの長い腕から繰り出されるジャブは飛んでくるのだ。こんな事態を経験するのは、恐らくモンソンにとっては初めてのことだろう。
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いつも通り、両者CPU操作にして対決を見守ろうとしたが、直前で居ても立ってもいられなくなり、コントローラーを手にする。やっぱりハーンズは俺の手で動かす! ハーンズが負けるとこは見たくない!モンソンだろうが、ロビンソンだろうが、ジョーンズ・ジュニアだろうが、どんな世代のヒーローにも、俺の世代のヒーローが負けちゃならねえんだ!
「なまじあんたが操作しない方が、ハーンズの為なんじゃないですか?」なんて正論が聞こえてきたような気もするが、とにかく、俺が考えた打倒モンソンの秘策を実現させるためには、CPU任せにしてられないんだ。それに実のところCPUに任せると、あんまりハーンズらしい闘いをしてくれないし……。
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レナードを一時は封じ込んだ、徹底したアウトボクシング。それが俺の打倒モンソンの秘策だ。
モンソンの射程外から、徹底的にフリッカージャブを叩き込む。接近戦は絶対しない。短い距離だと、モンソンのフィジカルで相手を押し切ってくる連打が怖い。
過去のモンソンの相手は、体格差からどうしても自らモンソンの距離に入っていかなければならなかった。
しかしハーンズにはその必要はない。業を煮やしたモンソンが詰め寄ってきても、フットワークではこちらが二枚も三枚も上だから、余裕で足を使って逃げられる。
後は自分の距離をひたすら保って、ジャブ、ジャブ、時折隙を見て左。これでモンソンを完封できる。問題となるのは、操作する俺の集中力くらいだ。
「ハーンズのジャブは一等級ですね。東急ハーンズ」
リングサイドの実況席から、ジョー小泉さん恒例のダジャレ解説が聞こえてきたような気がして、一瞬「ジョー、うるせえ! こっちは真面目にやってんだ!」と我を失いそうになったが、なんとか惑わされず集中力を維持する。そしてフルラウンドを闘った結果、その判定は…!
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俺のハーンズはやはり最強だった。
もっとも、俺が客だったら「金返せ、バカ野郎~!」と罵声を飛ばしていたかもしれないほど、傍目には退屈な試合だったかもしれないが、少なくとも俺の中で、ハーンズの威光は確かに保たれたのだ。
あの時の正社員さん、やはりモンソンよりもハーンズの方が強かったんですよ!
だがこれはあくまでも俺の中で完結した話。件の正社員さんも、きっと今頃You Tubeでモンソンとハーンズの試合を見比べて、「うん、やっぱモンソンの方が強い!」などと自分の中で結論を出していることだろう。
世代間ヒーロー同士の闘いは、かくして永遠に決着が付かないのであった。
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「もうリングの中で証明すべきことは、何一つ無い」
そんな決まり過ぎるくらい決まっているセリフと共に、無敗の王者として引退したモンソン。
ボクサーらしからぬ甘い風貌。練習嫌いで知られ、リングの外でも様々なスキャンダルやダーティーな事件を引き起こした問題児モンソン。しかしその晩年は光ではなく影に染まっていた。
愛人を殺害した罪で実刑判決を受け収監され、そして服役中の'95年、土、日の帰宅日(…どういう懲役刑だ、それ!?)から自らの運転する車で刑務所に戻る途中に事故死(一説には多量の飲酒をしていたと言われる)。
享年52。無敗のまま王座に君臨し続けた'70年代最強の男は、こうして実にあっけなこの世を去っていったのだった。
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