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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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【サウンドノベル 街 -machi-】渋谷のモニュメント

   ↑  2019/01/11 (金)  カテゴリー: セガサターン
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渋谷駅の南口から首都高を越えて山手線沿いに南に下った桜丘。
再開発プロジェクトで大きく変貌した渋谷にあって昔からの街並みを残す場所であったが、やはりここにも再開発の手は及び、昨年あたりから店舗が次々と立ち退き、少しずつゴーストタウン化していた。
そしてついに道路も封鎖され、あとは一帯の取り壊し~長い長い工事期間を待つばかりだ。
街は生きものだ。その姿は否応なしに変わってゆく。
ましてや渋谷のような人々の思惑に大きく振り回されるような土地ならば、その変貌もドラスティックだ。
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こう見えても浮かれた学生時代を送っていたオレにとって渋谷は色々な思い出が詰まっている街だが、それ以外にも90年代の終わり頃に、ある8人の運命の糸を結んだりほつれを解いたりと悪戦苦闘させられた舞台でもある。
『サウンドノベル 街 -machi-』。『弟切草』『かまいたちの夜』に続いてチュンソフトが放ったサウンドノベルの第三弾だが、オレの中では前二作を遥かに超えた別格の存在だ。
このゲームのメインシナリオライターを務めた長坂秀佳氏のインタビューで、渋谷のスクランブル交差点に発想を得たなんてことが述べられていた覚えがある。
四方八方それぞれの方向に歩を進め、肩を接触せんばかりにすれ違っていく無数の人々。
それは人々がそれぞれの生活や人生を抱えて思い思いに生きていく都市生活の凝縮した姿だ。
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こんな事情を持ったやつにあんな事情を抱え込んだやつ。
いつもだったら街なかですれ違って終わりの二人に接点を持たせたら、果たして双方の運命はどのように変転するのだろうか。
ただ読み勧めて選択肢に行き当たるストーリー主導のADVではない。巨大な街の中をすれ違う無数の運命の管制官となって、ときにはその行く末を整理して導き、ときには冷たく突き放す。
そして合間には8人以外の脇役キャラクターたちのTIPSから、主人公たちに負けじと劣らずドラマチックな彼らの運命を想像する。
そんな人の運命を左右する立場に心底打ち震えた。前月に発売された『グランディア』と並んで、セガサターンの最後の力を振り絞った輝きとなった名作中の名作だ。
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その『街』もいまや20年前の立派なレトロクラシック。
ただでさえこの数年のうちに大きく様変わりしているのだ。このゲームに残された20年前の渋谷の風景などは、もはや一種の歴史モニュメントみたいなもんである。
このゲームの発端となったスクランブル交差点も、本作の中のそれは肥大化した今のそれに比べたら、幾分ささやかな人の数だ。
大きく変貌した駅周辺やセンター街、道玄坂界隈に対して、昔からの建物も残っている。
細井美子がバイトをしていたタワーレコードは今も健在だ。篠田正志が暇を潰していたマルハンパチンコタワーのように、建物自体は残りながらもテナントが入れ替わってしまった(現在はメガドンキ)ロケーションも多々ある。
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そして桜丘。
『街』の中では刑事ドラマのロケ隊が訪れるこの地は、現在もほぼその姿を残しているものの、あと一、二年もすれば高層ビルが屹立する、往時をまったく想像することのできない風景に変わってしまうだろう。
もちろん『街』で描かれる渋谷は90年代のあの地にあった空気をすべて切り取ったものではない。その姿は一面的な視点にものだ。当時の渋谷には一方で毒々しく荒んだカルチャーが狂い咲いていた。
それでも『街』がモニュメント足り得ているのは、その名の通り、キャラクターやシナリオを母艦のように包み込んだ渋谷の街そのものが、このゲームの真の主役である証なのだろう。

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