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ホラー  

【Layers of Fear】芸術無罪

   ↑  2018/03/28 (水)  カテゴリー: XBOX ONE
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夫は画家、妻はピアニスト。共に将来を嘱望される新進気鋭の芸術家。そう、そんな者同士の結婚など、うまく行きっこない。
芸術を生業とする夫婦。その関係で犠牲を強いられるのは、おのれの創作に対する妄念が、より希薄な側だ。
この夫婦の場合は妻の方であった。妻には浮世離れした世界から自分を現実に引き戻した子供の存在もあった。
妻の下車もあって、この家におけるたったひとりの芸術の王様となった夫は、その環境に溺れ、慢心し、そしてなにが一番大切なものなのかを見失った。
そして罪と悲嘆と怨嗟を溢れんばかりに詰め込んだ、家のという名のキャンバスの中に、画家はずっと閉じ込められている。
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『Layers of Fear』はこの画家の目を借りて、妄執と悲しみが行き場を失って蠢き続けるリトルワールドをさまようゲーム。
右スティックでせわしなく動く画家の目線は構図の移ろい。
そしてそのアングルは画家の狂気を反映するかのように、崩れ、整合性を失い、エキセントリックな色彩に染められてゆく。
さっきまで進んでいたごくごく普通の廊下。しかし後ろを振り向いてみると、先程まであった景色や構図からなにもかもが一変している。
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右を向くたび、左を向くたび、上を見上げるたび、視線を動かすごとにまるでビックリハウスのように佇まいを変える館の風景。
リビング、キッチン、子供部屋、屋根裏、家の中の繋がりも早々と崩壊して、でもチャプターの終わりごとに画家が必ず戻るのは自分のアトリエ部屋。
おのれの醜さや傲慢さ、しでかした罪の重さを彷徨の中でさんざん見せつけられたあと、その畏れや慄き、思いの丈を塗り重ねるために、今や自分のたったひとつの居場所となったキャンバスの前に帰ってくる。
そしてその絵が完成に至ったとき、哀れで罪深い画家の魂は解放されるのだろうか。それは画家の目を借りるプレイヤーの行動次第だ。
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練り込まれたスクリプトと環境変化表現、緻密なビジュアル構成をレイヤーのように丹念に重ね、精神が崩壊した画家のパラノイアックな小世界を数時間の中編サイズゲームプレイに磨き込んだ良質のアドベンチャーゲーム。
びっくり箱のように手を変え品を変えプレイヤーを驚かすそのアプローチは、確かのホラーゲームの一種だが、そこで描かれるのは緊張と恐怖の連続ではなく、むしろこの世界に居続けるごとに胸を締め付けられていくような悲しみと、救済を求め続ける画家の内なる叫びの声だ。

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