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【Fable 2】寓話を紡げ

   ↑  2017/12/25 (月)  カテゴリー: XBOX 360
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満月が美しい冬の夜に、そのおとぎ話は残酷に幕を開ける。
たった一人の肉親である姉との永遠の別離。初代『Fable』のイントロダクションも同様の流れであったが、ふれあいがあまりにも一瞬すぎて顔すら覚えていなかった前作と違って、今回は短いながらも濃密なひとときを過ごしただけに心は痛い。
それよりも心残りなのは、置いてきてしまったわんこのことだ。
そのわんことはあっという間の成長を経て無事再会できた。
そうとなればやることはただ一つ、肉親をぶっ殺した奴への復讐。これまた前作と共通した、グリムでもアンデルセンでもなかなか子供向けに濾過しづらい、血なまぐさいテーマだ。
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素敵なゲームは誰もががその続編を要望する。
だけど本当に続編を待ち望むべきゲームは、既に完成された傑作じゃない。むしろブループリントに毛が生えたような、未完成未整理で終わってしまったような作品だ。『Assassin's Creed』、そして『Fable』。
叶えられなかった理想を今度こそ実現させるため、プロトタイプに終わってしまった第一作目に丹念に磨きをこめて、これこそが本命と世に送られる。
代替わりしたハードの勢いにも後押しされた、『Fable 2』は、そんな運に恵まれたゲームだ。
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しかし善と悪が表裏一体ならば、幸運と不運も同様。
ほぼ同時期にべセスダの大作『Fallout 3』が登場し、同じ年末発売の大作RPGということで比較の対象になってしまったのが、この国で『Fable 2』が被ってしまった不幸の一つだ。
このゲームが語られるときに自由度なんて言葉が頻繁に使われたことも、その不幸を後押しした。
だが『Fable 2』は『Fallout 3』のようなオープンワールド的自由を掲げてはいない。むしろ非情に窮屈なゲームだ。
舞台となるアルビオンは丁寧に描かれ愛着の持てる世界ではあるが、しかし本質的には寓話の「むかしむかしのあるところ」以上の意味は持っていない場所。
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なにより『Fable 2』はいわゆるロールプレイングゲームではない。その名の通り寓話を紡ぐゲーム。
そのプレイヤーキャラはコントローラを持つ者を自己投影する分身ではなく、英雄という極めて曖昧な呼称を持つ物語の便宜的な主人公だ。
それを象徴するのが、プレイヤーがキャラの性別を選択した後、狂言回しである盲目の占い師テレサ(初代姉ちゃん)の口から語られる、「さあ、彼(彼女)の運命を見守りましょう」と、主人公を軽く突き放した言葉である。
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そしてプレイヤーは、この寓話集の編纂者としての立場から、第三者的に主人公の行動にコミットしていく。プレイヤーが紡ぐんでいくのは、人生ではなく物語であるのだ。
一見個性的なタグが打ち込まれていながら、実は極めて無個性な存在である本作の住人たちは、この寓話の登場人物であると同時に一番最初の読者でもある。
プレイヤーが主人公の行動を通して紡ぎ出した物語に目を輝かせたり、或いは顔をしかめたりと、ダイレクトに反応してくれる忠実な読者だ。
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善と悪の概念もこれまた便宜的なもの。
現れる結果は両極端だが、しかしほとんどの英雄は自分のモラルとは関係なしに、その時その時の都合、あるいは本作から加わった実績の都合によってその狭間を右往左往するだけだろう。
そしてどんな善行も邪悪な振る舞いも、地道な労働も不労所得へのあこがれも、結婚も荒淫も不義密通も、すべては等しくロングタイムアゴーから始まる物語の中に集約されてゆく。
英雄も鼻つまみ者も、倫理も不倫理も表裏一体。寓話の中ではそれは平等に存在できるのだ。
そんなすべてが寓話のための記号で満ちた世界で、英雄とプレイヤーが唯一シンクロして心を通わせる存在。それは物語の初めから終わりまでを共にした愛しいわんこだけである。

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2017/12/25 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment


犬物語

厳寒に読みたくなるのがジャック・ロンドンの極地もの。ジュブナイルから文庫まで多作ですが柴田先生翻訳の「犬物語」が素晴らしかったです。ペットというより生存に不可欠なパートナーなんですね。南極点一番乗りを果たしたアムンゼンの偉業には犬橇が大きく貢献していたそうですし。英雄と犬の物語に心惹かれます。

奈良の亀母 |  2017/12/27 (水) 10:22 No.1375


猟犬が一方の主役を張ってる小説にも傑作が多いですけど、やはりその系譜ですよね。
戌年の盛り上がりに煽られて、西村寿行の「黄金の犬」が妙に読み返したくなってるんですけど、なかなか見つかりません。
子供の頃に観た映画版は池玲子のエッチシーンしか記憶に残ってないです。

与一 |  2017/12/30 (土) 18:49 No.1376

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