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映画【血の魔術師】

   ↑  2017/05/30 (火)  カテゴリー: 映画・DVD
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楽天SHOWTIMEに突如降って湧いた血糊と臓物の雨。
昨年大往生を遂げたスプラッター映画の祖、ハーシェル・ゴードン・ルイスの代表作5本と、その足跡を追ったドキュメンタリー「ゴッドファーザー・オブ・ゴア」(監督は「バスケット・ケース」のフランク・ヘネンロッター)が一挙配信開始。
日本でこの血みどろゴア映画のオリジンが最初に注目を浴びたのは、特殊メイクブームやスラッシャー映画の流行などでジャンル自体が一般的に認識されるようになった1980年代中頃だったと思う。

そのジャンルの創造者としてにわかに脚光を浴びたルイスの作品は、当時のマニア系映画雑誌や書籍などに頻繁に取り上げられるようになった。
誌面のカラーページを飾る毒々しく血なまぐさい色に彩られたスチル写真に目を奪われたオレは、当時はかなり高価だったビデオソフトを観る機会を待ち望んだ。
そして友だちの友だちの父親だか、とにかくそんなルートから回ってきたビデオを前にして、そのあっけらかんとして虚仮威しな内容を前に、思わず拍子抜けしたのであった。
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マニアが撮りマニアが観るジャンル。しかしその偉大なるオリジネイターは、ジャンルやその表現に対する深い情念を持ったマニアでもなければ、世間の神経を逆撫せんとする愉快犯的な気質とも一切無縁だった。
ただ単に商売になるから血と臓物がドバドバ出る映画を撮った。
もし彼が当初の目論見の通りエロ映画でそれなりの成功を収めていたら、ハーシェル・ゴードン・ルイスは凡百のエクスプロイテーション映画屋に留まり、その名が映画史に残ることもなかったであろう。

だが幸いにも(?)エロ映画が不発に終わったルイスは、今度は血糊に目をつけた。
こいつがドバドバ流れる映画を撮ればウケるんじゃないか。そしてそれは思っていた以上の注目を浴びた。
後に脈々と続く因業なジャンル映画、スプラッターホラーの生まれた瞬間だ。

ルイスのスプラッターに対するこだわりは単純明快だ。
若く美しい娘が惨たらしい目に遭う。そんでもって血とモツがいっぱい流れる。そうすりゃとにかくお客にウケる。それ以上の思い入れはまったくない。
そのシンプルな興行師魂は意外なほどカラッとした作風となって反映され、そしてそれは毒々しい色彩の絵面と奇妙な相乗効果を及ぼして、ハーシェル・ゴードン・ルイスでしか生み出せない個性となってスクリーンに現れた。
その頂点が悪趣味映画史に燦然と刻まれる、"カラッとして明るい大虐殺劇"「2000人の狂人」だろう。
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そんなこだわりのないルイスだから、一度その分野で頂点を極めてしまったら、後はささやかな成功の方程式をなぞるだけになるのも必然であった。
「血の魔術師」はルイスのキャリア最末期の作品。「血の祝祭日」で世の夜の度肝を抜いてから、もう10年近い時が流れている。
その筋ではルイス最末期の力作との評価もあり、マジシャンによる舞台上での公開殺戮という見せ場もそれなりにはあるが、しかしやはり惰性の商売との印象は免れない。

この映画の紹介文で定形となって出て来る"アッと驚くどんでん返し"も、実際に目の当たりにすれば思わずルイス本人を「おい、ちょっと校舎裏にツラ貸せ」と呼び出したくなるだろう。
そんなグダグダな延長戦的末期作も一切合切ひっくるめてこそのハーシェル・ゴードン・ルイス。
"スプラッター映画の父"。後世からの敬意を込めた呼び名や後継者たちからの熱い信奉も、晩年の彼はきっとムズ痒く受け止めていたんじゃないだろうか。

 

(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-2646.html

2017/05/30 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

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