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【Bioshock 2】親権を取り戻せ

   ↑  2017/05/10 (水)  カテゴリー: XBOX ONE
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じめっとして澱んだ空気の向こうにぼやけるきらびやかなネオン。
ここは魅惑の海底都市廃墟ラプチャー。しかしその湿りきった床を踏みしめるオレの足音は前回と違う。
ドスン、ドスンと、手入れされず老朽化したタイルを突き破らんばかりに重たい足音。
全身を包むのは大ぶりでクラシカルな潜水服。そして右手には巨大なドリル。
前作無印バイオショックで対峙した父性の畸形ビッグダディ、そのプロトタイプである実験体デルタが今回のオレの立場だ。
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ドリルぐいーん。身の程知らずにも突っかかってくるスプライサーどもの土手っ腹に大穴を開けながら、この深海の底にある忘れ去られた街をひたすら突き進むのは、親権を取り返すためだ。
父性同士のせめぎ合いだった前作から一転、『Bioshock 2』で相対することになるのは母性。
愛娘をオレの下から奪い去った概念だ。
プロローグでは為す術なく親権をもぎ取られて闇に葬り去られたけど、こうして蘇ったからには同じ轍は二度と踏まない。
まぁ娘と言ったって直接血が繋がっているわけではないが、ビッグダディとリトルシスターの絆は血より深い。
なによりエレノア自身がオレと一緒にいたいって言ってるんだし!
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しかし母の立場はこうして角を突き合わせて向かい合うにはちょっとツラい対象だ。
今回の敵ソフィア・ラムは、こちらの闇雲な戦いに正当性をもたらしてくれるような、絶対的な悪の存在ではない。
DV的な資質を備えたライアンの歪な父性に対して、"ファミリー"を守るために反旗を翻した理想主義者。
幸福な家庭の実現のために立ち上がった献身的な母ちゃんなのだから。
もっともその理想は"ファミリー"の域を超えて公の大義と結びついて、何やら面倒くさいことになっちゃっているが。
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ソフィア・ラムと対峙するのがツラいのは、その理想がかったちょっぴりまばゆい母性ばかりではない。
諦観と同情と憐憫、そしてほんの少しの愛情。ソフィアが鉄面皮の向こうから投げつけてくる感情は、もう完全に別れたカミさん側のメンタリティそのものだ。
その一見無感情な瞳の奥から深い哀れみの心を覗かせながら、それでもソフィアはこちらに冷たく言い放つ。「ここにはもうあなたの居場所はないのよ」と。
やめてくれよう。そう言い切られちゃうとあまりにもいたたまれないじゃないかよう。
いや、だってエレノアはオレと一緒にいたいって言ってるんだしい!
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主人公実験体デルタの最強の敵として立ちはだかるビッグシスターは、つとめて冷静に徹するソフィアの母性からこぼれ落ちた、制御できない感情の象徴。
終盤のスリリングな親権綱引きの果てに互いの立場が入れ替わった時、実験体デルタはかつて自分に向けられていた憐憫を、今度はソフィアに対して感じることになるだろう。
母は強し。そして母はもろく切ない。父は強し。そして父ももろく切ない。
互いが互いの立場を補完できなくなったとしても、それでも二人は娘のためにそれぞれ前に進まなければならない。
そして娘は二人の背中を見ながらたくましく成長する。
海の底の身を切るような愛憎劇。それは双方の娘に対する愛情が、愛するものを奪う相手に対する憎しみを凌駕する物語であったのだ。

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【Bioshock】せめぎ合う父性

 

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