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【Alan Wake】静と動のコントラスト

   ↑  2016/04/09 (土)  カテゴリー: XBOX 360
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そいつの名はアラン・ウェイク。職業は作家様。
因果な商売だが、幸いにも気の優しいよくできた女房と、ちょっとお調子者だけど人の良い友達に恵まれて、どうにかこうにかやっている。
そいつが静養先のブライトフォールズという小さな田舎町で出会したのは、行く先々に書いた憶えのない原稿の断片が落ちている、まるで締め切りに追われた遅筆作家の妄想みたいな不条理な悪夢。
小説の世界において作家は全能の神だ。誰かを活かすも殺すも、どんなご都合主義や道理の通らない展開も、タイプライターの上ではすべてが思うがまま。
だからそんな不条理な悪夢も、アラン・ウェイク作である限りはすべてが自業自得でしかない。
クリエイター様におこる悲劇というのは、つくづく人の同情を引かないものだ。
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このゲームのプロットは、スティーブン・キングや、D.R.クーンツあたりが、マジで書きそうなB級通俗ホラーそのもの。
『Alan Wake』は、そんなB級なプロットを、A級のプロダクトデザインで織り上げてしまった、とても贅沢なゲームだ。
ホラーとゲームは、実はとても相性が悪い。
どれだけ人知を越えた不条理な存在が登場したとしても、それがプレイヤーが乗り越えるべき対象となったとたん、それはたちまち数値で解析されうる、不条理や恐怖とはおよそかけ離れた野暮な攻略対象となってしまう。
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『Alan Wake』も、その部分は例外ではない。
あらゆる要素が贅沢なまでのクオリティを誇るこのゲームは、その戦闘パートも程良くタクティカルにまとまっていて、適度なやり応えに満ちている。
また闇の手先を倒したときは、ちょとした爽快感すらあるほどだから、本来ならば、畏怖し忌避する対象であるはずの闇に支配されしものたちが、むしろ「もっと出てこい」と待ち望んでしまうような、チャレンジし甲斐のある対象になってしまっている。
丁寧に作られたがために、ゲーム的なカタルシスを必要以上に孕んでしまった、そんな夜のパートに代わって、この『Alan Wake』を、そこそこよくできたアクションゲームから、極上のホラーサスペンスに引き戻してくれるのが、美しい自然に囲まれた田舎町で静かに淡々と展開する昼のパートだ。
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闇が実体化して襲い来る夜のパートが動ならば、闇が訪れる予兆を描く、平穏の陰に禍々しさを孕んだ昼のパートは静。
闇と光、そして動と静、二つのコントラストが絡みあい織りなすドラマこそが、この『Alan Wake』の真骨頂。
そしてただ歩き回るだけで、ともすれば冗長さに陥ってしまいそうな静のパートを、穏やかな緊張を感じさせるものへと押し上げているのは、まるで息づいているかのように作り込まれたブライトフォールズの街と、細々とした部分まで練り込まれたインタラクティブな演出の数々。
冒頭、ウェイク夫妻がブライトフォールズを訪れたとき、ダイナーでジュークボックスから"ココナッツ"をかけ、そして店の奥に進み闇と最初の遭遇を果たし、その白日夢のような一瞬から一歩ずつ現実の世界にもどるとき、さっきかけた"ココナッツ"が少しずつフェイドインしてくる。
あの練り上げられたイントロダクションのワンシーンに、『Alan Wake』のもっとも魅力的な部分が凝縮されているといってもいいだろう。
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それがクライマックスを迎えるのが、ゲームの中盤、アランがハートマンのクリニックに身を寄せるパートだ。
今までのことはすべてがこの男の狂気の産物なのではないかという疑念を、プレイヤーがアランに抱き続ける中、小春日和の日差しの下、アランの静かなクリニック内探索は淡々と続く。
そして、悪天が近づき、空が少しずつかき曇る中で、アンダーソン兄弟との再会から急転直下、アランとプレイヤーは闇の真相に近づくことになる。
自分が操作しているキャラクターが狂人かもしれないという疑い。そんなもやもやが「イカれた世界はイカれた奴じゃなきゃ理解できない」の一言で、たちまち霧散する、あの一連の流れには思わず身震いした。
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老いたヴァイキングメタル野郎のあの一言は、どんな強力なライトよりも強く、闇の中に光をもたらした。
その瞬間、プレイヤーは初めて、それまで感情移入を全く阻んできた、アラン・ウェイクという鼻持ちならないヤッピー野郎と一体になれるのだ。
終わりなき悪夢の中、暗闇のずっと向こうに浮かぶ、あのほのかな光まで、共に歩みを進めるために。
夢の中で 君と共に歩む この夢の中ならば 僕たちはずっと一つでいられるんだ <Roy Orbison - In Dream>

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