ボンクラ360魂Xbox Oneとの蜜月の日々 

この記事に含まれるtag :
プロレス  

【ECW Hardcore Revolution】ハードコア革命とアクレイム

   ↑  2015/09/26 (土)  カテゴリー: ドリームキャスト
150926001.jpg
「プロレス界のニルヴァーナだ」
ECWの歴史を追ったドキュメンタリーDVD「ECW ライズ・アンド・フォール」の冒頭で、ポール・ヘイマンは自らが創造した団体をそう表現した。
シンプルかつ的確だ。事実ECWはニルヴァーナのような影響をプロレス界全体に及ぼし、そしてそれは団体が崩壊して10年以上経つ今でも色濃く残り続けている。
ロートルと無名の新人しかいないフィラデルフィアの呑気なローカル団体に、ヘイマンはその類稀なるプロデューサー能力で新たな生命を吹き込んだ。
メジャー団体のスーパーヘビー級レスラーたちによる牧歌的なファイトに抗うかのように、過剰な暴力と流血と常識を超えた凶器と反倫理的なサイドストーリーを臆することなく展開する。
150926004.jpg
それは間違いなくプロレス界にとってのオルタナティブだった。
メジャー選手と比べると明らかに小柄なレスラーたちによるラディカルなレスリングは、既存団体に飽きたらないコアなファンのハートを掴み、たちまちのうちに一種異様な熱狂と支持を獲得する。
巨大資本を抱えるWWEとWCWの二大団体を向こうに回して、ハードコアを標榜するECWは全米マット界に第三極としての地位を築いたかに見えた。しかしそれは幻想だった。
メジャー企業としての体裁を整えている二大メジャーに対して、いくらアティチュード面で多大な影響力を有したとはいえ、組織としてのECWは選手自身が裏方も兼任する独立団体から結局抜けきれなかったのだ。
150926003.jpg
しかしヘイマンは、自信の団体がWWEやWCWと肩を並べ、やがて業界のトップに躍り出る夢を捨てきれなかった。
足りないのは巨大メディアとさらなる資本だ。そう考えたヘイマンは二つの大きな企業と接近する。
一つはアメリカの大手テレビ局TNN(現Spike TV)、そしてもう一つは90年代に隆盛を誇ったゲームメーカー、アクレイムエンターテイメントだ。
TNNからは大会中継の定期番組を、そしてアクレイムからは巨額のライセンス料と、それと引き換えのECWのゲームを。
全国網のテレビ番組とオフィシャルゲーム、WWEやWCWに肩を並べるメジャーの証を同時に手にしてヘイマンは勢いづいた。
150926006.jpg
だがヘイマンは自身の資質に大きな欠陥を抱えていた。
プロレスをクリエイティブすることにかけては、比肩なき才能を持つヘイマンであったが、その代わりに彼にはビジネスマンとしての才覚が決定的に欠如していたのだ。
前述のDVDの中でも、彼はことプロレスに関しては、感情豊かに立て板に水のごとく魅力的な言葉を積み上げ、聞く者を詐術的なまでにたちまち虜にしてしまう。
しかし話題がビジネスのことに及ぶと、先ほどの彼とは別人のようにトーンダウンし、説得力皆無の言い訳と愚痴に終始するのだ。
ヘイマンの前後にインサートされるWWEの総帥ビンス・マクマホンの、本音を決して吐露しない冷静なインタビューと並ぶと、両者のビジネスマンとしての才能の差は浮き彫りになる。
150926002.jpg
結果的に二つの大企業との接近は大失敗であった。
TNNには足元を見られた契約を押し付けられ、ヘイマンとスタッフはそれに振り回され続けるハメとなった。
ではゲームの方は? 元々アクレイムはWWEと提携し、同社のライセンスゲームをほぼ一手に引き受けてきた。
しかしWWEは長きに渡るアクレイムとの契約を打ち切り、提携先をTHQに変える。THQから依頼を受けた日本のユークスは『エキサイティングプロレス』を作り上げ、それはプロレスゲームの新スタンダートとして高い評価を獲得し、現在でも続くドル箱シリーズとなった。
150926007.jpg
ではそのWWEに見限られた形となったアクレイムと提携したECWの方は?
プロレス界にまったく新しい概念を持ち込んだECWのゲーム化だ。心機一転、さぞや新機軸のプロレスゲームを送り出してくれる……、なんて殊勝なことをあのアクレイムがするワケがない。
破談先と組んだ最後の作品『WWF Attitude』を叩き台にして、出場キャラクターをECWの選手に入れ替え、なおかつ操作性を悪くしてリリースするという舐め腐ったマネで、ECW初のオフィシャルゲームに湧くファンに思い切り水をぶっかけてくれたのであった。
登場レスラーはドリーマー、ニュージャック、RVD、サブゥー、レイヴェンといったECWの"顔"から、スティーブ・コリノ、C.W.アンダーソン、サイモン・ダイヤモンドなどのニューカマー、もちろん欠かせないフランシーンやドーン・マリーの女性陣に、さらにはトミー・リッチやザ・シークらレジェンドの隠しレスラーまで。当時のECWのベストメンバーが勢揃い(サンドマンはECW脱退後なので不在)。
150926005.jpg
しかしCG化されたその面々が繰り広げるのは、ハードコアファイトともジャパニーズスタイルやルチャにもほど遠い、旧態依然としたもっさりポリゴンプロレス。
そこにECWがリング上で提唱した様々な改革は、微塵も再現されていないのであった。
それでもヘイマンはまだ得をした。アクレイムからはそれなりにカネを毟り取ったからだ(完全に破綻していた経営状態では、それも焼け石に水だったようだが)。
そうはいかないのはアクレイムだ。いくら人気が出てきたとはいえ、所詮は二大メジャーから遠く放された第三団体。
本作と続く『ECW Anarchy Rulz』の売上は、ECWに投資したカネには到底見合うものではなく、さらには拡大経営が弾けたECWが倒産すると、その債務すら取り逸れるハメとなったのだ。
ヘイマンの夢の砦の倒産から三年後、かつて栄華を誇ったアクレイムもその勢いを失いついに破産する。
ECWの遺産は有形無形となって、今でもプロレス界に輝きを残し続けているが、アクレイムのそれが今のゲーム界にどれほどの影響を及ぼしているかは、なんとも微妙なところである。

<ドリームキャスト海外版>

 

この記事に含まれるtag : プロレス 

(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-2381.html

2015/09/26 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

Comment

コメント:を投稿する 記事: 【ECW Hardcore Revolution】ハードコア革命とアクレイム

お気軽にコメント:をぞうぞ。
非公開 (管理人のみ閲覧可能なコメント:) にしたい場合には、ロック にチェックを入れてください。

  任意 : 後から修正や削除ができます。
  非公開コメント:として投稿する。(管理人にのみ公開)

Trackback