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【Never Alone (Kisima Ingitchuna)】北の大地の伝承

   ↑  2015/02/04 (水)  カテゴリー: XBOX ONE
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クマは嫌いだ。クマほど恐ろしい生き物は他にはない。
なにせクマは話が通じない。おカネを出しても、「なんでもするから乱暴はしないで!」と懇願しても許しちゃくれない。
だから北海道に住むなんてとんでもない。たとえ繁華街といえど、地続きであるかぎりあの恐ろしいヒグマがひょいとやって来る可能性は、わずかながらもあるということではないか。そんなところに住んでいたら、おちおち夜も眠れやしない。
ましてやホッキョクグマは、この地球上でもっとも最強でシャレにならないクマだ。
そんな恐ろしい生き物が闊歩する過酷な過酷な世界を、オレはか弱い少女の姿を借りて彷徨う。この地に住まう先住民族イヌイットの口話伝承を体験するために。
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か弱いといったが、それはホッキョクグマと比較しての話。過酷な地に暮らす主人公のヌナは、雪が降るたびに「スタッドレス履いてないよー」と泣きわめくオレなんかよりも、遥かにたくましい。
そんな勇敢で仲間思いな少女といえど、腹を空かして不機嫌なクマの前ではただ逃げまわることしかできない。それが自然の摂理だから。
クマに限らず、少女の行く手にはあっけないほど無情で物静かな死の危険が、いくつもいくつもただ淡々と転がっている。
ぼっちでは決して生き残れないクルーエルワールドで、ヌナの傍らにぴったりと寄り添うのは一匹のホッキョクギツネ。
ときおりどっちに進んでいいのか分からなくなる2Dパズルアクションの面構成は、ちょっとの吹雪で方向も自分の居場所をも見失う極寒の大地のメタファー。
ホッキョクギツネは、その地で進むべき道や帰り道を指し示してくれる魂の相棒だ。
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過去にゲームというメディア上で試みられてきたドキュメンタリーは、そのほとんどが映像ドキュメンタリーの形式を、マルチメディアの名のもとに模したものばかりだった。
しかし遠野物語に数多のドキュメンタリー映画、活字に映像と、そのメディアには本来そのメディアなりの語り口がある。
『Never Alone (Kisima Ingitchuna)』は、そのゲームならではの語り口で、イヌイットの口話伝承をメディア化した作品。
現代に生きるイヌイットの末裔たちが語る、遠い先祖から綿々と受け継いできた伝承や、過酷な北の地での実体験を積み重ねていったら、それはイヌイットの少女が様々な体験を経て家族や仲間の元に帰る一本のゲームストーリーに紡ぎ上がった。
少女の道程に"冒険"というゲームのジャンルで手垢にまみれた言葉を当てはめたくないのは、その体験がすべてイヌイットの実生活に裏打ちされたものだから。
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そして我々はゲームで綴るドキュメンタリーによって、北の地の自然やイヌイットたちの文化の一部をうかがい知ることができる。
そこから書物や映像では得られない、ゲームというメディアでしか伝えられない何かを感じるをことがもしできたら、それは『Never Alone』の野心的な試みの小さくも意義のある成功なのだろう。
吹き付ける吹雪をBボタンで身をかがめてやり過ごすほんの何気ないアクションに、オレはそのゲームでしか伝えられない何かの一端を感じたりする。
透明な空気が漏れてくるかのようなビジュアルや、ときどき遭遇するハッとするほど美しく荘厳なカットは、過酷な地に住む人々が共に暮らす自然の風景の、ほんのほんのわずかなおこぼれ。そしてイヌイットたちの父祖代々の伝承を拝聴した我々に対する、とてもささやかなお土産だ。



(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-2251.html

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