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【ミントン警部の捜査ファイル 道化師殺人事件】

   ↑  2014/06/09 (月)  カテゴリー: セガサターン
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後に観光地として栄えることになるイギリスの港町ブライトン。そこで起こったサーカステント内の殺人事件を捜査するためにやって来たのは、ロンドン警視庁の敏腕警部フランク・C・ミントン。
プレイヤーの分身であり、そしてその筋の愛好家からは「推理アドベンチャーゲーム界きっての間抜け野郎」なんて不名誉な称号を賜っている人物だ。
国産PCゲームの黎明期に、シックな装いのミステリADVで異彩を放ったメーカー、シンキングラビット。
『道化師殺人事件』は同社が1985年にリリースしたクラシックタイトルで、広大な(今の感覚から言ったらささやかな規模だが)マップに放り出されたプレイヤーが、誘導や手助けのほとんどないままに、これまた膨大な数に登る関係者や町の住人を相手に、コマンド自由入力方式という雲をつかむような手段で対処しなければならない、実に歯ごたえのある作品だった。
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いにしえのアドベンチャーゲームの基本フォーマットであったコマンド自由入力は、もうそのシステム自体が一種のゲーム性を帯びていて、プレイヤーが自身の基本行動を頭ひねって考えだし、それを簡潔な言葉に置き換えなければいけないその過程は、ミステリADVとの相性が抜群にいい。
自分で推測や予見を立てて、それと自分が生み出したコマンドを組み合わせて、固く複雑に結び合わされた事件の真相を少しづつ解きほぐしてゆく。
『道化師殺人事件』だけにとどまらず、この時代のアドベンチャーゲームは、ストーリーを追うことよりも、そうしたロジックパズル的な要素こそが一番の醍醐味であった。
そのミステリADVに一大改革をもたらしたのが、堀井雄二の『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』に始まる一連の作品で、これによってもたらされたコマンド選択システムは、アドベンチャーゲームをカジュアル化させて一般に広く普及させると同時に、その本質をも大きく変えてしまったのだ。
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プレイヤーをある程度誘導できるコマンド選択システムは、ドラスティックなストーリー展開を構築しやすいメリットを持ち、以降のアドベンチャーゲームのフォーマットとなっていたが、その基本性は本来コマンド入力式とは微妙に違えるもの。
オリジナル『道化師殺人事件』のリメイク作品である、この『ミントン警部の捜査ファイル 道化師殺人事件』がのっけから苦しい立場にあるのは、コマンド入力方式からコマンド選択方式への時代に合わせたお色直しが、本来本質の違うものへの方向転換という無理難題を孕んでいるからなのであった。
かつてなんの導線もないままに街をさまよい歩き、自分でコマンドを考えてやりくりしていたその捜査過程と事件展開も、コマンド選択式というラインの上に載せられると非常に平坦で味気なく感じてしまう。
そしてこのリメイク版は、ビジュアルの刷新と音声の追加は別にして、ゲームの基本部分はすべてオリジナルに忠実。
80年代の技術制約下にあったアドベンチャーゲームは、どうしてもストーリーやスケールにおいて必然的に見劣りが出てしまう。
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シンキングラビットの顔とも言える米田朗氏のイラストレーションが鮮やかに色づくビジュアル(彼のイラストを本来の形でゲーム上に再現することは、シンキングラビットの悲願であったことだろう)や、新劇系声優たちによる重厚なボイスアクトは、この90年代に再ドロップされた『道化師殺人事件』に、ほのかなリッチさを与えてくれるが、コマンド選択というシステム下ではどうしても物足りなく感じてしまうゲーム展開を完全に補うまでには至らない。
同社の次作である『カサブランカに愛を ~殺人者が時空を超えて~』が、『時を超えた手紙』と改題されて90年代も通用してしまったのとは対照的に、そのゲームの適した時代性というものを強く考えさせられるリメイク作。
もしミントン警部がなぜ「推理ADV界きっての間抜け野郎」と呼ばれるワケを知りたければ、プロジェクトEGGで配信されているオリジナル版にチャレンジする方がいいかもしれない。



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