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コミック【吹けよ!カミカゼ】

   ↑  2010/11/30 (火)  カテゴリー: 書籍・コミック
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力道山衝撃の死の余韻が未だ冷めやらない1966年。その跡を継いだ新エース、ジャイアント馬場は苦悩していた。
「豊登さんは引退。猪木さんはアメリカ遠征。ぶっちゃけ僕一人でワールドリーグ戦に来襲する強豪外人レスラーたちの相手をするのは、とても辛い。もしリーグ戦の優勝を海外に攫われることになれば、日本プロレスは存亡の危機!」
その裏では日本プロレスから追放をくらった豊登が、海外遠征中の猪木を籠絡して新団体、東京プロレスを旗揚げするという、プロレス界を揺るがす大事件があったりしたのだが、これは少年誌連載だから、当然そんな生臭い裏事情は語られません。
馬場さんも実際のとこは「面倒臭い奴らが自滅してくれてラッキー」程度に思っていたなんて、穿った見方ができてしまいそうですが、そんなことはありません。馬場さんは心の底から彼らの力を欲していたのです!
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そんな苦悩の馬場さんがふと思い出したのが、力道山がいまわの際に残した謎の言葉。
「日本プロレス界が、もしわしの亡き後大ピンチを迎えたら……、ぶんえい、はかた、こうあん、たかしま、しょうわ、ひだ……がくっ」
もしもこのとき「芳の里と遠藤幸吉には、絶対ハンコ握らすな!」なんて言葉を残しておけば、その後の日本プロレスの本当の意味でのピンチは避けられたかもしれないですが、、まぁそれはともかく、今は暗号のような謎の言葉。
「もしやそれは年号と地名の組み合わせではないですか?文永、博多、弘安、鷹島、昭和、飛騨。文永と弘安には、日本に神風が吹いて外敵を打ち払いましたな」
そんなサジェスチョンを受けた馬場さん、「そうか、 昭和の神風は飛騨に! 力道山先生はこんなときに備えて、飛騨の山奥に秘密兵器を用意してくださっていたのだな!」
馬場さん、察し良すぎ。そして力道山、回りくどすぎ。
こうして飛騨の山中で極秘特訓を続けていた力道山最後の弟子、カミカゼ大助が表舞台に登場する運びとなったのです。
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梶原一騎のデビュー作は、プロレスマンガの嚆矢的存在である"チャンピオン太"。
"チャンピオン太"は、力道山存命中の作品でしたが、この"吹けよ!カミカゼ"は、「力道山の弟子である少年レスラー」という同コンセプトを、力道山死後のプロレス界を舞台に展開させたポスト"チャンピオン太"とも言える作品。
作画を担当するのは、後にやはりポスト"巨人の星"である"おれとカネやん"でも梶原とタッグを組んだ古城武司。
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ジョー・カロロ、ロニー・メインら実在レスラーたち。そして氷の怪人ゼロマン、天才児ワンダーキッドといった、架空のライバルレスラーたちとカミカゼがしのぎを削って行く展開は、"チャンピオン太"から、後の"タイガーマスク"へと受け継がれる、プロレスマンガの王道的展開ですが、ギアの調子がちょっと変わってくるのは、キッド編とアメリカ遠征編の間に挟まれた、プロレス天狗党のエピソード。
日本に埋もれた武術家たちを集め、日本プロレス協会壊滅を目論む、この天狗面の集団たちが出てきてからは、何故か雰囲気が"伊賀の影丸"や"カムイ伝"を思わせる忍法マンガ風なものに変わってしまいます。
そう言えば、作画の古城武司は、横山光輝や白土三平、松本零士らがバトンを受け渡しあった連作忍法マンガ"忍法十番勝負"のメンバーにも名を連ねていました。
この天狗党エピソードの、それまでの展開から浮いた雰囲気、そして梶原一騎臭の薄さからも、もしやこの辺りは梶原先生ではなく、古城先生が話を考えていたのかもしれません。
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これに限らず、"吹けよ!カミカゼ"は、どうも"チャンピオン太"などと比べると、あらゆる部分が薄味で淡泊。
この全体から感じられる梶原先生の気乗りのなさ、やる気の薄さは、後のポスト"巨人の星"である"おれとカネやん"にも共通するものがあります。
まぁこの梶原先生の本作にかける情熱の薄さには、一つの理由が推測できます。
この"吹けよ!カミカゼ"と同時期に梶原先生が抱えていた連載の名は"巨人の星"。
少年漫画がある種の転換期を迎え、自身も"巨人の星"という革新的な作品で、新たな高みに登ろうとしている頃の梶原先生にとって、この前時代的な少年漫画の要素を色濃く継承した"吹けよ!カミカゼ"は、その情熱を注ぎ込むに足る器ではなかったのかもしれません。
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そのうちに、実在のプロレス界でもアントニオ猪木が日本プロレスに復帰してしまい、馬場さんが案じていた日本陣営の戦力不足も解消。
その存在意義を失ったカミカゼは、アメリカ遠征という、スポーツマンガの店じまい王道パターンに出され、連載はそのままなし崩し的に終わりを迎えてしまうのでした。
この直後に同じ雑誌で梶原先生が始めた連載が"タイガーマスク"。プロレスマンガとして"チャンピオン太"からさらなる高みを極めたこの名作の輝きを前に、旧態依然とした"吹けよ!カミカゼ"は歴史に埋もれてしまいます。
そんな不遇な作品ですが、「見た目は単なる拳打ちだが、喰らった相手は3時間後か、3日後か、3ヶ月後か、3年後に死を迎える」という、プロレス技としては根本的な欠陥がある必殺技「3の次は死」を使いこなし、馬場・吉村道明組との対戦が決定すると、「勝ったも同然。前祝いじゃぁ!」と、練習もせずどんちゃん騒ぎを繰り広げるプロレス天狗党のファンキーっぷりは、なかなか面白かったりします。
まぁここら辺は、恐らく梶原テイストではなく、古城テイストだと思うんだけどねえ。
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