ボンクラ360魂Xbox Oneとの蜜月の日々 

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【ヴァージン・ドリーム】アイドル志願者を待つ闇

   ↑  2015/10/31 (土)  カテゴリー: PCエンジン
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若い女の子をダシにした芸能プロダクション商売というのは、元々が非常に生臭さの強い稼業であるからして、それをゲーム化したものも自然とあこぎな内容になりがちだ。
アイドル予備軍たちを人身売買するモバイルゲームは記憶に新しいが、遡ってみても『誕生』に『デジタルフィギュア イイナ』、『あいどるプロモーション すずきゆみえ』と、アイドル育成ゲームに登場する女の子たちには、常に腹黒い大人たちから食いものにされる、不憫なイメージばかりがついて回る。
その中でも際だって不憫度が高い存在となると、PCエンジン末期に発売された『ヴァージン・ドリーム』のヒロインである、この中井絵奈だろう。
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この中井絵奈のキャラクターボイスを務めるのは三石琴乃。
なにせ当時の三石さんと言えば、セーラームーンでぶいぶい言わせていた頃。キャスティングだけをとってみれば、中井絵奈は非常に恵まれている境遇かもしれない。
しかしこのゲームが発売されたのは1996年。PCエンジンどころか、後継のPC-FXですらその存亡の危機を迎えていた時期。
キャラクターデザインに弓月光を迎え、三石琴乃の他に、林原めぐみや渡辺久美子といった豪華声優陣を揃えたこのPCエンジン最後のギャルゲー大作も、発売元徳間書店インターメディア系の媒体以外には、ほとんど登場することもないまま自然と埋没してしまったのだ。
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中井絵奈が不憫なのは、ゲーム自体の境遇だけに留まらない。
彼女は"全国美少女コンテスト"の関東大会に優勝して、他の予選を勝ち抜いてきた少女たちと共に一つ屋根の下で暮らし、レッスンを積んで全国大会優勝、そして華々しいアイドルデビューを目指す立場。
レッスンコーチとして彼女のスケジュールを組み、その才能を最大限に引き出すのが、プレイヤーの役目だ。
だがゲーム開始時に与えられる彼女の育成予算は、たったの2500円。一回飯を食えば、すぐ底をついてしまうような額だ。
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仕方がないのでアルバイトをさせて彼女に自らレッスン費用を稼がせることに。
ゲームの開始時点で選べるアルバイトは芸能人の付き人にウェイトレス。だけどこんなもんで稼げるお金など、たかが知れている。
もっと割りの良いバイトはないかと他を探してみると、そこには警備員や工事現場労働などの職種が。
さあ、アイドル育成をやってるんだか、悪質な人材派遣業を営んでいるんだか、よく判らなくなってまいりました!
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昼間はつるはしを振るってハードな肉体労働に勤しみ、夜はレッスンの名の下に、怪しげなカメラテストに赴く中井絵奈。
彼女の唯一の楽しみと言えば、休日の外出くらいのものだ。
街マップに立ち並ぶのは、ブティックにエステにコンビニなど。
ここで買い物三昧をして理不尽なレッスン生活の憂さを晴らしたいところだが、汗水垂らした代償として手に入れたバイト代は、そのほとんどが毎日のレッスン代に消えている。
仕方がなしに当てもなくマップを彷徨うと、その端っこにあるのは競馬場。ここで馬券を当てて小遣い稼いでやる!
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平日は現場労働、休日は朝から晩まで競馬場。
オレはアイドル予備軍の生活に、そんなに詳しくはないのだが、こんな山谷のおっさんみたいな毎日を過ごしているアイドル候補生は、少なくともこの中井絵奈だけだと思いたい。
将来もし「踊る!さんま御殿!!」とかに出演できたら、トークのネタには事欠かないだろう。出られたらの話が。
そして馬券で当てた小遣い片手にブティックに走ってみれば、そこに並んでいるのは、ブルマにハイレグにスク水にレオタードと、邪念の入り交じったコーチの目を楽しませるためだけに用意された服ばかり。
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下着に着替えろ、シャワーを浴びろ。そんなコーチのセクハラ同然な指示コマンドに、中井絵奈は抗う術もない。
しかも入浴シーンのグラフィックなどは、コーチと中井嬢の相性度が上がると、どんどんきわどいものに進化。
この入浴シーンに留まらず、そこかしこで全裸一歩手前同然のマイルドなエロが炸裂しまくっているが、これはハード最末期のヤケクソぶりと、キャラクターデザイン弓月光の相乗効果じゃないだろうか。
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ゲームが進むと、胡散臭いグラビア撮影やキャバクラなど、さらにあこぎなバイト派遣先が選択肢に加わる。
特にキャバクラなどは、かなり金銭的に割りのいい仕事なので、ついつい重宝しがちだが、そんな水商売の毎日を送ったオレの中井絵奈が、どのようなエンディングを迎えたのかについては、ここであえて述べるまでもないだろう。
「アイドルになりたい」。そんな夢物語に憧れた無垢な少女がまた一人、薄汚れた大人たちに身も心も搾取されて、大都会の片隅にひっそりと沈んでいったのだった。

 

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2015/10/31 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【タイピング・ミニスカポリス】タイピングソフトの格

   ↑  2015/10/28 (水)  カテゴリー: PCゲーム
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かつてロッテに園川一美というすちゃらかサウスポーが在籍していた。
先発ローテーションの4番目あたりの席を埋めるのが常で(それはそれでスゴいことだが)、エースの言葉とはおよそ縁遠かったこの園川が、どんな風の吹き回しかピッチャーにとって最高の栄誉である開幕投手に抜擢されたことがある。
このとき対戦相手である福岡ダイエーホークスの王監督は、「開幕投手には格というものがあるだろう」と憤慨したが、それに対して当の園川はというと、「オレもそう思う」と、自らの立場を忘れて同調していたりしたのだった。
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そう、どんな物事にもそれに応じた格というものが厳然と存在する。
そしてそれは実在タレントをフィーチャーしたタイピングソフトという、針の目を突くようなジャンルにだってもちろんある。
ただしこの分野における格は、必ずしも対世間的なグレードを意味しない。
むしろ芸能人としてのステイタスの高さは、かえって実写芸能人ものタイピングソフトにおいては障害になってしまうだろう。
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タイピング練習ソフトなどという、なんの革新性も野心も感じられない無難だからとりあえず作っておけ的な商材には、やはりそれ相応のポジションにいる芸能人がふさわしいのだ。
松田純、パイレーツ、三遊亭楽太郎などなど、過去にそれらの顔となった芸能人の顔ぶれを見れば、タイピングソフトに相応な格というのがおのずと見えてくるであろう。早い話がサラ金や包茎手術クリニックの広告塔になっても、あまり傷を被らないようなポジションの人たちだ。
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ミニスカポリスはそんなタイピングソフトに、これ以上はないくらいアジャストする格を持った芸能人である。
いくらおざなりなタイピング練習ソフトとはいえ、タレントが単体で間を持たせるには、やはり限界がある。
その点、彼女たちなら、ポリスが入れ替わり立ちかわりで間をつなぐことだって可能だ。
華麗なるブラインドタッチを披露して見事高得点を記録すれば、そのご褒美はポリスたちの水着姿。
もっとも小窓で展開されるギトギト画質のクイックタイムムービーなので、ビキニの恩恵にはおよそ乏しいのが難点だが。
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縁起が悪い数字だからと勝手に代数を飛ばしたり、先代や先々代をいなかったことにしたりなどのフリーダムな行いにより、落語家の代数というのはなかなかにややこしいことになっているのだが、ミニスカポリスのそれも負けてはいない。
8代目までは普通に代を重ねてきたのだが、そっから先が番組の内容改編期と重なって、公式の記録でも、代数なしの新ポリスとか、帰ってきた8代目とか、企画広報課なんてイレギュラーメンバーが加わってなにかと面倒くさくなっている。
本作に登場するのは俗にいう新ポリスの面々。
8代目のメンバーの一部にテコ入れで新顔を数人加えて、ミニスカポリスの歴史上最大メンバー数に膨れ上がった時期だが、そのおかげでミニスカポリスでは伝統的に希薄な個々のパーソナリティがさらに弱まって、今ではもう誰が誰やら状態だ。

 

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2015/10/28 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【出動! ミニスカポリス】パンツが見えても気にするな

   ↑  2015/10/27 (火)  カテゴリー: セガサターン
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パンチラ。大の男が口に出すには、なかなかにハードルの高い言葉である。
女性相手はもちろんのこと、たとえ同性ばかりの会話の中であっても、うっかりその言葉を口にしたら、「お前は童貞か!?」「中学生かよ!」などと、たちまちのうちに蔑まれてしまうだろう。
スケベにもカーストがあるが、パンチラ好きはマニアックでキンキーな嗜好よりも、さらに最下層に位置しそうである。
90年代後半にカルト的人気を誇った深夜のお色気番組「出動! ミニスカポリス」。
そのゲーム化作品がサターンで登場したのは、やはり同ハードでリリースされていた『プラドルDISC』シリーズの流れを汲んでのこと。
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グラビアアイドルやレースクイーンを擁したマルチメディア写真集の体裁で、スケベ若葉マーク層にリーチした『プラドル』シリーズから、さらに一歩も二歩もアグレッシブに斬りこんできたサターン版『出動! ミニスカポリス』。
その象徴とも言えるのが、大の男がつい口ずさむのを躊躇してしまう禁忌のスケベワード、パンチラなのであった。
サターンソフトの帯には、その上部にジャンル名やCD-ROMの枚数、仕様周辺機器などが、まるで食品の成分表のように表記されていた。
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アドベンチャーや麻雀といった一般的なものから、ロープレやバーチャルシネマなど苦肉の策でひねり出したジャンル名まで、サターンの歴史の中で様々な文字がこの仕様表記部分を飾ってきたが、"パンチラ"などというジャンルを堂々と名乗ったのは、後にも先にもこの『出動! ミニスカポリス』だけであろう。
もしオレがゲーム屋の店員であったら、このゲームをおずおずとレジに差し出してくる気の弱そうな中学生に、「えーと、周辺機器の必要はありませんね。あとパンチラの要素が入ってますが大丈夫ですか? ええ、パンチラ。パ・ン・チ・ラ」などと、薬の対面販売のように仕様表記部分を、必要以上に大きな声で確認する嫌がらせしてやるところである。
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本作がそこまでパンチラ方面に針を振りきった元凶は、元の番組の人気コーナー"ハイドロパンチラ"。
基本的には一般オーナーたちのハイドロ仕様車自慢なのだが、それだけでは面白くないとばかりに、助手席にミニスカ着用のパンチラ要員を乗せ、ハイドロカーがガックンガックン揺れるたびにギャルのパンチラが披露されるという、シラフでは観られない素晴らしいコーナーであった。
そのハイドロパンチラがゲーム版にも登場! L.R.ボタンを交互に連打してクルマを揺らし、できるかぎりギャルのパンチラを拝め!
とは言っても実際にパンチラを披露するのは、ありがたくもなんともない二次元絵。
七森美江たちをそこに乗せろとは言わないが、せめて番組同様に実写のパンチラ要員を用意してもバチは当たらないのではないだろうか。
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それ以外に並ぶのも、脳みそのシワがアイロンがけされてしまいそうなパンチラミニゲームの数々。
見下ろし型クルマゲームのスラロームパンチラは、得点の単位がパンチラ。見事完走したあかつきには、これまたありがたくもなんともない二次元絵のパンチラが得点に応じて拝めるであろう。
ゴール! おめでとう、スコアは4パンチラだ。ぴらっ、ぴらっ、ぴらっ、ぴらっ。
パンチラシューターはシューティングゲームサイド誌には絶対取り上げられないであろう縦スクロールSTG。ボスは番組のプロデューサーであるテリー伊藤。
パンチラブロックはパワーアップアイテムがパンツの形をしたブロック崩し。パンチラ衰弱はパンツの色を当てる神経衰弱。
末席に至ってようやく実写ミニスカポリスをフィーチャーしたクイズゲームにお目にかかれるが、それとて「私がお風呂で一番最初に洗うところは?」なんて、カルトを通り越したプライヴェート問題のオンパレードだ。
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後に大量生産され、政界からAV業界にまでまんべんなく人材を輩出することになる歴代ミニスカポリスだが、本作にフィーチャーされているのは、その二代目の面々。
中でも七森美江は、おまけシングルCDのボーカル担当に、初回限定版特典のちっとも似てないミニフィギュアにもフィーチャーされるなど、事実上のエース格。
「ミニスカポリスは好きですか?」と問われれば、「もうそれだけでご飯を五杯食べられるくらい好きですよ!」と元気に答えてしまうが、そんなオレでもこのソフトを前にすると、「やはりミニスカポリスは、弛緩しきった深夜のテレビ番組で出会ってなんぼの人たちなんだな」という感想しか出てこなかったりする。

 


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2015/10/27 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Star Wars Jedi Knight: Jedi Academy】オレはジェダイの中原麻衣

   ↑  2015/10/25 (日)  カテゴリー: XBOX
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パダワン(前座)、ナイト(二つ目)、マスター(真打)。
ジェダイへの道は、はるか古代の芸能落語の徒弟制度に倣ってシステムづけられていた。
しかしそれももはや過去のこと。既に銀河大戦も終結し、新共和国の下に平和と秩序が築かれた時代の中で、かつてジェダイと呼ばれた人たちは、その存在意義をなんとなく失っていた。
食いっぱぐれを恐れたかつての銀河大戦の英雄たちが目をつけたのは、やはりはるか古代の芸能職業である声優の事例だ。
声優業界が、職業声優をマネージメントすることから、養成所や専門学校を作って声優志望者からカネを巻き上げるビジネスモデルにシフトした例は、ジェダイたちにとって大いに参考になる故事であった。
声優養成所が一線を退いたベテランたちに講師という新たな仕事を与えたように、潰しの利かないジェダイもこれで職にありつけることができる。
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「時間的・経済的に負担の少ない修行でジェダイをめざせます」
「銀河大戦で活躍した現役のジェダイマスターが講師」
「ジェダイになる夢をかなえる一歩を全力で応援!」
「安心の新共和国公認学校法人です」
「ジェダイ成就率115%!」
そんな美辞麗句を並べたかどうかは知らないが、とにかく"潰しの利かないジェダイ"の筆頭であるルーク・スカイウォーカーの肝煎りにより、専門学校ジェダイアカデミーが衛星ヤヴィン4に設立されたのであった。
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そんな専門学校に吸い寄せられたカモが一人。その名はジェイデン・コア。種族や性別はプレイヤーが自由に選択可能だ。
高潔なジェダイになる夢を抱いてアカデミーにやって来たジェイデンであったが、校長のくせに相変わらず貫禄がないルークと、唯一の講師であるカイル・カターン(90年代のFPS作品『スターウォーズ ダークフォース』の主人公)という貧弱な講師陣を前に、早くもその夢は大きな不安へと代わるのであった。
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そして授業という建前のおざなりなチュートリアルもそこそこに、帝国残存軍掃討戦の最前線にいきなり送り出されるジェイデン。あの、ボク、学生じゃないんですか?
プレイヤーのそんなもっともな疑問も、「お前は他の有象無象どもとはモノが違う。他の連中は月謝で、お前はその働きで広告塔として学院に貢献するのだ。言わばお前は日ナレにおける中原麻衣のような存在なのだ」という、分かったような分からないような理由でうやむやにされるのであった。
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こうして始まるライトセーバーによる接近戦を主体としたサードパーソンアクション。敵となるのは帝国の残党と、マーカ・ラグノス(やはり落語で説明すると、シスにとっての三遊亭圓朝みたいな人だ)の復活を目論むダークジェダイのカルト教団。
道中を彩るゲストたちは、ドロイドの凸凹コンビにチューバッカ、ミレニアムファルコンにウェッジ・アンティリーズといった、肖像権許諾の必要のない(あるいは必要があっても安く済む)、あんまりありがたみのない連中ばっかだ。
「ジェダイへの道を歩む」という触れ込みも、冒頭からいきなりライトセーバーを振り回せて、「はい、お前、もう仮免ならぬ仮マスター」と実質ジェダイ認定されてしまえば、もう有名無実。
学院という設定もそこそこに、のっけからルークとカイルに前線でこき使われる毎日に、こちらはライトセーバーを振り回す手を止めて、「中原麻衣や野川さくらも、養成所でちゃんと授業とか受けてたのかなあ?」などと、余計なことに考えを巡らすのだった。

 


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2015/10/25 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【ウルティマオンライン】ハロウィン・オブ・ザ・デッド

   ↑  2015/10/23 (金)  カテゴリー: PCゲーム
それは忘れもしない2005年。我が千葉ロッテマリーンズが、笑っちゃうくらいの強さで阪神タイガースを圧倒して日本一の座に輝いた直後の頃だった。
当時は今みたいな広告代理店臭のするイベントの押し売りもなく、ハロウィンはまだ馴染みない異国の催しのイメージを保っていた。
そんなハロウィン未開拓の日本で、この季節的行事の雰囲気を体験できるのは、海外産ゲームの中であった。
その年の『ウルティマオンライン』に開設されたのは、ハロウィンの季節限定の特別シャード。
そこでオレは忘れることのできない強烈なハロウィンの一夜を体験することになったのだった。
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オープンほやほやのこのハロウィンシャードは、なんとものどかなムードが漂っていた。
ハロウィンカラーの染めタブがあちこちに置かれ、オレンジと黒と緑と紫で着飾った人々が、「Trick or Treat」を連呼しながら街を走り回っている。
その中に混じってオレも、ぎこちなく「Trick or Treat」の文字をタイプしながら、このほのぼのとした異国のお祭りの気分を楽しんでいた。
所用があったオレは一通りの散策を終えた後、キャラをブリテイン中央の宿屋でログアウトさせた。
夜に帰宅すれば、またこの宿屋から気ままにブリタニアのハロウィン風景を巡ってみようというつもりだった。
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そして用を終え帰宅したオレがさっそくログインすると……、あたりは相変わらずのブリテインの風景だ。しかし、どことなく空気が違う。どことなく様相が違う。
まず目に付いた異変は、宿屋の周りにうろつく赤ネームNPCの存在だ。昼にログインした時には、こんなのは見当たらなかった。しかもその数がやたらと多い。
なんとなく周囲の雰囲気を測りかねていると、宿屋の玄関前に別のプレイヤーのキャラクターが湧いた。
すると宿屋の周囲をうろつく赤ネームNPCのうちの数体が、彼の方にふらふらと歩み寄って来たではないか。
戸惑って立ち止まる彼。そんな彼にお構いなしにふらふらと襲い掛かる赤ネームたち。
なにせ生れ落ちたばかりの非武装のキャラである。彼はあっという間に赤ネームに囲まれ息絶えた。地面に転がる彼の死体。そしてしばらくするとそこから彼の名前にZombieという単語を加えた赤ネームキャラが突然出現し、周囲を徘徊し始めたではないか!
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オレは改めて周囲をうろつく赤ネーム連中の名前を確認した。Zombie DEAN、Zombie Mildred、Zomibie Kouichi213、Zombie analayla、どいつもこいつも明らかにプレイヤーの名前とZombieの組み合わせだ。つまり、こいつら元々はみんなプレイヤーキャラクター、その成れの果てだ。
慌ててウィンドウの枠に目をやって、今まで気にも留めていなかったこのシャードの名前を確認する。
このシャードは、その名も"Shard of the Dead"。……そういう事だったのか!
これ以上は無いくらいヴァーチャルリアリティなゾンビ映画体験だ。『バイハザード』や『デッドライジング』とは訳が違う。
バイオやデッドラは、そこにゾンビが居る事を最初から織り込み済みで体験する。
しかしこのケースの場合、こっちはゾンビ騒ぎなんてこれっぽっちも予期してはいない。呑気でのどかなハロウィンに彩られた、いつもとちょっと違うブリタニアを体験するつもりで来ていただけなのだから。
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日常から非日常への全く予期せぬ急転直下。暮らしの中に突然降って湧いたゾンビクライシス。
今まで嫌と言うほど観てきたゾンビ映画の、あいつやそいつやこいつと全く同じシチュエーションに置かれてしまった。一体これからどうしよう。
とにかくこの宿屋から離れて街の外れまで逃れようか、あるいは街の中心部はゾンビ化していないプレイヤーキャラがまだ沢山居るかも知れない。それらとの合流を期待して銀行の方まで行くか。
そう優柔不断に考え込んでいたのがの尽きだった。呑気に考え込んでいるうちに、宿屋の周囲を徘徊するゾンビの数は倍以上に膨れ上がっていたのだ。
これ以上増えたら脱出もままならない。それにあいつらが宿屋の中に押し入ってこないという保証はどこにも無い
一か八かで宿屋の外に走り出したオレにに群がる無数のゾンビたち。
ああ、やっぱり駄目だった。オレはしょせんゾンビ映画では、エキストラ程度の器しかない男だったのだ、ぎゃぁぁぁぁ!
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灰色の世界の中で幽霊となって立ち尽くすオレ。そして地面から湧いて出たYOICHI Zombieという赤ネームキャラ。
そのYOICHI Zombieが、宿屋の前にたったいま生まれたばかりの事情を全く知らないプレイヤーキャラに襲い掛かるその様を、オレはただ呆然と眺めるしかなかったのだった。
そしてブリテインの街は、あっという間にゾンビの群れに埋め尽くされてしまった。
なにせ事情を知らない人々は普通スタート地点に首都であるブリテインを選択する。そして宿屋の前に生まれた途端ゾンビの大群に襲われゾンビ化。それの繰り返しでゾンビの数はネズミ講のようにあっという間に膨れ上がった。
やがて事態を把握した人間(プレイヤーキャラ)たちは、第三の街ムーングロウを拠点に反撃体勢を整え、そして首都ブリテインを巡っての人間とゾンビの熾烈な攻防が繰り広げられた。
いったん組織的態勢をとれば、そこはみんな百戦錬磨のブリタニアの冒険者たち。
人間側の圧倒的火力の前にゾンビの群れは徐々に鎮圧されていき、やがては数の少なくなったゾンビを囲い込んで人間側が己の悦楽の為にゾンビを狩りまくるという、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を地で行く展開へと向かって行ったのだった。
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古今東西のあらゆるゾンビ映画をシェイクして土鍋で煮立てたような世界は丸々三日続いた。オレの『ウルティマオンライン』生活の中でも、ここまで濃かった三日間は他にはないだろう。
この"Shard of the Dead"は、その翌年も開設されたのだが、やはり最初からゾンビ騒ぎが起こる事が分かってい”世界は、去年のような鮮烈な体験をオレに与えてくれることはなかった。
だけどあの年の"Shard of the Dead"は、デッドラやバイオの最新作と比較にならないチープな見下ろし型2Dグラフィックにも拘らず、デッドラやバイオでも実現できなかったインタラクティブなゾンビ体験を、確かに与えてくれたのであった。

 

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2015/10/23 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |