ボンクラ360魂Xbox Oneとの蜜月の日々 

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【魔導物語】ゲームよりもまんじゅう

   ↑  2010/04/30 (金)  カテゴリー: セガサターン
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専門学校を経営するとか、しいたけやガスマスクを売るとか、或いは何をトチ狂ったのかロイド・カウフマンの映画に出資するとか、ゲーム会社の副業には色々ありますけれど、その手の斜め上の副業に手を出したところは、最後は会社がのっぴきならない状態に陥るのが殆どだったりします。
まぁ専門学校やしいたけ&ガスマスクに関して言えば、あんな人を選ぶゲームばかり作っていたら、そりゃ副業なんかに手を広げずとも、遅かれ早かれ会社は傾いていたでしょうけれどね。
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中には、せっかく一般受けする堅実なゲームを作っておきながら、訳の分からない副業に手を広げた挙げ句、さらにワイルド&デンジャラスなワンマン経営で自ら傷口を拡げてしまったところもあったりします。
普段ゲームを全くやらない人にまで幅広く遊ばれた落ちものパズルゲーム、ぷよぷよ。
そのぷよぷよを世に送り出したコンパイルが、調子ぶっこいて同ゲームキャラのまんじゅうを”ぷよまん”と称して売り出したことは、つと有名な話です。
なんだかんだ言いながらこのまんじゅう、それなりに利益は出していたようで、コンパイルの経営が破綻した後も、しぶとくこのまんじゅうを売り続けるなど、末期のコンパイルは、もうゲーム屋なんだかまんじゅう屋なんだか、傍目には区別が付かないような有様となっていました。
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破綻寸前のコンパイルが、これまた風前の灯火状態のセガサターンで発売したRPGが、この魔導物語。
言わずと知れた、ぷよぷよの元になったRPGシリーズ。そして据え置き機で発売されたものとしては、シリーズ最後の作品にあたるのが、このサターン版魔導物語です。
過去のゲームギア版、メガドライブ版は、3DダンジョンタイプのRPGでしたが(ステータス数値が表示されないファジーシステムという特徴もあった)、本作はオーソドックスな見下ろし画面型。
ファジーシステムも排除され、ステータス数値が普通に表示された、ごくありきたりのRPGに変貌を遂げています。
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そんな訳でゲーム部分には、取り立てて特徴はないのですが、問題なのは本作のマニュアルと、それと一緒に封入された郵便の払込用紙。
マニュアルの最後にあるのは、ぷよまんを始めとするコンパイル商品のカタログ。そして添付されている払込用紙は、勿論このぷよまんの通販用払込用紙です。
そしてやはりマニュアルに封入されたチラシに踊る、「がんばれコンパイル。みんなでコンパイルを応援しよう!」の文字。
こういうことは、そもそも自分から言い出すようなもんではないと思いますが、そんな常識すら顧みる余裕がないほど、この頃のコンパイルは洒落にならない状態だったのでしょう。
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「もはや頼れるのはまんじゅうだけ。お願いだからまんじゅう買ってくれ!」
このマニュアル巻末のカタログからは、そんな崖っぷちコンパイルの悲鳴が聞こえてくるようではありませんか。
こうなるともはや本作は、ゲーム商品と言うよりは、まんじゅうの通販カタログに、おまけでゲームが付いてくるようなものです。
ゲームそのものの特徴の無さが、余計にこの”カタログのおまけ”度を際立てる始末。
自社の看板シリーズが、まんじゅう通販の呼び込み役に堕してしまう異常事態。こんな悲しい事態を避けるためにも、ゲーム会社の経営者皆々様には、くれぐれも堅実な会社運営を心がけて戴きたいものですね。

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2010/04/30 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【The Saboteur】花の都のなんちゃってステルス

   ↑  2010/04/28 (水)  カテゴリー: XBOX 360
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ゲリラ闘争は今や我々の新しい娯楽だ
      <Gang of Four - "5:45">
ナチ野郎は残らずぶち殺せ!俺はひとりイングロリアス・バスターズ!
例えゲームの敵キャラだろうと、攻撃するときに、「こいつにも家族が居るんだろうな」とか「この戦争が終わったらフィアンセと結婚式を挙げる予定なのかもな」なんて気を回して、つい躊躇ったりしてしまいがちな俺だが、そんな気遣いが無用な奴らが二種類居る。
それはゾンビとナチだ。
ゾンビとナチに人権はない。少なくともゲームの中ではそうだ。
居並ぶゾンビの首を、手裏剣代わりのCDですっぱんすっぱん落としまくろうが、ゾンビをまとめて芝刈り機で轢いて、100人前分のトマトピューレを作ろうが、心に咎めるようなことは一切無いし、哨戒中のドイツ兵に背後から忍び寄って、首をぽっきんと鶏みたいにひねったりするのも同様だ。
「みなごろしにしたっていいじゃないか。にんげんじゃないよ、ナチだもの」
相田みつをも確かそんなことを言っていたような気がする。だから心置きなくナチを狩ろうじゃないか。
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それに俺には理由がある。友の復讐という大きな理由が。
あの日、ナチ野郎どもが俺の友を嬲り殺しにしたとき、俺の目は色彩を失った。
識別できるのは友の顔を染めた血の赤色。そしてナチ野郎の鉤十字マークの赤色だ。
ナチどもの支配が及んでいる地域では、俺の目に色彩が戻ることはない。その地からナチの影響力を排除したとき、初めてその地域には本来の色彩が戻るのだ。
厳密には赤意外に青なんか識別できるのだが、これはナチ野郎と間違えて味方のレジスタンスを誤射しないための配慮だな。ナチの腕章は赤。レジスタンスの腕章は青だ。
もっとも乱戦になると、そんなもんをいちいち確認している暇はないが。……まああのレジスタンスたちも、国の開放のために命を捧げられたんだ。
例え俺が焦って盲撃ちにした末の誤射だったとしても、きっと本望だったんじゃないか?多分。
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花の都パリを舞台にサボタージュ三昧。ビバ・ラ・レジスタンス!
パリの一般市民に紛れながら、監視塔、スピーカー、軍用車輌を破壊して回り、ナチの高級将校はすかさず暗殺。
この地道な破壊活動で、ナチスドイツの力を徐々に削いでいってやる。随分と回り道の復讐だが、何せ敵の力は強大だ。
街のあちこちで盛大にダイナマイトを爆発させてると、巻き添えのパリ市民の数も増える一方だが、なぁに、どうせ俺はアイルランド人だ。そんなもん気にしない。
極端な話、フランスが解放されようがされまいが、俺には知ったこっちゃない。俺の目的はあくまで友の復讐だけなのだから。
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このサボターは”なんちゃってステルスアクション”。ただのステルスアクションじゃない。だいたい普通のステルスアクションを、この短気な俺が素直に遊べるわけがないだろう。
「ステルス→任務遂行」が一般的なステルスアクションのパターンだが、この”なんちゃってステルスアクション”は、「ステルス→あっさり見つかる→畜生、もうこそこそしてられるかぁ!→ヤケクソになって大暴れ」の手順を踏んでミッションが遂行される。
ステルスアクションとランボーアクション。この異なる二つの風味を同時に楽しめる、大変お得感溢れるゲームジャンルであるのだ。
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ステルスばかりではストレスが溜まる。かと言って、最初から堂々と大暴れするのも味気ない。
それに何と言っても開き直り快感が最高だ。
彼女から浮気を追求されて言い訳に終始するも埒があかず、ヤケクソになって「ああ、そうだよ!浮気したよ!あの子はお前と違って袋の方も時間かけてたっぷりと舐めてくれるもん!お前なんかより全然良かったよ!」と開き直ったときのような爽快感(もっともこのケースでは、その後ますますのっぴきならない事態に陥るのだが)。
隠密行動があっさりナチ兵に見つかって、畜生もう自棄だぁ!とサブマシンガン片手に通りのど真ん中に飛び出す瞬間、まさに俺はそんな様な爽快感を感じているのだ。
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え?それはあんたがへたくそなだけじゃ?一応これレジスタンスゲームなんだから、あくまでステルスが基本なんじゃないのって?
そりゃあ俺だって、最初はきちんと忍んで任務を遂行しようとしたさ。
遠くから見張りの兵をスナイパーライフルで排除。どっこぉぉぉぉぉん!数百メートル四方に響き渡る発砲音。
「今の音は何だ!?誰か居るぞ!」
うわああい、見つかったぁ!
今度はぬかりなくサイレンサー付きのピストルを用意して、見張りの兵目がけて発砲。
ぱすっ。「いてっ!」ぱすっ「いてっ!畜生!」ぱすっ「いてえな、この野郎!おい、誰か居るぞ!」
うわああい、見つかったぁ!このピストルは銀玉鉄砲か!
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確かに一応足音を殺してかがみ歩きを行うボタンはある。
しかしこれはLBボタン。そしてグレネードの投擲はRBボタンに割り振られているのだ。
このボタンコンフィグをそそっかしい俺が操作するとどうなるか。
やべっ、足音を忍ばせて歩かなきゃ、ぽちっ。明後日の方向に手榴弾をトス!どっかぁぁぁぁん!
「何だ今の爆発音は!」「おい、誰か居るぞ!」
うわああい、見つかったぁ!
このように、このゲームに於いてステルス行動を完遂するのは、もはや不可能に近いのです。
え?お箸を持つ方と持たない方の区別もつかないのかって?俺は限りなく両利きに近いサウスポーだから、その手の覚え方ができねえんだよ!箸を持つ方はこっちかこっちのどっちかだ、ほっといてくれ!
そんな訳で、今日も花の都のあちこちで、「うわ、また見つかった。畜生、もうヤケクソだ!暴れてやるう!」という悲鳴に近い絶叫がこだまするのであった。
この周囲も大迷惑な絶叫は、ナチ野郎どもがフランスから撤退する日まで、決して途絶えることはないのだろう。

<アジア版 / 日本のXBOX360本体で動作します>

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2010/04/28 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Silent Hunter】お気楽Uボート艦長

   ↑  2010/04/27 (火)  カテゴリー: iOS
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潜水艦と駆逐艦の、騎士道精神溢れる迫真の一騎打ち!海戦映画の大傑作「眼下の敵」(暴論だけど、戦争映画はこれと「
最前線物語」さえあれば、すべてが事足りると思う)。そして松本零士の傑作コミック、「潜水艦スーパー99」。
これらの作品にぞっこんだった小さい頃の俺にとって、潜水艦というのは憧れの乗り物でした。
敵の爆雷攻撃にも怯むことなく、「♪人生に乾杯だ、ひゃっほう!」と、逆に大合唱で敵を挑発する、あの不屈の潜水艦乗りたちの一員になりたい(「変な音が聞こえます。……なんか海中でパーティーをやってるみたいです」「ワインを贈ってやれ」「イエッサー。爆雷投下!」「眼下の敵」の素敵なワンシーンより)。そんな俺の子供じみた憧れを打ち砕いてくれたのも、やはり潜水艦映画の傑作、ウォルフガング・ペーターゼンの『U・ボート』でした。
「眼下の敵」や「スーパー99」で、潜水艦というのは案外中が広いもんだと誤解していた俺でしたが、「U・ボート」で描かれた潜水艦は、まさに鉄の棺桶の呼び名が相応しい、狭苦しいもの。
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自慢ではありませんが、俺は面堂終太郎なみに狭くて息苦しいところがダメなのです。もし長持ちの中などに丸一日押し込められていたら、きっと恐怖の余りうんこ漏らしてバカになってしまってることでしょう。
百歩譲って、例え狭くて息苦しいところであっても、一緒に押し込められているのが根本はるみや磯山さやかであるのなら、まだその環境に耐えられるかもしれません。
いや、むしろそのシチュエーションなら、閉所恐怖症を克服すらできるかもしれません。お願いですから、親切などなたか、そんなシチュエーションを設定してください。ちなみに当方、金はありません。
ま、それはともかく、「U・ボート」で描かれていた乗員たちは、とにかく臭くてむさ苦しい野郎ばかり。
「眼下の敵」の潜水艦乗組員たちは、もうちょっと小ぎれいだったような気がします。
「頼むからお前ら風呂に入ってくれ!」と懇願したくなりますが、「入れるもんなら入りてえよ!」と向こうはブチ切れることでしょう。
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自慢ではありませんが、俺は面堂終太郎なみに、臭くてむさ苦しい男がダメなのです。
そんな連中と、あんな息苦しく狭苦しい場所に押し込められ、何ヶ月も生活を共にする。もう想像するだけで俺には耐えられません。
もし将来徴兵されたとしても、潜水艦への配属だけは何としても拒否します。
その場でズボン降ろしてうんこして、「うっきー!」と叫びながらそれを四方八方に放り投げる。そんなキ●●イのふりをしてでも、配置を免れますとも。少なくとも今の日本には、キャッチ=22の条項は無いしな!
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そんな訳で潜水艦はゲームの中で済まそうと心に誓ったのです。
潜水艦ゲームの金字塔、『Silent Hunter』シリーズは、そんな俺の欲求に応えてくれる頼もしい存在だったのですが、元来が雑でいい加減な性格の俺は、精緻を極めたシミュレーションというのが実は苦手。
そしてこの『Silent Hunte』は、シリーズを重ねるごとに細かく、よりマニアックなシミュレーションと化していき、『Silent Hunter 3』辺りで既についていけなくなりました。
あー、もう俺、ここまで細かい管理とかできねえから!三流私立文系だから、できる限りプライベートの娯楽の時間では、数字とか見たくねえから!
俺がプライベートの時間で見たい数字は、
F 000 010 000 1
M 024 002 12X 11
<勝 成瀬  負 ダルビッシュ 本 大松14号 サブロー5号 神戸2号>
こういう数字限定だから!携帯とかでこれを見ていて、行が崩れて訳が分からなかったら、ホントごめんなさい!
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まあ『Silent Hunte』シリーズが、よりマニアックな方面に進化していったのは、あのシリーズのファンの欲求にどんどん応えていったからだろうけど、中には俺みたいな落ちこぼれも出てくるわけですよ!
でもね、社会にはセーフティネットが必要とされてるじゃありませんか。
適当に潜航したり浮上したりして、適当に予測雷撃して、魚雷命中、♪人生に乾杯だ、ひゃっほう!
そんなアバウトな潜水艦ゲームを望んでいた我々にも、救済が欲しかったのですよ。
そして遂に現れた、アバウトピープルに対するセーフティネット的な潜水艦ゲーム。しかもそれは、『Silent Hunter』の名を冠しているのです。
それがこの、iPhoneアプリ版『Silent Hunter』!
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戦略画面を移動して、敵の輸送船団や哨戒艦隊と遭遇すればアクション戦闘画面に移行。
深度は全部で四段階。スライダーを動かせば浮上も潜航もスピーディーに思いのまま。
雷撃、砲撃、対空射撃、それぞれのアイコンをタップすれば攻撃画面に。魚雷は沈没した敵の物資を拾えば補給できるので、ほぼ無尽蔵。
潜航中の難敵は哨戒機だが、これとて浮上して対空射撃画面に移行してしまえば、アバウトな照準でもがんがん撃墜できるカモへと変貌してくれる。
母港に帰還すれば、各種兵装やUボート自体のアップグレードも可能。
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グラフィックのレベルもなかなか。そしてiPhoneアプリとは思えないくらい豪奢なムービーも搭載。
狭苦しい艦内にも、むさ苦しい同僚たちにも、細かい管理にも、そして一見さんお断りの複雑なシステムにも、魚雷や燃料の残量にも一切悩まされることなく、お気楽極楽な海の狩人気分を満喫できる。
このクオリティのゲームが230円なんて、あまりにも安すぎる。UBIさん太っ腹!……と思ったら、今確認したら値段は600円でした。どうやら俺は安売りタイムセールの間に購入したみたいです。
いや、でもこれは600円でも、その価値は充分にありますよ。とにかく面白い。
通勤時間の車内に、バスの待ち時間に、俺のUボートは進む、大海原を切って進む。戦艦、駆逐艦何するものぞ。♪人生に乾杯だ、ひゃっほう!

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2010/04/27 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

TVドラマ【江戸川乱歩「黒蜥蜴」より 悪魔のような美女】

   ↑  2010/04/26 (月)  カテゴリー: 映画・DVD
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今まで様々な人の手により映像化されてきた江戸川乱歩作品ですけれど、成功に至った例というのは案外と少なかったりします。
これは大槻ケンヂも同じようなことを言っていたと思いますが、クリエイターが乱歩の持つ幻想とか耽美なんて一面ばかりに囚われすぎ、乱歩作品の肝心部分であるベタベタさ、通俗性をおろそかにし(或いは誤解し)、「俺様の解釈する乱歩の幻想と耽美」の世界に迷い込んで、結果、第三者から観たら、独りよがりでさっぱり理解できない(或いは単に鼻につくだけの)シロモノが出来上がるパターンが大半を占めているからです。
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そんな”俺様乱歩”な作品ばかりが目立つ乱歩の映像化の中で、数少ない成功例が土曜ワイド劇場の江戸川乱歩の美女シリーズ。
ひとけのない夕方の図書室で、ポプラ社の少年探偵団シリーズをこそこそ読む背徳と、親の目を逃れてこのエロとグロとベタと通俗という、乱歩の本質を見事に捉えたシリーズを盗み見る背徳は、子供の頃の俺にとってイコールのものでした。
その後の人生で出逢ったどんなエロも、小さい頃に体験したこの美女シリーズの様々な裸には及びませんとも!
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天知茂の当たり役で知られたこのシリーズ。天知の死後は、北大路欣也と西郷輝彦にバトンが渡されましたが、この二人を持ってしても天知の作った明智小五郎像を塗り替えることはできませんでした。
そして天知版美女シリーズの中でも飛び抜けて傑作なのが、"黒蜥蜴"をベースにした本作でしょう。
宝石を盗む傍ら、若く美しい男女を攫っては、剥製にして自らの暗黒美術館に収蔵する、冷酷無比の女盗賊、黒蜥蜴。
この最大のライバルと明智小五郎の丁々発止の対決は、後に三島由紀夫の手によって戯曲化され、美輪明宏が黒蜥蜴を演じた舞台は、もはや伝説のものとなっています。
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映画版では、京マチ子が黒蜥蜴を演じる1962年の大映版が有名ですが、、この悪魔のような美女は、その大映版黒蜥蜴の監督、井上梅次が、再度黒蜥蜴の映像化に挑んだもの。
美輪明宏のイメージが強すぎて誰もが二の足を踏む黒蜥蜴役に、果敢にチャレンジしたのは小川真由美。
そして小川真由美は、美輪黒蜥蜴とも、京黒蜥蜴ともひと味違う、”ちょっと薹のたった熟女な悪女”という新しい黒蜥蜴像を作り上げました。
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黒蜥蜴のストーリー。それは探偵と怪盗の対決に名を借りた、男と女のラブゲーム。
緑川夫人と称して接近してきた黒蜥蜴の正体を、どうやら最初から見抜いていたらしい明智小五郎。
そして正体を見抜かれていたことも、案外承知の上だった臭い黒蜥蜴。
互いの正体を知りながらも、そ知らぬ顔で互いのプライドを賭けた言葉のゲームを交わす両者。
その双方を、もう結構いい年こいた天知茂と小川真由美が演ずると、それにねっとりとした中年同士の男女の機微が見え隠れして、何とも言えない俗っぽいいやらしさに満ちているのです。
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そんな探偵ゲームのふりをした男と女のラブゲームに振り回される周囲は堪ったもんじゃありません。
黒蜥蜴と明智の電話のやり取りに「まるで恋人同士の会話みたい!」と憤慨する助手の文代(五十嵐めぐみ)。
「明智のこととなると、黒蜥蜴様はいつもそうだ」と微妙な嫉妬心を臭わせる部下の雨宮(アイフルCMのチワワ父さんでお馴染み、清水章吾)。
中年男女の色恋沙汰に右往左往させられる、それぞれの両腹心の苛立ちはよーく理解できますとも。
ただし本作の雨宮は、そのバックグラウンドが描かれないため、他の作品の雨宮と違って、残念ながら影の薄い一悪役に収まってしまってます。
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ベタもしっかりと忘れてはおりません。
誘拐予告した令嬢のもとにキャットウーマンスタイル(!)で現れる、真由美黒蜥蜴。
物音を不審に思った刑事が駆けつけると、真由美黒蜥蜴様は令嬢の服を着込み、顔にパック、そしてバレバレな若作り声の三点セットで堂々と姿を見せ、刑事たちをやり過ごします。
何という大胆不敵!恐るべし、黒蜥蜴!……と言うか、刑事ども、お前らアホかぁぁぁぁ!
そんなお得感たっぷりの七変化(男装もあり)も拝め、さらに体が不自由な従者、松吉にかけるさり気ない愛情という部分では、そのにじみ出る母性で美輪黒蜥蜴や京黒蜥蜴を凌駕するなど、真由美姐さんの黒蜥蜴っぷりもなかなかのもの。
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乱歩の原作と言うよりも、三島の戯曲がベースになっているので、全体に(特に明智と黒蜥蜴のやり取り)舞台演劇風の構成。
脚本担当はジェームス三木。三島戯曲を噛み砕いて、さらに俗っぽくねっとりとした仕上がりになっているのは、この人の功績も大きいかも。
そして一歩間違えればギャグすれすれになってしま両雄のやり取りを、芝居劇として見事に成立させたのは、何と言っても天知茂と小川真由美、両名優の力によるものでしょう。
美女シリーズの中でも文句なしの最高傑作。そしてその哀しい結末は、美女シリーズの中でも極めて異色のラストシーンです。

<キングレコードよりDVD版が発売中>

この記事に含まれるtag : ミステリ 

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2010/04/26 | Comment (2) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【FUEL】イナズマのメロディ

   ↑  2010/04/23 (金)  カテゴリー: XBOX 360
異常気象が続いたある夏の日。
珍しく晴れた休日なので、ちょっと遠出をして河原沿いの土手道をサイクリングしていた。
サイクリングと言ってもロードバイクやMTBではない。軽快車、一般にはママチャリと呼ばれる自転車だ。
でも夏にしては幾分穏やかな陽の光の下を、ふらふらと流すにはママチャリが丁度良い。
しかし、そんな穏やかな晴れ間が一瞬のうちに暗転した。太陽を突然遮るかのように湧いて出てきた黒雲。ぼとぼとと降り注ぎ始める大粒の雨。そして遠くから鳴り響く、まるで地鳴りのような音。
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雨粒がバケツをひっくり返したような土砂降りに変わり、そして稲妻の閃光が雲で黒く染まった空を切り裂くようになったのは、それからものの数分もしないうちだった。
閃光から間もないうちに鳴り響く落雷の轟音。痛いくらいに体を叩く土砂降りの雨に全身濡れ鼠となった俺は、雨宿り場所を探すわけでもなく、全力でペダルを踏み込みながらヤケクソになってこう叫んだ。
「カモン、イナズマ!」
顔に叩きつける雨でままならない視界の片隅に、黒のショートタイツ姿で人差し指を上に突き上げる木村健悟の姿が見えたような気がしたが、まぁそれはヤケクソとアッパーが入り交じったハイテンションから生じた幻覚だったのだろう。
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ハンバーガーにポテトが付きものように、ブルーザー・ブロディの傍らにはバック・ロブレイの姿が常にあったように、異常気象には雷雨がセットで付いてくるものだ。
すなわち、この『FUEL』のウェイストランドは雷雨天国。
孤独なロングドライブの最中、にわかに降り出す大雨と、遠くで不気味に光る稲妻のセットに出くわすのも、珍しいことではない。
そんな瞬間、それまで続いた30分近くの目的もないフリーランに倦み始めていた俺のテンションは、再び俄に高揚するのだ。
「カモン、イナズマ!」
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がさつで粗野なギターウルフのビートは、FUELのオフロードにはこれ以上はないくらいぴったりな、極上のカスタムサウンドトラックになってくれる。
どったんどったんとけたたましいスネアの響きに合わせて、デコボコのオフロードをがっくんがっくん上下に揺られながら、降り注ぐ雨を四輪バイクで切り裂くように走る。
「どしゃぶりがうれしい」と言ってくれるような娘は、あいにくとケツには乗っていないけれど、それでもそんなFUELのひとときは、あらゆるゲームを吹っ飛ばすほどの快感に満ち溢れているのだ。
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オフロードに揺られて上下する視界の片隅に、朽ち果てた標識の傍らで、人差し指を上に突き上げる木村健悟の姿が見えたような気がした。それが幻覚であるとか妄想であるとかは、この場合は関係ない。
右トリガーという名のアクセルレバーをワイドオープンにしながら、俺はすれ違いざまキムケンに人差し指を突き出して叫んだ。
「カモン、イナズマ!」
ゴーグル越しにかすむキムケンの顔が、ほんのちょっぴり微笑んだように見えた。
この世のあらゆる全てのイナズマは、美しく、そして正しい。俺がFUELから学んだ真理の一つだ。

この記事に含まれるtag : FUEL 

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2010/04/23 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |