ボンクラ360魂Xbox Oneとの蜜月の日々 

このページの記事目次 ( ← 2010-01- → )

total 5 pages  次のページ →  

【Karnival】蜃気楼の王国

   ↑  2010/01/31 (日)  カテゴリー: iOS
10013122.jpg
このKarnivalというiPhoneアプリゲームは、基本的にはテーマパークやローラーコースタータイクーンといった遊園地シムのタイニー版。
敷地内にアトラクションや施設を配置して、ゲートを開きお客さんを呼び込み、ゲートや売店で得られた収入で、また新しいアトラクションや施設を購入する。
その部分では、何の新しさもない、ごくありがちな箱庭運営シムものだ。
しかもアトラクションは、あらかじめ区切られたマス目の中にしか配置できないなど、箱庭ものとしての自由さは大きく損なわれている。
10013119.jpg
だけどこのKarnivalには、唯一無二の個性がある。それはとてももの悲しくせつない個性だ。
ローディング画面に映る、暗い表情を携えた痩せっぽちの青年。これがプレイヤーの分身にして、この小さな小さな王国の主。
彼は生まれながらにして山羊の腕を持つ。人は彼のことをこう呼ぶ。「フリーク」と。
10013120.jpg
Karnivalは、生まれてからずっと人々から好奇の目に晒され続けていた彼が、自分の唯一の居場所である移動遊園地を率い、アメリカ中を放浪する物語。
新しい地に辿り着くと、何もない空き地にメリーゴーランドや売店、プライズゲームやフリークショーのテントを設置して商売を開始する。
何もない地にある日突然現れた異空間に、引き寄せられるように集まる人々。
その移動遊園地の様子は、テーマパークやスリルビルのような、底抜けに陽気な賑やかさとは対照的で、まるで蜃気楼のようにもの悲しく儚い。
10013117.jpg
同じ場所でずっと開業していれば、最初は物珍しかった移動遊園地もやがて飽きられ、客足はどんどん寂しくなってくる。
テーマパークなら、新しいアトラクションを導入したり、広告やイベントに予算を割いたりするところだが、Karnivalにはその必要は無い。
アトラクションや売店をたたんで、トレーラーに乗ってまた新しい土地を目指すだけだ。
土地の人々は、一夜明けたら異空間が跡形もなく消え去っていたことに気付き、悲しみ、そしてしばらくもすれば、その異空間を心の中の「ちょっとした思い出」の引き出しにしまって、また普通の生活に戻るのだろう。
10013118.jpg
Karnivalの人気が上がれば、その名声を聞きつけて様々なフリークたちが、”山羊の腕を持つ青年”の元にやってくる。
ミゼット、熊女、火吹き男、ラバーメン、さえずり娘。
自分と同じような境遇の彼らを一座に加えていき、”山羊の腕を持つ青年”の王国は少しずつ大きくなっていく。
しかしいくら王国が膨れ上がろうと、彼らに安住の地はない。
今日もまた、アメリカを西に東に放浪し、どこかの街で、もの哀しいジンタと儚い灯りに彩られた、蜃気楼のような異空間の住人として、現世からやってきた多くの客たちを出迎えるのだ。

この記事に含まれるtag : 箱庭経営シム 

(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-549.html

2010/01/31 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Fallout 3】アンカレッジの要塞

   ↑  2010/01/30 (土)  カテゴリー: XBOX 360
10013011.jpg
人民解放軍の難攻不落の山岳要塞を攻略せよ!
♪ ぱーぱぱーぱぱーぱらぱぱ ぱーぱらぱぱらぱー
           <The Guns of Navarone / ナバロンの要塞のテーマ>
………人がせっかくそんな『ナバロンの要塞』気分を満喫しようとしているのに、それを台無しにする男が一人。
スナイパーライフル片手に(ナイフに持ち替えて音もなく接近戦をする準備も万全だ)音を殺してすニーキング移動する俺を尻目に、向こうの山にまで響き渡るような大声で、「アンクルサムからのプレゼントだ!」だの「万里の長城まで吹っ飛ばしてやる!」などと、言わなくても何の支障もないようなことを叫びまくり、盛大に発砲音を撒き散らす馬鹿が一匹。
ベンジャミン・モントゴメリーとかいう俺様の相棒。てめえは一人さっさと崖を登って先に行ってしまうというセルフィッシュな行動で、出逢う早々人様の神経を逆撫でしてくれた、第一印象最悪の野郎だ。
thegunsofnavarone.jpg
しかし、ちょっと待てよ。
崖をすいすい登れるって事は、『ナバロンの要塞』でこいつのポジションを例えると、主役にして登山の専門家のマロリー(グレゴリー・ペック)になるわけだろ。
そして実際に砲台を吹っ飛ばす俺のポジションは、爆破専門家のミラー伍長(デヴィッド・ニーヴン)。
それってこっちがめちゃくちゃ損な役回りじゃねえか!
10013009.jpg
Fallout 3の追加ダウンロードコンテンツ第1弾、Operation Anchorageは軍事用戦闘シミュレーターの世界。
つまりプレイヤーは、ヴァーチャルなウェイストランドの中で、さらにヴァーチャルな世界を体験するという設定になる。
そこは空気まで汚れきったウェイストランドではなく、核戦争前のアラスカ銀世界。
ああ、俺が生まれる前の世界の空気は、深呼吸したくなるほどこんなに澄み切って綺麗だったのか。
できることならこんな美しい地は、戦争以外の用事で訪れたいものだ。……後でちょっとディスクを入れ替えて、スノボか猟銃片手に訪れてみよう。
10013010.jpg
シミュレーターの中のヴァーチャル世界ということで、敵の藤村有弘もどきな連中には実体がない。
殺した死体は、しばらくすれば跡形もなく消え去ってしまう。
死体漁りという、俺のウェイストランド生活での密かな楽しみが奪われているのだが、まあそういう設定なんだから仕方がない。
だけど死体の持ち物は漁れないが、消え去る直前にアクセスすれば、死体を食うことは何故かしっかりできるぞ。
これぞヴァーチャルカニバリズム。いや、この場合はヴァーチャルヴァーチャルカニバリズムか。
藤村有弘軍の大きく逞しい大砲を吹っ飛ばして、当座の任務は終了。
『ナバロンの要塞』と違って、えらくあっさりと終わったが、まああの映画の場合は要塞に着くまでが長かったからなあ。
10013012.jpg
砲台爆破任務の後は、自分だけの部隊を編成できる。
『ナバロンの要塞』の特攻隊メンバーは、マロリーとミラーに加え、ギリシャ軍のタフガイ、アンドレア。機械とナイフのプロフェッショナル、ブラウン。地元出身のパパディモス。そして部隊の指揮官にしてその後足手まといにクラスチェンジするフランクリン少佐と、くせもの揃いの多士済々なメンバーだった。
俺様の部隊だって負けてはいない。
まずは腐れ縁のモントゴメリー。特技は大声と勝手な行動で隠密任務を台無しにすること。
そして兵士A。特技はいつの間にか勝手に死んでいること。
続いて兵士B。特技はこれまたいつの間にか勝手に死んでいること。
最後はロボットA。特技はいつの間にか勝手に壊れていること。
……アメリカ軍、決定的に人材不足!
10013013.jpg
「起爆装置が壊されている!」
『サーッ!』
「この中にスパイが居るぞ!」
『サーッ!』
「………頼むから、誰か一人ぐらい、俺の『ナバロンの要塞』ごっこに付き合ってくれ」
『サーッ!』
「………」
……アメリカ軍、色んな意味で決定的に人材不足!

この記事に含まれるtag : FallOut 

(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-550.html

2010/01/30 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【WWF ロイヤルランブル】アーケード発のランブル戦

   ↑  2010/01/27 (水)  カテゴリー: ドリームキャスト
wwf royal rumble.jpg
全日本プロレスの恒例行事である新春バトルロイヤルが、いつ頃始まったのかは詳しくは知りませんが、少なくとも俺が物心ついた頃には、この参加レスラーですらお屠蘇気分の緩い緩いイベントは、既に行われていたように記憶しております。
ロッキー羽田や佐藤昭雄など、こんな機会でもなければ滅多にテレビでお目にかかれないようなレスラーが大挙登場するのも、このバトルロイヤルのお年玉気分を盛り上げてくれました。
全日のバトルロイヤルは、昔一般的だった、参加選手全員が最初からリングに登場して、ゴングと同時にあちこちでもそもそと揉み合うというスタイルのものです。
このゴングが鳴ってから、みんなが仕方なさそうに「しょうがねえ、じゃあ始めるか」と、適当な相手を探してうろうろしだす、なんともだらけた間が子供心に大好きでした。
10012711.jpg
”やる気のない中堅”の代名詞だったロッキー羽田などは、いかにもこの「しょうがねえなあ」という気分を全身から振りまいていて、「とりあえず熊さんあたりとくっついとくか」と大熊元司の元に歩み寄り、熊さんと適当に肩に手を回しあいながら(断じてロックアップなどと言う攻撃的動作ではない)呑気にリングをうろうろしていたものです。
きっと我々の分からないところで「熊さん、参ったよ、昨日飲み過ぎちゃって」「お前も?実は俺も」なんて会話をしていたのでしょう。
10012705.jpg
この正月恒例バトルロイヤルの本家は、どうやらロサンジェルスマットらしく、'70年頃から豪華メンバーで行われていたこのイベントを馬場さんが日本に輸入してきたのが、全日版新春バトルロイヤルの始まりみたいです。
この全員が一斉にリングに上がり、フォールカウント決着で行われる(誰かが倒れると、みんなが一斉にのしかかったりする)タイプのバトルロイヤルは、何と言ってもそのだらけきってルーズな展開が妙味なのですが、一方でメリハリや盛り上がりに欠けるという弱点もあります。
それを補うためにWWF(現WWE)が考案したアイデアがロイヤルランブル。
一定の時間ごとにレスラーが登場し、順次リング上の闘いに加わっていくというスタイル。
これならば個別の入場になるので、レスラー一人一人の個性を際立たせることができるし、試合展開もメリハリが利いたものになる。
10012704.jpg
もっとも、後から入場してくる奴ほど有利というアンフェアも発生しますが、それすらも試合前の抽選会という形でドラマに組み込んでしまうのは、エンターテイメントレスリングの面目躍如でしょう。
有利な順番を金の力で手に入れてしまうミリオンダラーマン・テッド・デビアス。
終盤入場の抽選ボールを密かにスリ取ってしまうエディ・ゲレロ。
そして一番最初に入場という大ハンデを受けながらも、最後までリングに勝ち残り奇跡の優勝を果たしたショーン・マイケルズ。
もう抽選会だけでも、様々な名場面がありました。
そして試合中も色んなドラマがありました。
入場するも一秒と持たずに退場になってしまったクリス・ノウィンスキー。
入場途中を襲われて、リングインする前に失格となってしまったトミー・ドリーマー。
出場資格がないのに、言葉が分からないのをいいことに、勝手に登場して暴れたい放題暴れて帰って行ったのは、我らがカイエンタイでしたっけ。
10012707.jpg
そんなロイヤルランブルの名を冠したドリームキャストのゲームが本作。制作はエキプロシリーズのユークス。
通常対戦とロイヤルランブル、二つのモードが収録されており、通常対戦は一対一のシングルマッチのみ。
ただしリング下に自分の相棒を指名して待機させられ、パートナーアイコンを消費することで相棒を呼び寄せての合体攻撃を実行できます。
乱入をオンにすれば、試合中突如として数人のレスラーがリング内に雪崩れ込み、リングの上の人間に無差別攻撃を仕掛けて嵐のように去っていきます。
10012708.jpg
しかしやはりこのゲームのメインディッシュは、ロイヤルランブルモード。
このゲーム、どうやらオリジナルはアーケードゲームらしく、アーケードゲーム特有のばたばたしたテンポが、ロイヤルランブルという試合形式に実にマッチするという意外な効果をもたらしています。
もう凄まじいテンポで、レスラーが入場してきてはあっという間に落ちていく。
自分のレスラーがリングから転落すれば、即座にスタートボタンでコンティニュー(アーケードなら新しいコインを放り込んでいるところでしょう)して、新しいレスラーで入場。
登場レスラーが隠しキャラ(ビンスとシェーンの親子)を含めて21人と少なめなので、さっき退場になったばかりの奴が何食わぬ顔をして再入場してきたりしますが、気にしない気にしない。
10012709.jpg
入場口の正面に待ち構えていて、新手のレスラーがリングインする瞬間にぶん殴りかかり、即座にたたき落としてしまうという、えげつない必勝法もあります。
これを使うと、アンダーテイカーやストーンコールドといった超大物までもがクリス・ノウィンスキーやサイモン・ディーン状態。
エキプロシリーズのロイヤルランブルモード以上に、ロイヤルランブル本来の魅力を切り取った意外な秀作。
多人数で遊ぶと、より一層の面白さを満喫できるでしょう。
実際のロイヤルランブル2010は、いよいよ開催まで一週間を切りました。
今年は元新日本プロレスのヨシ・タツもランブル戦に参加する予定。ヨシ・タツ、何故か妙にプッシュされているなあ。

この記事に含まれるtag : プロレス 

(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-553.html

2010/01/27 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【リターン・トゥ・ゾーク】具現化したゾーク世界

   ↑  2010/01/24 (日)  カテゴリー: セガサターン
10012408.jpg
”貴方は今、白い家の西にある野原に立っています。正面の白いドアは、打ち付けられた板で塞がれています。
ここには小さな郵便箱があります。”

あらゆるアドベンチャーゲームの始祖であるZorkの(さらに遡ると1976年に登場したColossal Cave Adventureという作品があるのだが、まあひとまずこれは置いとこう)、余りにも有名なイントロダクションだ。
Zorkは全編テキストで構成されたゲーム。グラフィックなどと言う、気の利いた物は付いていない。
いや、厳密には、Zorkにはグラフィックは存在した。
Zorkをこの世に送り出したInfocomは、広告にこのような一文を書き添えた。
「我々のグラフィックは、陽の光の届かないところにある」
その一文の下にあるのは、人間の脳みその絵。
10012407.jpg
そう。Zorkのグラフィックは、それをプレイした人々の頭の中に、確かに在った。
そのグラフィックのバリエーションは、実に豊かで、そのどれもが個性的だった。
Zorkのプレイヤーが100人居れば、100通りのグラフィックが存在していたのだ。
俺のZorkの場合は、郵便箱の隣に”明治乳業”と書かれた木の牛乳箱がくっついていたものだ。想像力が貧困でごめんな!
10012401.jpg
Zorkの世界は、そうやって多くのプレイヤーの想像力(その貧富の差はあれど)によって支えられてきた。
人々の想像の力は無限だ。そんな力によって彩られた地下帝国の世界は、古今東西のあらゆるゲームで表現された世界の中でも、最も豊穣なものであったかもしれない。
10012403.jpg
Zorkシリーズの歴史は、アドベンチャーゲームの進化の歴史でもあった。
Zork1が登場した1980年から7年後。シリーズ8作目のZork Zeroは、遂にグラフィックインターフェースを手に入れた。
最もZork Zeroのそれは、あくまでテキスト部分を補佐する程度のささやかなものだったのだが。
そしてそれから5年後の1993年。コンピューターテクノロジーの進化に忠実に従い、Zorkは遂にグラフィックアドベンチャーとして甦った。
それがこのリターン・トゥ・ゾーク。
みんながそれぞれに頭の中に思い描いていたZorkワールドが、遂にモニターの中に具現化するのだ。
10012406.jpg
………あれ?これがZorkの世界?俺がイメージしていた世界と、なんか違う!
リターン・トゥ・ゾークの世界に訪れた俺は、まるで見当違いのガイドブックを鵜呑みにして現実のとギャップにうろたえる、間抜けな観光客状態。
いや、でもこの西部劇風の街並みとか、登場人物の現代アメリカ人と寸分変わらないような衣装とか、明らかになんか違いますって。
それとも、この違和感は俺だけのものなの?他のみんなが思い描いていたゾークの世界と、このリターン・トゥ・ゾークは、なんの齟齬も来さず一致してしまっているの?
10012405.jpg
10年ぶりに田舎に帰省したら、昔の面影はかけらも残ってないほど再開発されてしまっている状態とでも言おうか。
ところどころに、確かに見覚えのあるZorkテイストが残っているだけに、よけいにこちらの立場は中途半端。
異邦人なら異邦人で、まだ腹の括りようがあるけれど、そんな完全部外者でもない何とも微妙なポジションのまま、俺はこの新たなZork世界を彷徨い、グラフィカルになった分、難度が数段跳ね上がった謎解きに、四苦八苦するハメになったのでした。
今でもこの作品を、Zorkシリーズの中に数えるのは、何となく憚られます。
それにしてもこの作品が、サターンはともかく、PC-FXというおよそ場違いなハードに移植されたのは、一体何故だったんだろうか。

(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-556.html

2010/01/24 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

【Fight Night Round 4】暗い河を越えてきた男

   ↑  2010/01/23 (土)  カテゴリー: XBOX 360
Fight Night Round 4の追加コンテンツ第2弾、Champions Pack 2が、日本のマーケットプレースでも配信開始された。
3人の追加ボクサーと2つの追加ゲームモードを含むパックで、お値段は800MSポイント。ボクサーとゲームモードは、バラでも販売されていて、それぞれの値段はボクサーが一人につき160MSP、ゲームモードが320MSPとなっている。
実はこの追加パック。昨年末も一度配信されていたのだが、これを導入するとゲームがタイトルでフリーズしてしまうバグが発生。あっという間にマーケットプレースからも姿を消してしまっていたのだ。
その修正パッチが入り、コンテンツもこの度めでたく再配信される運びとなったわけだ。
10012315.jpg
今回追加されたボクサーは、まず元統一ミドル級世界王者、”死刑執行人”バーナード・ホプキンス。
一般には”タイソンに耳を食い千切られた人”として、ゲームファンにはメガドライブのホリフィールド・ボクシングの人としてお馴染みであろう、未だ現役のイベンダー・ホリフィールド。
そして最後の一人は、元ヘビー級世界チャンピオン。”モハメド・アリに全てを奪い去られた男”ソニー・リストン。
10012308.jpg
写真映えすることでも人並み外れていたモハメド・アリのフォトグラフィーの中でも一際有名な写真が、スポーツ・イラストレイテッドの表紙にもなった、相手をマットに打ち倒して「どや!」と言わんばかりに勝ち誇る一枚だ。
この時マットに横たわり、アリの引き立て役を図らずも務めている男がソニー・リストン。
常人離れしたデカイ拳から繰り出す強打で恐れられた王者だが、この写真からは人々の畏怖の対象となった面影などかけらもない。惨めなアリの道化の姿があるだけだ。
10012309.jpg
ソニー・リストン。彼は深く暗い河を渡ってやって来て、世界王者に就いた。
1932年生まれと言うことになっているが、本当の生年月日は誰も知らない。
分かっているのは、彼が極貧の家庭に生まれ育ったことと、幼い頃から数々の犯罪に手を染めていたこと。
プロボクサーになってからも、傷害罪での刑務所行きを経験しているし、王者時代以降も、裏社会との親密ぶりは公然のものとなっていた。
リングの上でも、リングを離れても、リストンは無敵だった。あのカシアス・クレイという生意気な若僧がルイヴィルからやって来るまでは……。
10012310.jpg
恐れを知らぬクレイは、ことあるごとにリストンに対して挑発を繰り返した(或いはそれは、圧倒的な恐怖の裏返しから出たものであったのだろうか?)。
しまいには取り巻き連中を引き連れてリストンの自宅に押しかけ、「この醜い熊野郎!」と罵倒する始末。
ボクシングスタイルも、人生も不器用だったリストンにとっては、怒りより先に、相手の常軌を逸した行動に、ただ困惑しただけだったのではなかろうか。
下馬評は大差でリストン有利。しかしクレイは圧倒的なスピードでそれを覆し、リストンを戦意喪失に追い込み世界王座をその手から奪い取る。クレイはこの試合後に、その名をモハメド・アリと改めることとなる。
再戦は僅か2分弱でケリがついた。リングに仰向けに倒れたリストンを「おら、立て!」と挑発するアリ。
リングサイドのカメラマンは、その瞬間を逃さず、そしてこの写真は歴史に残ることとなる。
熊のような強打で人々を恐れさせた、拳闘家ソニー・リストンの時間は、この瞬間に止まり、そしてアリの道化として永遠に写真の中に封じ込まれたのだ。
10012313.jpg
リストンのファイティングポーズ写真。そこにあるのは周囲を寄せ付けぬほどの暗さと苦悩を抱えた表情だ。
アリとは比較にならないほどの貧困と差別を経験し、そして暗く深い河を渡って表舞台にやってきた寡黙な男は、お喋りで陽気で、周囲の人々を常に魅了する才能に溢れた新世代の黒人の手によって、再び暗く深い河の対岸に押しやられてしまった。
そしてアリとの再戦から僅か5年後、リストンはこの世から去る。
死因については、薬物の過剰摂取とか裏社会による暗殺など、様々な説が囁かれているが、真相は一切分かっていない。
彼はアリに対するどのような思いを胸中に、この世を去ったのであろうか。
怒りか、憎しみか、或いは諦めにも似た感情なのか。それを確かめる術はない。
10012311.jpg
モハメド・アリは紛れもなく偉大なボクサーだ。世界で最も偉大なスポーツ選手、それは間違いなくモハメド・アリであろう。
その神話は多くの人々を魅了して止まない。しかし「♪ヤマタノオロチの言うことにゃ 神話に大きな罠がある」(Soul Flower Union - "お前の村の踊りを踊れ~エコタヌタプカラキーキ"より)
魅惑的な神話の影に、パターソン、フォアマン、フレージャー、多くの選手たちが生け贄として捧げられてきたことを、忘れてはならないだろう。
そしてその神話の最大の犠牲者こそが、ソニー・リストンだ。
そんな神話、俺はクソ喰らえだ。
10012312.jpg
2010年1月22日 アメリカ・ネバダ州ラスベガス・トーマス&マック・センター
ソニー・リストン(第10ラウンド1分43秒TKO)モハメド・アリ

この記事に含まれるtag : ボクシング 

(記事編集) http://bonkura360.blog.fc2.com/blog-entry-557.html

2010/01/23 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |