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【Grand Theft Auto Ⅴ】運命の交差点

2019.01.08(17:06) 2800

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正月早々『Grand Theft Auto Ⅴ』をXbox One版で再プレイ中。
今回は主人公のどん詰まり三人組に加えて『GTA Online』のマイキャラクターもスウィッチングしながら同時進行でプレイしているのだが、それによってより強く感じたのが『サウンドノベル 街 -machi-』との近似性だ。
複数の主人公を切り替えながら進行できるからだけではない。
ゲームの真の主人公は、無数の人々の生活と人生の容れ物となった巨大な街そのもので、表面的な主人公たちは、その容れ物の中身から特別にピックアップされた存在だ。
主人公たち以外の(ストーリー上では)脇役や、オンラインでこの街に根を下ろす世界中のすっとこどっこいプレイヤーや、街を歩くたくさんのモブキャラクターたち。
それぞれにこの街の中で人生や役割があり、プレイヤーはそれぞれの運命の管制官として機能する。
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『Grand Theft Auto Ⅲ』以降、GTAシリーズの主人公はずっと街だった。
バイスシティ、リバティーシティ、そしてロス・サントス。これらの舞台にまるで住民票をおいていたかのような郷愁を覚える人も多いだろう。
街は生き物だ。そしてその中には細胞のように無数の人々の営みが包み込まれている。
マイケル、フランクリン、トレバーだけじゃない。レスター、バリー、ラズロウ、パッキー、ソーンヒル夫人、ストーリーに深く絡む奴らから、プレイヤーによってはまったくすれ違うことなく終わるランダムイベントのキャラクター。
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街角でスマホ片手に佇む人々にブレイン郡の真っ昼間から飲んだくれてる無気力な連中。あなたがおまわりから逃げるときにうっかり撥ねてしまった不運な通行人まで。
ベンチで黄昏れているやつは、たった今ライフベンダーからレイオフを言い渡されたばかりかもしれないし、バインウッドに豪邸を構えるセレブだって、実は投機の失敗で人生の後始末を考えている瞬間かもしれない。
社会に怨念を抱く足の不自由な頭脳犯罪者、反体制気取りのマザコン葉っぱ野郎、宇宙と交信している若者にクソの役にも立たないセラピスト。ああ、そしてもちろん家庭に問題を抱えた中年元犯罪者に至るまで。
生死にいささか不平等があるにせよ、それはみんな等しくこのろくでもない街で生きる人々だ。
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そしてそれぞれとすれ違うも運命なら轢き殺すのも運命。
そんな人々のちょっとした縁の絡み合いの中には、『GTA Online』で登場するオレやあなたの分身だって当然含まれる。
素寒貧のオレが「この中のモノを全部かっ攫えたら」と妄想しながら前を通り過ぎる宝石店は、数時間前にフランクリンとマイケルが叩いた場所だ。
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キャラクターチェンジ時に、いったんロス・サントス一帯を上空から見下ろす画面に移動し、そこから当該キャラクターにズームインする過程は、そんな街で蠢く人々のささいな縁のほつれあいを象徴するような演出だろう。
ロス・サントス。星のような数の人々の日常や非日常やトラブルやハプニング、野望に欲望をパッケージングした巨大な生き物。
街のあちらではマイケルがバカ息子に振り回され、ビバリーはカメラ片手にゴミ箱の中に潜み、IAAとFIBは今日もまた罪もない民間人を拷問し、そしてオレは素寒貧の鬱屈を、たまたま通りがかったそこらのドライバーに八つ当たりしている。
どこかで絡み合うのも縁ならば、そのまますれ違うのもこれまた運命だ。



ボンクラ360魂


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【Grand Theft Auto Online】ロス・サントスのハッピーニューイヤー

2019.01.01(17:49) 2798

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2018年も終わりを迎えようとしているその時、ロス・サントスは雪景色だった。
この街は今から4,5年前に長く暮らしていた地。年末年始だから帰省とも言えなくないが、その直前に『Cities Skylines』で都市計画がにっちもさっちも行かなくなって、市長職を放り出して逃げてきた経緯を考えると、尾羽打ち枯らして馴染みのある街に逃げ帰ってきた感のほうが強い。
前回(Xbox 360版)は確か強盗アップデートが実装される前に、なんとなくこの街から遠ざかっていったのだが、さすがにそこから5年の月日は大きな変化がある。
今回(Xbox One版)久々に帰ってみると、その強盗モードの他にスタントライダーズだのバイカークラブだのナイトライフだのと目新しい要素が次々と追加されていて、街は大きく様変わりしていた。
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だがそれらの華やかな新要素はレベル1無一文で舞い戻ってきた今のオレには、まったくなんの関係もないし、もしかしたら将来的にも縁がないかもしれない。
オレにとって『GTA Online』は街の生活シミュレータであり、あるいは『ウルティマ・オンライン』のようなロールプレイングゲーム(巷で言うRPGとはおそらく概念が違うかもしれないが)だ。
このゴミ溜めみたいな街の中でいかにそれっぽく生きるか。大事なのはそこかしこの生活感のある事象であって、効率のいい稼ぎとかレベルアップとかは心底どうでもいい。
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凍てつく冬のロス・サントス。カネも住所もないオレがまず最初にしたことは職探しだった。
スマホにはどっからオレのことを聞きつけたのか知らないが、この街の裏社会の実力者であるマーティン・マドラッゾからひっきりなしに裏仕事のお誘いが入ってくるが、今のオレにそれをこなす器量があるはずもない。
人間やっぱり地道に働くのが一番だ。オレはダウンタウンにあるタクシー会社に足を向けた。マジメに働くんで雇ってくださーい。
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……5年経ってもタクシージョブは実装されていたなかった。
スタントレースだのアリーナウォーズだのと華々しいことには熱心だけど、『GTA Online』は『GTAⅤ』本編内では可能な小ネタ的なジョブに対しては、いつまで経っても冷淡だ。
オレはマジメにタクシーを転がして、ろくでもない客たちの相手をして鬱屈を溜めまくり、初デートにポルノ映画館をチョイスして、最後はやけっぱちになって頭をモヒカンにして、どデカいことしでかしたいんだ。頼むからオレにトラヴィス・ビックルごっこをやらせてくれ!
ジョブの発動地点を訪れてインスタントに発動する犯罪なんて犯罪じゃねえ! 犯罪ってそこまでに至る過程が大事なんだよ!
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いくら大金を必要としていないと言っても、先立つものがなければピストルの弾も買えやしない。
人手に困ってそうなコンビニを訪れても、雇ってくれる気配もない。ごめんなあ、オレだってこんな強盗なんかしたくなくて、ホントはここで働きたいんだよ。年越すカネくらい真っ当に稼ぎたいんだって。
帰省早々どん詰まりとなったオレのもとに入ってきたのは、ど田舎のブレイン郡に住む賞金稼ぎのババア、モードからのメールだった。
アバズレを一人引っ攫ってこい。相応のカネは出すと。
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雪がしんしんと降り積もる中、白い息を吐きながらロス・サントスの郊外を彷徨い歩き、そこらの家の軒下にようやく賞金首の女を見つける。
「へい彼女! おじさんと一緒にちょっとドライブしないか?」
もちろんそんなナンパが通用するような女じゃない。ナイフ振り回して襲いかかってきやがった。
仕方ないんで言うこと聞かせるために容赦なく殴り倒して、うずくまったところにぼっこんぼっこん蹴りを入れる。そんな瞬間にめでたく年が明けた。
凍えるような景色の中、人けのない住宅街の片隅でやりきれない暴力を振るう男と振るわれる女。
ハッピーニューイヤー2019。ロス・サントスは相変わらず最低にくそったれで最高にろくでもない街だ。



ボンクラ360魂


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音楽【Debbie Harry - Rush Rush】

2015.07.01(18:04) 2338

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'80年代を代表する歌姫デボラ(デビー)・ハリーのブロンディ~ソロ時代を通してのキャリアの中でも、"Rush Rush"はそれほど飛び抜けた曲ではない。。
それにも関わらずこの曲は必殺の名曲となった。あの永遠の名画「スカーフェイス」の裏テーマ曲に起用されたからだ。
「スカーフェイス」の真のミューズは、ミシェル・ファイファーでもメアリー・エリザベス・マストラントニオでもなく、画面には一度たりとも登場しないデビー・ハリー。
トニー・モンタナは、このデビーの歌声に導かれるかのように、栄光と破滅への階段を駆け上がっていったのだ。

そして今となっては懐かしの『GTA Ⅲ』のミューズもデビー・ハリー。
Flashback 95.6から流れるこの曲に促されて、オレはついついアクセルを深く踏み込み、ハンドルを誤って通行人をまとめて撥ね飛ばし、駆けつけてきた警官を思わず射殺してしまい、街中に厳戒態勢が敷かれてもうのっぴきならない状態に突入してしまう。
「これはもどうにもならない」と、思わず観念しそうになったところに、カーラジオからループして流れてくるのは、この"Rush Rush"。
デビーの妖しい囁きに押し出されるようにして、オレはハンドルを握り直し、破滅の延長戦に突入する覚悟を決めるのだった。
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結局警官隊に蜂の巣にされて病院前からリスタート。とりあえず手近の車を奪ってみると、持ち主が直前までカーラジオで聴いていたのがFlashback 95.6。デビー・ハリーがまたもや"♪ Rush rush, got the yeyo?"と、妖しくオレを急き立ててくる。
何て最悪の。そして何て至福のローテーションなのだろう。
リバティーシティでは"Rush Rush"、バイスシティではブロンディ時代の"Atomic"と、オレのゼロ年代GTAはデビー・ハリーと常に一体であった。彼女こそがニューウェーブのディーバであり、ミューズであり、アイコンであったから。
このやさぐれた街のあらゆる景色の記憶は、すべて彼女と歌声と共に蘇る。そして近年のGTAシリーズに物足りない点を唯一挙げれば、やはりデビー・ハリーの不在ということになるのだろう。
そんな彼女が今日70歳の誕生日を迎えた。「計算が合わねえ!」とニューウェーブ世代の人間はうろたえるかもしれないが、つまりアルバム「妖女ブロンディ」で1976年に(再)デビューして、おぼこ娘の恋慕などを歌い上げてた頃には、すでに30代半ばだったということになる。つくづく魔性の歌姫だ。





ボンクラ360魂


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【Grand Theft Auto Ⅴ】ウィンターサプライズ

2014.12.25(17:30) 2228

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目覚めたら家の中にクリスマスツリーが飾られていた。
こんなサンタクロースづらしたおせっかいをするのは、『GTA Online』の新アップデート、ウィンターサプライズ(Festive Surprise)以外にはいやしない。
ハイソな高級マンションの一室ならともかく、こんな突風が吹けば跡形もなく吹っ飛びそうなボロ家の汚部屋には、きらびやかなツリーなど嫌がらせみたいなものだ。
辟易して家の外に出てみると、外は雪景色に染まっていた。ロスサントスに一年ぶりの降雪だ。
最近のクリスマスは、おばあちゃんが編んでくれたようなダサいセーターを、あえて着るのがトレンドらしい。
アップデートで新たに加わったシーズンコスチュームも、ほとんどがそのダサセーターの類だ。
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住んでるオレが言うのもなんだが、このサンディ海岸沿いの町は、貧乏人の吹き溜まりみたいな集落だ。
いくら銀世界に染まろうが、ここがクリスマスムードからもっとも程遠い町である事実は覆い隠せやしない。
この町唯一の娯楽施設は、密造酒の匂いが染み付いているようなダーツバーだ。
店のドアを開け、「メリークリスマス!」と叫びながら、一番近いカウンター席にいた男に、軽く雪玉をぶつけたら、そいつは床に崩れ落ち動かなくなった。
バーから我先にと逃げ出す客たち。でも悪いのはオレじゃない。
オレはクリスマスらしく盛り上げようとしただけだ。悪いのは雪玉にダムダム弾並みの殺傷能力を施したロックスターだ。
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オレは逃げるように店を飛び出した。
こんなクリスマスを祝う気力もないような町にいたってしょうがない。ロスサントスの市街ならば、きっと幸福な奴らがクリスマスらしい振る舞いをしているはずだ。
軽自動車のハンドルを握り、オレは都市部に向かってハイウェイを遡上した。
途中、銃砲店に立ち寄り、アップデートで追加された銃器をチェックする。
ホーミング式のロケットランチャーが追加されていたが、それを買うには口座残高のゼロが一個足らなかった。
底辺のチンピラには、クリスマスプレゼントを手にする権利すら無いというのか。
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リャンシャンパークには巨大なツリーが飾られていた。
都会らしい華やかなイルミネーションに浮かれ、オレは「メリークリスマス!」と叫びながら、足元の雪を丸め、パークに佇むカップルの片割れに投げつけた。
男が地面に崩れ落ち、女は悲鳴を上げて逃げ出し、オレは「そういやそうだった」と再び慌てふためいた。
悪いのはロックスターだ。
図らずもリア充狩りを果たしてしまい、より一層惨めになったオレが駆けこむ先は、ストリップクラブしかなかった。
小銭をばらまいてお大尽気分にひたり、「もうそれくらいにしといたら」と言われるまでカウンターで呑んだくれ、メートルの上がったオレが向かう先は立ちんぼの密集地帯。
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雪降るイブに通りに立つ女たち。負け犬同士、肌を寄せあって暖めあおう。そんなセンチメンタルな気分に水をぶっかける、相も変わらずのビジネスライクでドライな性行為。
心のスキマを埋めるどころか、逆にカナ梃子で思い切りこじ開けられたような心持ちだ。
女を降ろし、いいかげん家に帰って冷凍食品でも食ってから寝ようと、オレは再びクルマを走らせた。
途中で目についたのは、激安犯罪の処理に出動したと思しき警察官の姿。
誰もが浮かれる夜に、こんな報われない仕事に追われる人間もいる。
生まれて初めて警官に連帯感を覚えたオレは、せめて彼らにほんのちょっとばかりのクリスマス気分を味あわせようと、「メリークリスマス!」を叫びながら雪玉を軽く投げつけた。
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逆上した警官たちは銃を抜いて向かってきた。
だから悪いのはロックスターだって。そんな抗弁も通じない。オレは逃げた。
連中は遠慮なく発砲してきた。流れ弾が立ちんぼの一人に命中し、この哀れな女は、クリスマスイブにこれ以上はないくらい惨めな死を迎えた。
神も仏もサンタクロースもあるものか。心のなかでそう反芻しながらオレは逃げた。
雪景色に浮かぶパトカーの赤色灯は、惨めなオレたちを包み込む、救いのないクリスマスイルミネーションのようだった。
ロスサントスのクリスマスは、いつも最低のくそったれだ。





ボンクラ360魂


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【Grand Theft Auto Ⅴ】ハイキングのススメ

2014.11.23(17:45) 2206

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ダウンタウンの湿って臭う空気に工業地帯の煤煙、クルマの排気ガスで汚れた中心街。
ケチなコンビニ強盗や路上強盗、発作的な通り魔犯罪に手を染めるたびに、こんな荒んだ身になってしまったのは、仲間が悪かったのか、あるいは境遇に問題があったのかと、ずっと自問自答していました。
しかし今ならその理由がよくわかります。すべてはロスサントスを覆う薄汚れて澱んだ空気がいけなかったのです。
山道を一歩一歩踏みしめながら、私はその汚れきった空をはるか遠くに見下ろしています。
ロスサントスからブレイン郡にまたがっての、数度の引っ越しと自分探しの旅の果てに、私はいつしか高くそびえ立つチリアド山の姿を、羨望をこめて見上げるようになりました。
ここにこんな素晴らしい自然の景色があるのに、それに目もくれないでシミオンの言われるままにクルマをパチったり、わずか数百ドルのためにバゴスとの撃ち合いに明け暮れていた私は、なんと愚かな罰当たりだったのでしょうか。
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食うに困って包丁や棒きれを手にコンビニに乗り込んだり、あるいはハイエースの鍵をこじ開けたり。
そんな実生活でいつ必要にかられて手を染めるハメになりそうなケチな犯罪よりも、せっかくのロスサントスでは、もっと普段やろうと思っても絶対にできないようなことにチャレンジすべきではないでしょうか。
山登りなんては、私にとってまさにそれです。
坂道なんて街中でさえもゴメンなのに、あんな坂だけで構成されたような地形をわざわざ歩いて、あまつさえ見ず知らずの奴に、すれ違いざま「こんにちは!」なんて爽やかに挨拶されたり、そんなシチュエーションに自分が身を置いている姿、まったく想像つきません。
そんなまったく現実味の沸かない行いも、『GTA5』の中では充分に可能です。
そう、ケチな激安犯罪の果てに、ロスサントスにいる私の分身はハイキングという健康的な趣味に辿り着いたのでした。
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東のゴルド山に西の緑豊かな低山群、そしてもちろん最高峰のチリアド山。
山登りに適した軽装に身を固め、これらの山々をモトクロスバイクでもチャリでもなく、自分の足でこつこつと踏破するのが、いつしか私の日課となりました。
目に映るのは、せわしないクルマ移動では気づくことのなかった美しい自然と雄大な景色。
そこに響く音楽は、耳障りで猥雑なラジオ局ではありません。"おお牧場はみどり"、"アルプス一万尺"、"おおブレネリ"。このステキな景色を前につい口ずさんでしまう自分の歌声です。
♪ おおブレネリ あなたのおうちはどこ? わたしのおうちはブレイン郡よ クソ汚い湖畔のほとりなのよ
もうケチな犯罪の日々とはおさらばです。遠くに見下ろせるのは、悪徳にまみれたロスサントスの街。
しかし今の私は、あの空の下の堕落しきった暮らしも、はるか遠い世界です。あそこを覆う澱んだ空気も、ここまでは私を追ってはこれないでしょう。
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殺伐とした都市部と違って、ここのでは人と人の距離も実に穏やかです。
「こんにちは!」。ロスサントスの街中で見ず知らずの人間に吐かれたら、思わず「キサマに馴れ馴れしくされる謂れはねえぞ、コノヤロウ!」と、逆上してバットを振り回したくなるような挨拶も、ここでは実に自然と受け入れられるではありませんか。
重たそうなバックパックを背負った同好の士に、こちらからそう挨拶を向けたいところですが、生憎とロスサントスの私はとことん無口ときています。
仕方ないので挨拶代わりに拳銃を一発ぶっ放したら、みんな大慌てで崖のような斜面を駆け下りて逃げてしまいました。まるでカモシカです。さすが山男たちですね。
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と、ささやかなコミュニケーションに自分だけほんわりしていたのも束の間、5秒後にはこちらに向かって四方八方から駆け上ってくるパトカーの群れから、必死に逃げ回るハメになってしまいました。
なんでこんな山の上に通報から数秒で急行してくるのでしょうか。そもそもここまでどうやってパトカーで登ってきたのでしょうか。
遮蔽物のない山の中で勝ち目のない銃撃戦を強いられながら、私はロスサントス市警の仕事熱心さと、チンピラ稼業から決して逃れきれない自分の因果を思い知るのでした。





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  1. 【Grand Theft Auto Ⅴ】運命の交差点(01/08)
  2. 【Grand Theft Auto Online】ロス・サントスのハッピーニューイヤー(01/01)
  3. 音楽【Debbie Harry - Rush Rush】(07/01)
  4. 【Grand Theft Auto Ⅴ】ウィンターサプライズ(12/25)
  5. 【Grand Theft Auto Ⅴ】ハイキングのススメ(11/23)
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