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ボンクラ360魂クロスカルチャーゲームブログ 

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音楽【The Stranglers - La Folie】

   ↑  2020/05/06 (水)  カテゴリー: 音楽
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コロナの災禍による各界著名人の訃報も続いているが、英国のロックバンド、ザ・ストラングラーズのキーボード奏者デイブ・グリーンフィールドの死去の報せは大きな驚きだった。
まあストラングラーズ自体が既に半世紀近いキャリアを持つバンド。結成時のメンバーの年齢も、当時のパンクバンドの中では比較的高かったこともあって、いつ何があってもおかしくない年ではあるのだけど(ドラマーのジェット・ブラックに至っては、もう80過ぎだ)、亡くなる原因がコロナウイルスによるものだったとなると、どこかいたたまれない気分になってくる。

オレが初めて手に入れたストラングラーズのアルバムは、そのデイブ・グリーンフィールドのキーボードがもっとも前面にフィーチャーされた通算6作目の"狂人館"(原題は"La Folie"だが、個人的にはこの邦題の方がしっくり来る)だ。
初期の荒々しく剣呑なビートを基調としたパンクサウンドから、4作目の"レイヴン"5作目の"メニンブラック"と、バンドがその音楽性を大きく変えてゆく中で、彼の荘厳で叙情的なキーボードプレイはどんどん存在感を増していった。
そしてそれがバンドが本来持っていた類稀なるポップセンスを引き出した結晶が、ストラングラーズ中期の傑作となるこのアルバムである。

もっとも当時のオレは音楽誌などを通じたストラングラーズの殺伐としたエピソードの数々ばかりが先に頭の中を占めていた。
その先入観と針を落として流れてきた1曲目の軽快なキーボードの音色に、最初は思わず「あれっ?」とギャップを感じてしまったが、しかし捨て曲なしのアルバムクオリティ、そして中核をなすデイブの典雅なキーボードに身を委ねているうちに、そんな違和感はあっという間にどうでもよくなってしまった。

いまでもストラングラーズの代表曲のひとつに挙げられる"Golden Brown"は、このアルバムの白眉だが、以降のストラングラーズの音楽性のプロトタイプともなっているA面のハイライト曲"Tramp"も、バンドの隠れ名曲として大きく推したい。
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デイブ・グリーンフィールドとストラングラーズのベーシスト、ジャン・ジャック・バーネルの2人による名義作となっている"Fire & Water"も、とても思い出深いアルバムだ。
"狂人館"の翌年にレコーディングされたこの作品、元は映画のサウンドトラックとして制作されたらしい。
それもあってかほぼインスト曲で占められたこのアルバム、プログレッシブ・ロックに近い質感となっており、それはもちろんデイブ・グリーンフィールドの一筋縄ではいかない音楽的バックボーンの表れなのであろう。

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2020/05/06 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

井上麻美のディスコグラフィー

   ↑  2017/10/24 (火)  カテゴリー: 音楽
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史上初のアイドルオーディションゲーム、『みつばち学園』のプレイヤー人気投票を勝ち抜きミスCDロムロムの座を射止めた井上麻美。
しかしデビュー曲の「青春はちっぽけな僕たち」とそれに続くシングル、そしてファーストアルバム「世界中のステキ信じてる」(1992年)は、『みつばち学園』やハドソンのイメージガールといったイメージからは、およそかけ離れたダウナーなカレッジポップ風の路線だった。
デビューアルバムの半数を占める作詞・戸沢暢美、作曲・馬飼野康ニコンビの作品は、いずれも佳曲揃いなのだが、その一方で「痛み」「悲しみ」「傷つき」なんてワードが主軸に置かれた内容は、彼女を擁するハドソンも「え、こんなイメージで行くんですか!?」と、ちょっぴり戸惑ったに違いない。
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現に「青春はちっぽけな僕たち」はPCエンジン系の情報番組「大竹まことのただいま!PCランド」のテーマ曲に使われていたのだが、番組のイメージとめちゃくちゃ乖離していた。
当時としては珍しいデジパック仕様でリリースされたこのアルバム、その正統派アイドル路線から外れた、教室の隅でいつも一人で俯いているような方向性は、あの時代のアイドルだと坂上香織なんかに近いかもしれない。
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続くミニアルバム「たったひとつの贈り物」(1993年)は微妙に路線チェンジ。
5枚目にして本人名義ではラストシングルとなった「恋人になりたいな」を筆頭に、ここにしてようやく正調アイドル風の楽曲が並ぶこととなった。
この正調アイドル路線への転換は、同時期にリリースされたPCエンジンソフト『井上麻美 この星にたった一人のキミ』の存在も大きい。
PCエンジン・アイドル路線の集大成とでも言うべきこのゲームは、過去の同系統作品の甘ったるいフレーバーを、サッカリンで水増ししたようなベタベタなゲーム。それに収録される楽曲も、ちょっとダウナーなカレッジポップ風であっては当然困るのだ。
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この「たったひとつの贈り物」は、『井上麻美 この星にたった一人のキミ』の実質的なサウンドトラックアルバム。
ジャケットはゲームのものと同ショットだし、インナーや特典として添付されたカレンダーの写真も、やはりゲームからの流用。
しかしミスCDロムロムの面子にかけて放ったゲームと音楽CDのコラボレーションも、既に到来していたアイドル冬の時代には抗うことができず、結局このアルバムは井上麻美名義の単独作品としては最後のCDとなった。
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事務所移籍を経て、岸本由香理、真下友恵とのユニット、Clikを結成したのは、PCエンジンの後継機PC-FXが青息吐息となっていた1997年。
ミニアルバム「勇気をください」は、Wink系90年代アイドルポップスを踏襲した路線であったが、これ一作のみのリリースでユニットは活動停止。
井上麻美の音楽活動のフィナーレを飾る作品となってしまった。

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2017/10/24 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

音楽【V.A. - 熱唱!! ストリートファイターⅡ】

   ↑  2016/01/26 (火)  カテゴリー: 音楽
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格闘ゲームにまったく縁のないオレが、『ストリートファイターⅡ』関連のCDを持っている理由。それはもうこのアルバムにストロング金剛さんが参加しているからに他ならない。
役者としての数々の迷演の他に、金剛さんはシンガーとしても多くの伝説を残している。
昔からプロレス歌謡は迷盤珍盤の宝庫だが、その中にあって金剛さんの残した作品は味わい深さという点で群を抜いている。
これは類稀なる歌唱力もさることながら、やはり金剛さんの乙女のように繊細なパーソナリティが、楽曲に独特の情緒とコクを生み出しているのだろう。

そんなシンガー金剛さんが、今度は格闘ゲームに急接近。
『ストⅡ』ブームが頂点に達していた1992年に発売された、この「熱唱!! ストリートファイターⅡ」は、音楽界の各ジャンルを代表する面々が、一人一キャラクターを担当してそれぞれのイメージソングを収録したオムニバスアルバム。
このアルバムで金剛さんが歌うのは、ラスボス、ベガのイメージソング、その名も"沈黙の墓標"。
歌詞の全くないこの曲で金剛さんが披露するのは、風呂場でのオヤジの鼻歌みたいなハミング……、というか唸り声だ。
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「♪うー、うー、うーうーうー、うー、あー、あー、あああ、あー」
独特の濁声で延々と続くこの唸り声に、もうそれだけで胸焼けがしてきそうだが、さらにこれに時折、「ぐっふっふっふっふっふ」という不気味な思い出し笑いが被さるサービスっぷり。
アイドルにニューウェーブ、ブルースに吉本興業と、各界の顔が並ぶこのアルバムの中でも、そのインパクトは飛び抜けている。
他の参加アーティストは、宮前真樹(春麗)、影山ヒロノブ(ケン)、戸田誠司&小山田圭吾(ダルシム)、ウガンダ(エドモンド本田)、巻上公一(サガット)、電撃ネットワーク(ブランカ)、島木譲二(ザンギエフ)など。
「ロシアも強いが、大阪も負けてへんどー!」の絶叫で始まるザンギエフのテーマソング。これはカプコンが認めるザンギエフのパブリックイメージと理解して宜しいのだろうか?

どうせならやって欲しかったのが、このメンバーでの実写ストⅡ化だ。ヴァン・ダムで一回やらかしちゃってるから、もう一回やっちゃったところで、もはや誰も怒らないだろうし。
灰皿で頭をひっぱたきながら「大阪名物、ダブルラリアットや!」と絶叫するザンギエフ。体を茶色に塗りたくり半裸で為す術無くうろうろする、小山田圭吾扮するダルシム。
「サイコクラッシャー」とぎこちなく叫びながら、宮前真樹の春麗を単なるヘッドロックで捕らえる、我らが金剛さんのベガ。
ヴァン・ダムのガイルに眉をひそめた人たちだって、この面子ならば金剛さんに免じて笑って認めてくれるはずだろう。

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2016/01/26 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

音楽【Debbie Harry - Rush Rush】

   ↑  2015/07/01 (水)  カテゴリー: 音楽
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'80年代を代表する歌姫デボラ(デビー)・ハリーのブロンディ~ソロ時代を通してのキャリアの中でも、"Rush Rush"はそれほど飛び抜けた曲ではない。。
それにも関わらずこの曲は必殺の名曲となった。あの永遠の名画「スカーフェイス」の裏テーマ曲に起用されたからだ。
「スカーフェイス」の真のミューズは、ミシェル・ファイファーでもメアリー・エリザベス・マストラントニオでもなく、画面には一度たりとも登場しないデビー・ハリー。
トニー・モンタナは、このデビーの歌声に導かれるかのように、栄光と破滅への階段を駆け上がっていったのだ。

そして今となっては懐かしの『GTA Ⅲ』のミューズもデビー・ハリー。
Flashback 95.6から流れるこの曲に促されて、オレはついついアクセルを深く踏み込み、ハンドルを誤って通行人をまとめて撥ね飛ばし、駆けつけてきた警官を思わず射殺してしまい、街中に厳戒態勢が敷かれてもうのっぴきならない状態に突入してしまう。
「これはもどうにもならない」と、思わず観念しそうになったところに、カーラジオからループして流れてくるのは、この"Rush Rush"。
デビーの妖しい囁きに押し出されるようにして、オレはハンドルを握り直し、破滅の延長戦に突入する覚悟を決めるのだった。
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結局警官隊に蜂の巣にされて病院前からリスタート。とりあえず手近の車を奪ってみると、持ち主が直前までカーラジオで聴いていたのがFlashback 95.6。デビー・ハリーがまたもや"♪ Rush rush, got the yeyo?"と、妖しくオレを急き立ててくる。
何て最悪の。そして何て至福のローテーションなのだろう。

リバティーシティでは"Rush Rush"、バイスシティではブロンディ時代の"Atomic"と、オレのゼロ年代GTAはデビー・ハリーと常に一体であった。彼女こそがニューウェーブのディーバであり、ミューズであり、アイコンであったから。
このやさぐれた街のあらゆる景色の記憶は、すべて彼女と歌声と共に蘇る。そして近年のGTAシリーズに物足りない点を唯一挙げれば、やはりデビー・ハリーの不在ということになるのだろう。
そんな彼女が今日70歳の誕生日を迎えた。「計算が合わねえ!」とニューウェーブ世代の人間はうろたえるかもしれないが、つまりアルバム「妖女ブロンディ」で1976年に(再)デビューして、おぼこ娘の恋慕などを歌い上げてた頃には、すでに30代半ばだったということになる。つくづく魔性の歌姫だ。

この記事に含まれるtag : GTA 

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2015/07/01 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |

ドラマCD【ルームメイト 井上涼子 Telephone Call from RYOKO】

   ↑  2013/12/23 (月)  カテゴリー: 音楽
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クリスマス連休。夜の街を歩く幸せそうな人々を横目に眺めながら、オレは懐のスマホに手を伸ばす。
リア充への恨み辛みを書き連ねた、虚しいツイートを送るためじゃない。家でオレを待っていてくれるはずの、"あの人"の声を聴くためだ。
この特別な日に、あの人"はどんな思いでオレの帰りを待ちわびていることだろう。
「もしもし、涼子です。メリークリスマス。ところで今どこにいるの? 家に帰ったら誰もいないし、伝言板には行き先書いてないし、イブの夜に私をほったらかしにして、こんな遅くまでどこに……。あー、もしかして、私の知らない誰かさんとこっそりディナーとか?……」

テレカにフィギュア、ノベライゼーションに抱き枕と、ギャルゲー萌えゲーの関連グッズにも、時流に応じた流行廃りが色々とあるが、その中でも横綱級の存在感を放っているのはCDだ。
キャラクターの歌ものCDは言うに及ばず、それ以上に重宝されたのが、台本とキャストさえ集めればいくらでも乱発が利くドラマCDというやつで、版元にとっては搾取のバリエーションが増えるわ、声優さんは仕事が増えるわ、ファンにとっても消費の対象が増えるわと、誰もが幸せになれるアイテムだったのではないか。せいぜい困るのは、ブームが過ぎ去った後に、こんな潰しの利かないブツを大量に持ち込まれる中古書店くらいのもんだろう。

ギャルゲー界の奇行種、ルームメイト井上涼子シリーズも当然の如くこのCDビジネスに走ったクチで、サントラやボーカルアルバムは当然として、ドラマCDも勿論の如くあった。
もっとも井上涼子のドラマCD(及びノベライゼーション)は、彼女の学校生活の様子などがメインで、プレイヤーが本来知り得ないはずの情景を赤裸々に描き出すそれは、考えようによっては非常に野暮極まりない存在だ(学校の男どもと親しげにしている様子なんか、聴きたくもないわ!)。本来そういうことは、家の中で井上さん本人の口から語らせてなんぼのものではないか。

そんなステロタイプなドラマCDの一方で、このシリーズの流れを巧みに受け継いだ変種のドラマCDも存在する。
それがこの「Telephone Call from RYOKO」。ざっくりと分かり易く説明すると、要は井上涼子版リカちゃん電話で、彼女から電話がかかってきた、或いはこちらからかけたという設定で、クリスマスや大晦日、正月などのシチュエーションでの彼女の会話が十数編収録されている。
一見インタラクティブな関係に見えて、実は井上さんからの気まぐれなアプローチを一方的に受け続けるだけという、ゲーム版のコンセプトをそのままCDにコンバートしたような内容で、まあこれで同居人と電話しているつもりになって無聊を慰めてくださいということなのだろう。

そのドラマCDの変種が、発売から十数年を経た今、音楽ファイルを大量にぶち込めるスマホの全盛時代が来て、ついにその真価を発揮できるときが来た。
イブだろうが元日だろうが深夜だろうが早朝だろうが、オレのスマートフォン、常時井上さんと直通状態。どんなとんでもない時間にかけても、彼女の声が嫌そうな響き一つなしに通話口から流れてくる。
井上さんの一方的な会話に、「ああ」「うん」「そうだね」などと相槌を打っていると、何やら本当に電話で会話している気分になってきて、何故か寂しさや哀しさがよりいっそうこみ上げてくるではないか。

「イブって幸せな人は最高に幸せだけど、そうでない人は思いきりさみしさを感じる日ね。受験生なら勉強しているって言えるけど、そうでない人は、独りでゲームでもしてるしかないもんね」
「お前にそう言われたら究極に立つ瀬がないわ!」などと、うっかり逆上してしまいそうなことを口走る井上さんだが、そんな相変わらず空気を読めない彼女にも、クリスマスイブなりのサービス精神はある。
「………あのさ、今夜は、……今夜だけは、夜中にあたしの部屋に入ってもいいよ。いつもだったら、ノックしないで入ったら怒るけど、今夜はノックしないでいいから。だって特別な夜だもん。プレゼントは何でもいいけど、サンタさんならあたしの欲しいもの分かってるでしょ? それじゃ早く帰ってきてね。あたしのサンタさん」

スマホをぶちっと切り、カップルだらけの夜の街を駆け抜け電車に飛び乗り、駅から自宅までの間をボルトも真っ青の勢いで駆け抜け、サターンの電源を入れルームメイトのCD-ROMをぶち込み、目を血走らせながら一直線に二階にある井上さんの部屋を目指すと、………そのドアは相変わらず固く閉ざされて、中にいる井上さんはこれまた相変わらず居留守を決め込んでいるのであった。
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どんどんどんどん! 開けろ! 無視してないでとっととここを開けろ! どんどんどんどん! おい、話が全然違うじゃねえか、この嘘つきアマ! どんどんどんどん!

この記事に含まれるtag : 井上涼子 

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2013/12/23 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |