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例え百万の屍を築こうが、コインが続く限り、そしてこの偉大なLDゲームのさきがけを愛して止まない人間が居る限り、勇者ダークは不死身だ。
白骨状態から毅然と立ち上がる勇者ダークのように、この永遠の名作が新たに蘇った先は、XBOX LIVEアーケード。
ハイエンドな画質で楽しめる『Dragon's Lair』にはBlu-ray版が既にあるが、やはり操作レスポンスの部分で若干の難がある。
その点、XBOX360コントローラーで操作できる、このXBLA版なら、その心配は無用だ。それにどうしても操作の部分で歯応えを求めたければ、画面内のダークと同じ姿勢をとらせて操作するという、あまりにも無理難題なキネクトモードを存分に遊べばいい。

今の視点だと、頭から尻尾までとっさのボタン入力指示が要求され続ける、典型的なQTEゲームなんて色眼鏡で見られそうな、この『Dragon's Lair』。
さらにはムービーゲーなんて、いわれなき呼ばれ方をされることもあるだろう。
いや、確かにドラゴンズレアはムービーゲーだ。しかしそれは独りよがりなムービーが、プレイヤーを置いてきぼりにして延々と進行する、今どきのムービーゲーとはまったく違う。『Dragon's Lair』はムービーそのもので遊ぶゲームなのだ。

そのボタン入力も、ムービーの合間に映像とまったく関連性のないボタン押しを指示される、いわゆるQTEゲームとは大きな違いがある。
このXBLA版『Dragon's Lair』には、親切なボタン入力ガイド機能が備わっているが、ためしにそれをオフにしてみよう。それが『Dragon's Lair』のオリジナルな姿だ。
その状態でゲームを遊んでみれば、最初のうちは、ただ延々と屍の山を築くことになる。しかしそのうちに、このゲームのルールが見えてくるはずだ。
使用するのは四方向キーと剣を振るうボタン。このボタンを使い分ける法則が分かってくるようになると、このゲームは俄然面白くなる。

悪魔騎士に襲われるシーンを例にとってみよう。
突進してくる悪魔騎士。だが、その剣を振り下げる方向は、必ず右か左のどちらかに偏っている。入力ガイドに頼らずとも、実は突進を避けるために方向キーを入力する方向は、アニメーションを見れば一目瞭然なのだ。
足場が崩れ落ちそうになったら、残っている足場の方向。足下を何かに捕らわれそうになったら、上方向に入力してすかさずジャンプ。剣ボタンはもっとシンプルだ。相手に至近距離で襲われそうになったら振るえばいい。
ボタン入力ガイドが点灯するのは、ほぼ直前の一瞬の間だが、実はこの法則さえ理解してしまえば、かなり早い段階で次のボタンの入力方向を予測することができる。

このように『Dragon's Lair』のボタン入力は、すべて一定なゲームの法則に基づいて発生する。ムービーの合間に、AだのXだのと、ムービーとはまったく関連性のないボタン入力を要求するQTEとは、根本から異なるものなのだ。
そしてドン・ブルースの手による、キャラクターの動きや表情が豊穣な表現力で描かれるアニメーションは、ストーリー共々、ゲーム部分とすべて一体化した不可離な存在である。
だからこのゲームのムービーは、プレイアブルパートの合間に、状況やストーリーを説明するために挿入されるムービーとは、これまた根本から異なる。ムービーそのものがゲームであり、そしてそこで語られる、波瀾万丈でシンプルなお姫様救出劇も、やはりゲームと根っこの部分で一体化した物語だ。

スムーズに進行すれば、10分程度で終わってしまうストーリー。
しかしその10分間は、一難去ってまた一難、血湧き肉躍る、とてもとても濃密なひとときだ。
迫り来る炎を咄嗟に飛び退いて避け、崩れ落ちる床から床へと飛び移り、不意を討って現れた敵を抜き打ちで退ける。
勇者ダークの冒険には、アクションゲームの原初的な快楽がみっちりと詰まっている。『Dragon's Lair』は、そんなプリミティブなアクションゲームと、溜息が出そうなくらい見事なアニメーションが融合した孤高の傑作。
その冒険の最後を飾るのは、ドキドキするほどコケティッシュなプリンセス・ダフネ。
俺が子供の頃、ゲーセンのアップライト筐体で、初めてこのプリンセス・ダフネに出会ったときに胸に去来した感情は、もしかしたら今で言う"萌え"ってやつだったのかもしれない。
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2012/05/19 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
かすむ水平線。空にたなびく雲。緑の木々に覆われた山々。その山が織りなす美しい稜線と渓谷。
そんな美しい自然の景色も、今や三歳児に与えられた壊れやすいおもちゃのように風前の灯だ。
例えどんなに美しく整えられた風景や自然であろうが、自分の手が加えられていない限り我慢がならない。ガキの頃から俺たちはそうだった。
花壇は掘り返した。裏山には無理矢理道を造った。小川は堰き止めた。砂場の砂は全部掻き出した。
人は実のところ、あんまり自然なんか好きじゃない。むしろ開拓や開発の名の下に、それにおせっかいな手を加えて悦に入るのが好きな生き物だ。
マインクラフトは、そんな人間の罪作りな本能を刺激して止まない、なんとも性悪なゲームなのだ。

鉄のスコップを片手に、俺はひたすら平地を求めて山を削り、海を埋め立てる。
行く手を阻む木々は伐り倒し、小石を敷き詰めて、自分以外は誰も利用しない舗装路を延々と敷設し、夜の帳に無粋な灯りを設置して回る。
もしこの場にC.W.ニコルさんが居たら、「ナニヲスルノ!? ヤメナサーイ!」と顔を真っ赤にして怒鳴り散らしそうな所業の数々。
しかし、今ここで俺の建設を装った野蛮な行為を阻めるのは、テロリストも真っ青の自爆テロを仕掛けてくるリーパーくらいのものだ。
その外見上、ついモンスターの類に入れたくなるリーパーだが、その実は俺の環境破壊行為に決死の抗議行動に打って出ているエコテロリストみたいなもんなのかもしれない。

今は果てが見えないこの世界の遥か隅々までを、やがては高架の舗装路が貫き、誰が住むわけでもない住居が建ち並び、守る必要のない城が屹立し、天の風景までをも、おのれの欲求のままに改変しようとする塔が立ち並ぶのであろう。この世界の原風景を完全に破壊した上で。
文明の発展、生活の利便性、その名の下に行われる開発や開拓は、本来とても罪深い行為なのかもしれない。
マインクラフトは、人間が忘れかけているそんな罪深さに改めて気付かせてくれるゲーム。そしてそんな罰当たりを自覚した上で、俺は「それがどうしたこの野郎!」とスコップを振るう。
ここは俺が思うままに、あらゆる風景を、あらゆる理を、そしてあらゆる神の意志を、スコップと、つるはしと、斧でねじ曲げられる、至福の空間なのだから。
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2012/05/18 | Comment (0) | Trackback (1) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |主審の元まで赴く私の表情は、きっと今シーズンのナベQみたいになっていたことだろう。
顔の端にちょっぴりうんざり気味の雰囲気が漂っている主審に、私は抑揚のない声でこう告げた。
「ピッチャー、今マウンドにいるノーコン馬鹿に替わって、もっとマシなレズ女」
「名前か背番号で言って貰わないと分からないよ!」
堅苦しい主審の答えに、渋々こう付け加える。
「……ピッチャー、背番号1、野々原に替わって背番号10、林」
チーム初の公式試合を、12四死球の押し出しワンマンショーでぶち壊したエース兼キャプテンを、自らの交替宣告でマウンドから引き摺り下ろし、私は重い足取りでベンチへと帰って行った。

「監督、まだまだ試合はこれからです! 諦めずに頑張りましょう!」
ナベQ顔でベンチに腰を下ろした私に、そう声をかけてきたのは、よりによって悪びれた顔一つせずにマウンドを降りてきた野々原だった。
「………あ?」
「まだまだこれからです! 諦めたらそこでおしまいで、……痛たたたたた! 監督、痛い痛い! ほっぺたつねるのはやめてください!」
「……これからはねえよ! 今日の試合は終了だよ! ピッチャーが一人で四球連発しまくった挙げ句に大量リード喰らったら、どんなチームでも、もう終了なんだよ!」
「そ、そんな、監督、仮にも野球指導者が口にする言葉じゃ……」
「じゃあ諦めるなつったら、この場が丸く収まるとでも言うのか! 貴様が四球連発しまくってる間、後ろで守ってる連中は、どんな気分で居るのか分かるか!? 連中のやる気はもうゼロだよ! 逆さに振ったって出てきません!」

ぎりぎりと万力のように頬をつねりあげられながら、それでも野々原は涙目で抗弁する。
「わ、私も私なりに頑張ったつもりなんですけど……」
「頑張らなくてもいいから、最低限の仕事はしてくれよ。ピッチャーのお仕事は、ストライクゾーンに球を放ることなんだよ。前回は練習試合だし、たまたまそうだったのかと思ったら、お前の"ストライク入らない病"は不治の病だったとはな!」
「そ、そんなことはないと思いますけど」
「じゃあさ、頼むからストライク投げてくれよ。お前がそれをやってくれないと、もはや野球の試合じゃなくて、相手が何もせずにダイヤモンドをぐるぐると回るだけの、おかしな儀式になっちまうんだよ分かってんのかあ!」
「痛い痛い痛い! か、監督、暴力反対!」

懇願に構わず、私は野々原の頬を無理矢理引っ張り、マウンドの方にねじ曲げた。
「見ろ、林を。少なくともお前と違って、フォアボールを連発するような真似だけはしてないだろ」
「でもホームラン打たれちゃいましたね」
「押し出しで点獲られるより百倍マシだ、馬鹿野郎! ……あのな、俺はそろそろ真剣に、林をエースに据えて、お前を控えに回すことを考えてるぞ」
「そ、そんな! 仮にも私はヒロインなんですよ!? 言っちゃなんですけど、林さんはパッケージでも一番ちっちゃく写ってって、ぶっちゃけ居るんだか居ないんだか分からないようなキャラ、……痛たたたたたたた!」
「いっちょまえにヒロインぶったことを抜かす口は、その口か、ああ!?」

「そ、それにですね。監督には黙っていましたが、私、密かに特訓して、アレが出来るようになったんです」
「アレって何だ?」
「魔球を投げられるようになったんです! 痛たたたたたたた、ちょっと! 何で怒るんですかぁ!?」
「いいか、よく聞けよ。優れた制球でコーナーをきわどくつく球に勝る魔球はねえんだよ! 今季MLBで史上最年長勝利を挙げたモイヤーを見ろ!……で、その魔球、どんな球なんだ?」
「紅蓮の炎をあげて、凄まじい変化をする魔球なんですよ。名づけて千式紅炎球。一球投げるのに根性値二十を消費するんですけどね」

「………で、その球、相手が見送ったらどうなるんだ?」
「変化があまりにも鋭すぎますから、ボールになりますね」
「つまり二十球分の肩を消費するボール球ってことか」
「その代わりに絶対打たれませんよ! ……あ、ちょっと、やめてください、痛たたたたたたた!」
「ボールと分かってる球をわざわざ打ちに行く馬鹿は居ねえよ! ちっとは考えて魔球開発しろ! いいか、次の試合でまた今日みたいな真似をしやがったら、即刻エースの座から引き摺り下ろすからな!」
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2012/05/17 | Comment (1) | Trackback (1) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
将軍たちが頼りにするのは? 「エアボーン!」 ナチがもっとも恐れるのは? 「エアボーン!」 キャバクラに行ってもモテモテなのは? 「エアボーン!」 頭痛、生理痛に? 「エアボーン!」 この世で一番なりたくない職業は? 「エアボーン!」
国を問わず、軍隊きってのエリート集団と言えば、それは空挺部隊。
乏しい装備を携え、目も眩むような高さから敵地のど真ん中に飛び降り、そして圧倒的な数の敵に囲まれて往生する。
リチャード・アッテンボローの「遠すぎた橋」は、空挺部隊とはつくづく割に合わない商売だということを、痛感させてくれた映画ですが、何の因果か私は今、その空挺部隊の一員として、へっぴり腰で輸送機の中に居ます。

降下訓練の名の下に、いきなり初っぱなから高所飛び降りを要求してくれますが、あいにくと私は高いところはてんでダメ。梅田スカイビルの空中展望台に行ったとき、女の子連れだったにも拘わらず、思わず四つん這いになってしまったくらい本当にダメ。
「マズイっすよぉ! これ、洒落になんないっすよお!」、「殺す気か!?」、「畜生、訴えてやる!」
せいぜい勿体ぶって、お笑いウルトラクイズの出場芸人みたいなゴネ芸を披露しようと思ったら、そんな暇もなく「さっさと行け!」と蹴落とされました。これだから軍人ってやつは!
まぁ正直な話、このゲームには『Just Cause』のパラセールみたいな高所の臨場感ってのは、実はあんまり無いんですけど。

コンソール機とPCを股にかけた、ミリタリーFPSのナンバーワンフランチャイズだった『Medal of Honor』シリーズ。
しかし量産が祟ってシリーズの人気が落ちかけ、その上に『Call of Duty』シリーズの急追を受けた『MoH』が、新たな活路とばかりに飛びついたのが空挺部隊ネタ。
そしてこの『Medal of Honor: Airborne』は、『CoD』シリーズが標榜する、演出過多のローラーコースター型キャンペーンに対しても、真っ向からノーを突きつけた作品でもあります。
レールの上を走らせて、矢継ぎ早にアップダウン揺さぶりをかけて、刹那的な興奮を生み出す。
そんな誰にでも均等な熱中なんかゴメンだ。さあ、お好きなところに飛び降りて、自分の戦場のドラマを自分の手で生み出して下さい。

安全な補給地点に降下するか、或いは味方の最前線に降り立つか、或いは敵のど真ん中に不意を討って降りるか。
理想とするのは、敵に囲まれピンチに陥った味方の前にすたっと降下し、トンプソンの乱れ撃ちでナチスどもをあっという間に片付け、硝煙越しに「待たせたな!」と満面の笑みを浮かべる。これです。
しかし実際には、木に引っかかって途方に暮れる。有刺鉄線バリケードの上に降りてしまい立ち往生。敵の補給基地ど真ん中の給水桶に飛び込んでしまい四方八方から撃たれまくり。教会尖塔のてっぺんに降りちゃってにっちもさっちも行かなくなるなど、自分の理想とは180度違ったドラマチックな展開ばかり。すいません、私、やっぱり空挺部隊に向いてません! 狙った場所に降りられないんです!

そしてローラーコースターキャンペーンのおもてなし要員な『CoD』の敵たちと違って、こっちのナチどもはハードコアな連中ばっか。完全にこちらを殺しにかかってきます。
そういう戦場の一員としての自覚は、非常に結構なことなんですが、だからと言ってその一方で、一番雑魚のイタリア軍黒シャツ党員から、上位のナチ将校連中まで、強さのレベルに応じて耐久力やヒットポイントを変えるなんて、まるでスライム、スライムベスの等級付けみたいな、WWⅡゲームらしからぬアレンジメントはやめてください。
おかげで最上級のナチエリート兵なんかは、ロケットランチャーを直撃させても、びくともしない怪物になっちゃってるじゃないですか。
『ウルフェンシュタイン』の改造ナチ兵にだって、そこまで化け物じみた奴は出てこなかったと言うのに。

降下地点(スタート地点)を自由に選べるシステムということは、ローラーコースタータイプの予定調和な敵との遭遇を演出できないわけですから、敵の配置は自然と全方位に配慮した抜かりのないものになっています。
その上に尋常じゃない硬さ。ちょこまか動き回る小賢しいAI。そして大胆すぎる兵器の運用。
あのー、敵にこんなこと言うのもなんですが、パンツァーシュレックって、そんな風にスナイパーライフルみたいな使い方をする武器じゃないと思うんですけど。橋の遙か向こうから即死級のロケット弾が狙い澄まして飛んでくるなんて勘弁してください。
このゲームに収録された各種降下作戦の中でも、このパンツァーシュレックが猛威を振るうマーケットガーデン作戦は、ホント挫けそうになりました。
あの橋はガチで遠すぎます。なんでモントゴメリーのために、こんな思いしなきゃなんないんだよ! ああ、ホント空挺部隊って、まったく割に合わねえ!

のっぺりとした敵の配置、取り留めのないマップの構造、融通の利かない窮屈なレベルデザインなど、自由降下というシステムを成立させんがために、他のあらゆる要素がすべて裏目に出てしまった、この『Medal of Honor: Airborne』。
その高い理想とは裏腹に、『CoD』シリーズの演出過多キャンペーンが苦手な私にでさえ、「やっぱりある程度はレールの上に乗せられていた方が、お互いのためにいいのかもしれんな」なんて感想すら抱かせてしまいます。
そして本作を境にして『MoH』は、そのシリーズ展開がしばらく停滞してしまい、さらには『Call of Duty 4』の登場で『MoH』と『CoD』の力関係は完全に逆転し、さらに挽回不可能な差を付けられちゃうのでした。
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2012/05/16 | Comment (0) | Trackback (0) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |
現在のファーストパーソンシューティングの礎となった『Wolfenstein 3D』が、今月の5日にその誕生からちょうど20周年を迎えたそうで、それを記念した無料のブラウザ版が公開されています。
1980年代に、"遊撃手"という、主にAppleのゲームを扱ったPCゲーム誌が刊行されていて、それに掲載されていた『Wolfenstein 3D』の原型『Castle Wolfenstein』の紹介記事が、私とこのシリーズとの最初の出会いでした。
もっとも当時の私にAppleなどというハイソなマシンが所持できるわけもなく(その頃私が持っていたのは、MZ-700という、恐ろしくファンキーなパソコンでした)、仕方なしに私は"遊撃手"がグラビアのほとんど載らないテキスト主体の雑誌だったこともあって、活字の記事から想像力を膨らまして、もっぱら脳内でそれらAppleのゲームを遊んでいたのです。

その"遊撃手"に掲載されたゲームの中でも、『Castle Wolfenstein』は強烈な印象を残したゲームでした。
ナチスの基地となったヨーロッパの古城を舞台に繰り広げられるステルス潜入活劇。その「ナバロンの要塞」などの戦争アクション映画を思わせる設定は、当時の他のゲームとは一線を画した"大人のためのゲーム"を感じさせたのです。
私はこの記事を繰り返し繰り返しページに穴が空くほど読み込み、そしてナチス兵士を不意打ちのナイフで屠ったり、ナチ下士官を出会い頭の銃撃で倒したりするシーンを頭の中で膨らまし、いつかこの途轍もなく面白そうなゲームを実際に遊んでやると心に誓ったのです。

やがて長い月日が流れ、私が既に時代遅れの骨董品になっていたApple IIをようやく手に入れた頃に、『Castle Wolfenstein』は意外な形でゲームシーンの最前線に帰ってきたのです。
『Wolfenstein 3D』と題されたそのゲームは、『Castle Wolfenstein』の設定を受け継ぎながらも、そのゲームシステムは似ても似つかないものへと進化を遂げていました。
当時は3Dシューティングなどと呼ばれたりしましたが、今で言うファーストパーソンシューティングです。
そして私の旧型Apple IIでは、当然の如くこの凄まじい進化を遂げたウルフェンシュタインは動きませんでした。
再び指をくわえて眺めるだけになった私でしたが、94年に登場した夢のスーパーハイパーインタラクティブマルチメディアプレイヤー3DOが、ついにウルフェンシュタインを我がものとする悦びを与えてくれました(まぁぶっちゃけ、プレイするだけなら、友人宅のMacでさんざん遊んでましたが)。

この3DO版『ウルフェンシュタイン3D』が発売されたのは、3DO事業が既に敗戦処理に入っていた末期の頃。
しかし、それより前に登場したスーパーファミコン版の『ウルフェンシュタイン3D』が、およそ不完全なシロモノだったのに対して、この3DO版はMac版にかなり忠実な移植となっていました。
鉤十字、軍用犬(愛らしいワンワンを戦争の道具に使うとは、ナチとはなんと残虐非道な輩なのでしょう)、仰々しいアーリア風の装飾、そして例のちょび髭のおっさん。
銃撃を受け、血飛沫を上げながら崩れ落ちるドイツ兵のモーションは、登場から20年を経た今でさえ、何とも言えない生々しさに満ちています。

そして最初はシンプルな対ナチ戦争だったのが、先に進むにつれステージは徐々に禍々しさを醸しだし、やがて改造兵やゾンビ兵が登場してSFホラー方面に転舵するドラマチックな展開は、シングルキャンペーンのお手本とも言えるでしょう。
この構成は、後年に『Return to Castle Wolfenstein』で再利用されたときも、まったく色褪せることはありませんでした。
ナチス式敬礼と言うよりは、まるで「よぉ、元気!?」とフランクにあいさつしているような、ゾンビ兵の愛嬌溢れるモーションも、忘れられない個性の一つです。
20年の時を経ても輝き続ける永遠のクラシック。やがて30周年を迎えるときが来たとしても、このゲームのプリミティブで磨き込まれた輝きは、決して曇ることはないでしょう。
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2012/05/15 | Comment (0) | Trackback (1) | ホーム | ↑ ページ先頭へ ↑ |






